君の裏の裏まで

隣一人

第一話 入口は結局容姿だったりする

 一番大切なのは中身だ。

違うか??違うか、違うかも。

まあ、考え方なんて人それぞれ、そうだろう?

少なくともこの時まで俺は本気でそう思ってた。


「胃が痛い....」朝ご飯に食べた昨夜の残りの天ぷらで俺、瀬間倫太郎せまりんたろうの胃は完全に打ちのめされていた。

高校三年生、記憶の中の俺は常に健康だった、

少なくとも胃もたれで保険室に行くような男では無かった、だからこの出会いは偶然というか運命と言うか、とにかく出会うべくして出会ったんだと俺の脳みそは幸せな勘違いをした。

命からがらたどり着いた保健室ドアを開けたそこで俺は運命に出会った「失礼します、、三年二組の瀬間です。胃もたれで気持ち悪いんで休ませてください。」

本来、保健室に在中するはずの養護教諭の姿は無く、代わりにイスに座り足首をぐるぐる巻きにされた女の子が一人。

「瀬間くん?」前世でどんな徳を積んだかはさなかでは無いが、少し釣り上がった猫のような大きな瞳、小さく鼻筋の通った鼻、ほのかに赤く色づく薄い唇、控えめに編み込まれたミディアムヘアー、何よりその真っ白な足、その姿が綺麗すぎて名前を呼ばれた事に気づくのに少し時間がかかった。

「どうしたの?」そう声をかけてきた彼女の名前は津野田舞つのだまい俺が拾った運命の相手、学年一の美女、そして親友の好きな人。

俺が彼女について知っている情報はそれだけ。この美しい生き物との出会いを俺は運命だと思った。

彼女はいったいどんな人なのだろう?

知りたくてたまらなかった。

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君の裏の裏まで 隣一人 @Yamada_maru

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