第47話 けっきょく、ぼられる



 で、シャケ商店はまだまだ続く。

 なんせ、クマりんセット、スライムセット、ケロケロセット、ネコりんセット、ゴーレムセットとあるからねぇ。

 ただし、詳細はここで割愛だ。なぜなら、性能はどれも同じだったからだ。デザインが違うだけ。


「なんで、性能同じなのに違う商品なの? 値段も違う。デザイン料?」

「それぞれの体形にあわせた最適の素材と形やからな。ええ出来やろ?」

「うん。それはまあ」


 クマりんのは小悪魔系ゴスロリドレス。レースたっぷりの黒いやつだ。盾は手ぶくろ。黒い厚底サンダル。ピンクのリボンや薔薇のモチーフがたくさんついてる。


 ミニコたちには一見エプロンなんだけど、これが性能高いんだよな。ネコりんのは首輪にしか見えない……。

 ケロちゃんとサンダーは三銃士みたいな軽よろい。ケロちゃんが青。サンダーが赤。二人とも大喜びだ。


 スライムにどうするのか前回、課題点だったんだけど、なんか透明の羽衣のようなものを渡された。目をこらしてよく見ると、うっすら見える何か。いちおう、ほんとに着れる。


「はぁ……今回もたくさん買った」

「かーくん」

「うん?」

「まだ残ってんで?」

「えっ?」


 ほんとだ。コビットセットが。


「コビットたちって戦わないから」

「でも、もしものときに強力な防具つけとったら安心やろ?」

「うん。まあ」


 前にクピピコに窓のカギをあけてもらうとき、力がたりなくて苦労したっけなぁ。


「コビットの胸あてはやな。全ステータスにプラス200! 防具で力があがるんや。盾で魔法とブレスもふせげるで。このちまいブーツ作るん、たいへんやったわー」

「買うよ。三人ぶん」


 コビット族は力3とかだから……永遠のひとけた。でも、これで次にカギをあけてもらうときは楽勝だ。


 約一千億の散財した。でも、これで仲間モンスターの守りも安心だね。


 三村くんはアジやナッツ、ナッツのお母さんをつれて、いったんパーティーを離れた。明日の朝にはボイクド城の宿舎に帰ってくるという。


「アジ、行ってしまいましたね」と、蘭さん。「僕よりかーくんのほうが長くいっしょにいたから、さみしいでしょ?」

「でも、アジは故郷の街に必要な人だからね。きっと、いいリーダーになるよ」

「次に行ったら、ギルドマスターになってたりして。そう言えば、あの街、ホープイースタンって名前になったらしいですよ」

「ホープか。いいね」


 みんなの希望がつまった街だよね。


「さてと、じゃあ、僕らはどうしようか?」

「おれはブルーベリーに会ってくる」と言って、ランスが立ちあがる。

 ブルーベリーっていうのは、ラフランスの友達の魔法使いだ。さっき、魔法屋でも会ったけどね。青い髪の美人魔女。

 仲いいなぁ。いつも出立前に会ってるよね。もしかして恋人?


「ブルーベリーさんって、ランスの……?」

「そうだよ」

「ええー! 人間アレルギーなのに? いいの?」

「人間アレルギーでも姉くらいいるよ」

「……」


 なんだ。お姉さんだったか。魔法使い姉弟なんだね。


「じゃあ、僕とスズランも、今夜は父上のお城に戻ります」

「わも地元に帰ぇわ」

「あっ、じゃあ、おれもサンディアナで母さんに会っとこうかな」


 ああっ、蘭さん、アンドーくん、トーマスまで。

 くすん。人間がいなくなっちゃった……。


「オー、みなさん、いいですねぇ。わたし、家族は魔界でーす。会えませんねぇ」


 あっ、違った。いちおう、ジョーンズさんがいた。


「じゃ、二人になったんで、カジノ行っちゃいますか?」

「カジノ、魔界にもあるですねぇ。ビッグビッグマネーなので、わたしは行ってないですが」

「じゃ、行っちゃいましょう」


 ふふふと、バランまで笑いだす。


「かーくんさん。精霊はみんなイタズラ好きなんですよ。楽しい遊びは外せません」


 精霊じつはパリピ説、ほんとだったー!


 というわけで、僕はモンスターと狼男ひきつれて、高級カジノへ。


「はい。ジョーンズさん、コイン一万枚あげるから、好きに遊んでください」

「おおっ! ここは定番のポーカー? それとも当たると大きいスロットか? ワクワクするですねぇ」

「はい。バランにも。クマりんも遊びたいの? みんなに一万枚ずつあげるねぇ」


 大金持ちなんで、一枚二百円のコインだって爆買いだもんね。僕はいならぶ仲間モンスターにコインを渡していく。


「はい。シルバンも遊ぶの?」

「バーン!」

「ゴーレムは精霊の造ったガーディアンだもんね。やっぱり遊び好きなのか。じゃあ、ミニコもいっしょにつれてまわってね?」

「ミ〜!」


 お祭りだなぁ。モンスターって、けっこうギャンブル好きなんだ。


「はい。ケロちゃんで最後かな?」


 ん? まだ手が……? 変だな。人数ぶん買ったはずなのに、たりないぞ?


「——と思ったら、ホムラ先生じゃないですかー! いつのまに、まぎれこんでたんですか!」

「恵みなさい。私に恩を売れるなんて、めったにないチャンスだぞ?」

「いやいや、二度めですからね? わりと、たかってますよ?」


 まったくもう。この人といっしょに敵地潜入。大丈夫かな?

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