第17話 時は流れて……。

弓弦と……える……。


出逢いは、些細なことだったが……

えるは……久しぶりに昔を振り返る。



えるは……現在60歳。


弓弦との間には……子供が2人

出来た。



弓弦はと言えば…………

先日の交通事故が原因で……



命を落としてしまったのだ。



病床の弓弦は、最後まで家族や

えるに、言葉を残そうと必死だった……



えるには、弓弦の気持ちが痛いくらい理解できたのだ。






愛してるが……弓弦の最後の

言葉だった。



結婚生活40年目にして……

起こった悲劇であった。




えるは……弓弦に



最後まで、弓弦はえるを愛していた。




突然の別れに、娘と息子は

ショックを受けていたが……




事故から10年、もうすぐ弓弦の

13回忌法要という手前で、



えるは……ガンになってしまった。末期がんである。




えるは……最後まで病気と戦った。まるで、弓弦に褒めてもらいたかったかの様に……




桜の花びらが……すらすらと

散る頃に……




えるは……天国へと旅立って行った。えるは……子供達に

いつも話していた。



『……わたしは、お父さんに

逢えて、とても幸せだった。



あなた達と……出逢えて……


幸せいっぱいだった。


お母さんは、お父さんを選んで

それは、それは幸せだった。』





生前、えるは……弓弦の愛情を

天国から。たくさん感じ取っていた。




弓弦は……






天国から、えるに

星となり、光となり、そして



風となって見守っていた……




えるには分かる。





弓弦の愛情が、えると、弓弦、2人にしか分からない世界というものがあった。





確かに存在した……



えるは、最後に






と……一言残して、あの世へと

旅立っていった。




えるは……弓弦に出逢い、


人生が……変わったのだ……。

好きな人との間に、子供を持つ

幸せ。



好きな人に、大切に扱ってもらう幸せ。


好きな人と時を過ごせる幸せ。





えるは……まるで



眠るかの様に……スゥッ……と

この世界から消えていった。




今後は、天国で、弓弦と再び出逢い、愛を語り合うのだろう。




  ~END~

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貴方となら……手を繋いでいきたい。 たから聖 @08061012

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