ファイブツリー物語
想心道椛
第1話 初めての魔法学校
「ここがルーブル魔法学校…。」
これでもかというほど大きな門。錆びつき、所々の塗装が剥がれている様子は魔法学校の長い歴史を感じさせる。
そんな門の前に立つのは、ルーブル魔法学校に中等科から入学することになった新入生、満王子桜。
まず、ルーブル魔法学校とは何なのかを説明しよう。
ルーブル魔法学校とは、一流の魔法師を幾度となく輩出してきた創立1200年の言わずと知れた超名門校である。
1から9学年の9学年制であり、1学年、2学年、3学年を含めた初等科、4学年、5学年、6学年を含めた中等科、7学年、8学年、9学年を含めた高等科に分かれる。
ルーブル魔法学校へ入学するための入学試験は魔界の中でも最高難易度の試験であり、選ばれた者だけが通過できる大変難しい試験であると言われている。
満王子桜もそんな超難関の試験を通過した一人であった。
試験に通過したというだけ自信を持って良いというのに、桜はルーブル魔法学校の門を前にして、こんなレベルの高い学校で上手くやっていけるのか、友達ができるのか、場違いなんじゃないか、そんな不安な気持ちで一杯な様子である。
「入学した新4年生のみなさんは列に並び奥の食堂へ進みなさい。」
新入生が並んでいると思われる列の先頭で新入生を誘導する女性。おそらくこの学校の教師であろう。
桜は列に並び、食堂へと続く列をゆっくりと進んでいく。
15分ほど経ってようやく食堂へ着く。
食堂の天井は清々しいほどに高く、中央のシャンデリアは神聖なチャペルのような雰囲気を醸し出していた。
そんな食堂に見惚れていると、隣にいた女の子が話しかけてくる。
「ね!あなた中等科から入学したの?」
橙色の瞳と髪色。その口調とショートヘアからアグレッシブな雰囲気を感じる。
その割には桜よりもいくらか身長が低いというわけだから驚きだ。
「う、うん…。」
桜は急に話しかけられたせいか、しどろもどろな話し方になってしまう。
「そんなんだねぇ!実は私も中等科からの入学で!伝外心椚っていうの!椚っ呼んで!よろしく!」
「よ、よろしくね。椚ちゃん。」
椚に圧倒される桜。引っ込み思案な性格のせいか、桜は思ったように話せない様子だ。
「いやぁ、中等科から入学すると友達できないんじゃないか心配してたけど、思ったより大丈夫そうかも!」
「あ、ちなみにあなたの名前なーに?」
「さ、さくらだよ。満王子桜。」
「そうなんだ!じゃあ桜って呼ぶね!」
元気な子だなぁ。そう関心しているうちに新入生のガイダンスが始まる。
「新入生のみなさん!静かに!」
騒がしかった食堂が一斉に静まり返る。
さっき列の先頭で新入生を誘導していた女性の先生のようだ。
「始めまして。オリヴァ・テイラーです。オリヴァ先生とでも呼んでください。」
「私知ってるよ。あの先生。超有名な魔法師じゃん。」
ヒソヒソ声で話す椚。桜もすかさず返答する。
「うん。私も知ってる。魔獣討伐で有名になったよね。」
「そこ!静かにしなさい!」
オリヴァは話していた桜たちに一喝する。
「す、すみません…。」
さっきまであんなに元気だった椚も、オリヴァの言葉には萎縮してしまったようだ。
「さあ皆さん。寮の部屋の振り分けを発表します。部屋番号とその部屋の生徒の名前を読み上げるので、ガイダンスが終わったらそれぞれ自分の寮の部屋へ行くこと。」
ルーブル魔法学校は全寮制である。学校の生徒は必ずルーブル魔法学校付属の寮で暮らさなければならない。
「同じ部屋だといいね!」
椚は初めてできた友達桜と同じ部屋になりたいようだ。
そんな中、オリヴァは次々に部屋番号と生徒の名前を読み上げていく。
「…106号室、想心道椛、七神銀杏、三雨道楓、伝外心椚、満王子桜!…」
「やった!同じ部屋だ!」
「ほんとだ!すごい!よかったね!」
飛んで喜ぶ椚。桜も知っている人間と同じ部屋になれて嬉しかったようだ。
「寮の部屋には組の振り分けが記載されたプリントがあります。それをよく確認すること。また、明日朝8時に食堂で集合です。それまで同じ部屋の人と親睦を深めるのもよし。勉強するのもよし。各々自由に行動しても良いこととします。今日はこれで以上です。解散!」
オリヴァの合図と共にワッと騒がしさが戻る。
「よし桜!早速部屋に行ってみようよ!」
「うん!行こう!」
最初は学校生活が上手くいくか、友達ができるか不安だった桜。
しかし、今はそんな緊張もほぐれ、むしろワクワクしている様子だ。
楽しみ。そう感じながら椚と共に自分の部屋へと向かう桜であった。
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新しくできた友達椚によって、桜は随分緊張がほぐれたよう…!
同じ部屋の3人はどんな子たちなのかが気になるところですね♪
乞うご期待です。
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