第16話 『素直になる勇気』
えるは、おばあちゃんと
さよならしてから。何となく
弓弦の顔を見たくて仕方なかった。
足取りは、決して軽くはなかったが…………おばあちゃんの
後押しのおかげで、
えるは素直に……謝ろう。と
前田大学へと向かった。
キャンパスに着くと、
皆が風呂敷包みを、ジロジロと
見てくる。
えるは、自分を奮い立たせた。
『おばあちゃんの真心だもん。
きっと、大丈夫だよね?』
キャンパス内に……弓弦が
居ないか、探していると……
向こう側からは……見慣れた
姿が……誰かとコチラに向かって
歩いてきた。
えるは勇気を出して、
前を見据えていた。
弓弦はと、言えば。
えるの様な人影に……少し躊躇していたが……
真っ直ぐと、えるの方向へと
ゆっくり歩いてきた。
えるは、泣きながら笑顔を
弓弦に見せた。
『久しぶり!!』
あまりにも、真っ直ぐな
えるを目の当たりにした弓弦は
えるから目が離せなかった。
『える。……』
『弓弦くんに、渡したいモノが
あったから。逢いにきたの。』
『……??』
『これ。食べよッ…?』
弓弦は……七瀬ゆかが……
えるを見付けるなり……
『だっさ』
と……笑っていたが。弓弦の
表情は、真剣だった……
『える。どうして。』
『わたしは、わたしは……
弓弦くんと、ずっとこの先も
仲良くして行きたい!!
だから、だから。あのッ……』
言葉が上手く、出てこない
えるを見て、弓弦は、愛おしさが
溢れてきた。
『もういい、える。』
弓弦が……えるの方向へと
ゆっくり進むと……
弓弦は、えるを抱き締めた。
『俺のえる。』
えると弓弦は、
キャンパスに……たくさんの
人だかりがいても
気にならなかった。
『好きだよ……える』
弓弦は、えるの顔中に……
キスをしていた。
優しく、ゆっくりと、
キスは、そのまま口へと……。
えるは、おばあちゃんのおかげ
と……感謝しながらも
弓弦との、久しぶりのキスを
味わっていた……
弓弦くん
えるは……たくさんのありがとうを心の中で……
弓弦と……おばあちゃんに
伝えていた……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます