第2話 新しい仲間

「これから3年間過ごす私の部屋…。」


桜は不安と期待の入り混じった奇妙な感情で106号室の扉を開ける。


「早く早く!見せて!」


椚はどんな部屋なのか待ち切れない様子だ。


ガチャ…。


扉を開けてまず目に飛び込んできたのは木目調のシステムベット。

いや、目に飛び込んできたも何もないのかも知れない。

何しろシステムベッドが5台置かれただけの空間なのだから。

左右にはシャワールームと洗面所、トイレが付いており、生活していく上で必要最低限、といった感じだ。

しかし、だからと言ってがっかりした気はしない。

高い天井とほんのり温かみのあるオレンジの照明。

赤い絨毯に高級感を感じるし、木目調のシステムベッドとベストマッチしている。

システムベットは二段ベットのようになっていて、上はベット、下は勉強机や棚、ハンガーラックなどが付いていて、この空間だけで生活が完結できそうな優れものだ。


「いいじゃん…。」


桜はポツンと呟く。


「だね…。」


椚も相槌を打つように答える。


周りを見ても誰もいない様子を見ると、桜と椚が一番乗りだったようである。


「んじゃ!私はこの真ん中のベットで!」


ドサッ。ガササッ。

椚は机の上に荒っぽく自分の荷物を置き、荷物の中から本やら人形やらを取り出しては、机の横の棚に次々と収納していった。


「じゃあ私は椚ちゃんの隣のベット使おうかな…。」


桜も椚を見習うように、荷物の中から私物を出しては、棚に収納していった。


ガチャ…。


「あちゃー。先に越されちゃったか。」

「ほんとだぁ。一番乗りかと思ったのにぃ。」


そうこうしている内に新しい部屋仲間が入ってきた。


「はじめまして。私は三雨道楓っていうよ。よろしくね。」

「七神銀杏っていうよぉ。よろしくねぇ。」


一番最初に喋った子が三雨道楓というらしい。

黄緑色の髪と瞳。ウェーブがかかったセミロングはお姉さんのような頼もしい雰囲気を感じる。

そして、2番目に喋った子が七神銀杏というとのこと。

黄色の髪と瞳。可愛らしい口調とポニーテールが愛らしい。


「わあ!よろしく!私は伝外心椚!んで、こっちが満王子桜ね!仲良くしよ!」

「こちらこそ。仲良くしましょうね。」

「お二人さんは?たまたま一緒に入ってきたかんじ?」

「そうなの。ドアの前でばったり会ってね。」

「へぇ!私と桜は食堂で隣同士で!そこから結構仲良いかんじ!」

「それは微笑ましいことね。」


両者ともに社交的な性格なのか、すでに意気投合している様子。


「そういえばあと一人来てないのぉ。確か、想心道椛ちゃん…だっけぇ…?」


銀杏が話を切り出す。


「確かに…。まだ来てないね。何かあったのかn...」


ガチャ…。


椚の声を遮るように扉が開いた。

立っていたのは水色の髪と瞳をした美少女。

前髪なしのロングヘアから大人っぽさと、どこか気の強そうな雰囲気を感じる。


「あ!もしかして椛ちゃん?!」


「……」


椚が声をかけたにも関わらず、返事は返ってこない。

彼女は4人の輪を横切り、余ったベットの机の横に荷物を置き、すぐさま勉強道具を広げ勉強を始めた。


「も、もみじちゃんだよね…?私椚っていうんだけd…」


「ちょっと静かにしてくれない?」


彼女は4人の方を向き、冷たく言い放つ。

4人ともそんな発言を予想していなかったせいか、部屋の空気が瞬く間に硬直する。

彼女は続けた。


「ここ、どこだか分かる?名門のルーブル魔法学校だよ?あなた達、魔法を学ぶためにここに来てるんじゃないの?そんな風に友達やら青春やらにうつつ抜かしてる暇があったら勉強しなさいよ。」


そう言うと彼女はまた勉強を始めた。


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新しい桜の仲間たち!

桜、椚、銀杏、楓の4人はともかく、どうやら椛は友達とワイワイすることに抵抗があるみたい…。

5人はそれぞれ一体どのような関係になっていくのか…!

乞うご期待です。

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ファイブツリー物語 想心道椛 @MOMIZI_777

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