旅日記

モロッコ・マラケシュ

　引っ越しをするために荷物を片付けていたら旅日記を見つけた。

　私が海外旅行に行った時に書いていたもので、両替したらレートはどのくらい、とか、観光名所を訪れた時はその感想を書いたりしていた。

　今日見つけたのは、モロッコに行った時の旅日記で、ひさしぶりに手に取って読んでみる。

『7月28日 モロッコ、マラケシュ。

　マラケシュに到着！ここでは、La Mamouniaという、五つ星ホテルに宿泊！

　だって、12世紀頃にたてられた王家の邸宅、というシチュエーションだもん。

　部屋にはテラスがあり、テラスからは眼下にプールが見え、遠くにアトラス山脈が見える。

　ただ、市内中心部までは遠い……。

　でも、荷物を下ろしたら、迷路のような、城壁に囲まれた旧市街に行かなきゃ！』

　そうだ、メディナと呼ばれる、旧市街の探索が面白かったな。

　１人旅の女性で、夜に出歩くことはできないので、昼間しか行かなかったけど、細い道が入り組んでいて、土産物を売る店や、ローズ・ド・サハラを売っている店があって目移りしながら歩いた。

　そういった店のある路地を外れてみると住宅と住宅の間にある細い道が続き、建物には彫刻が施されていて、時折アーチがあって、そこにも模様が描かれていたり、彫刻で何か彫られていた。そんな細い道を迷子になりながらたくさん歩いた！

　メディナの中心部にある、ジャマ・エル・フナ広場、夜は屋台が多く並ぶ、とガイドブックには書いていたけど、昼間はただの広い広場だった。

　そうそう。ガイドブックは[地球の歩き方]を持っていったんだよな。

　ああ、そうだ。La Mamouniaではチョコが枕元にあったんだよな。あれ、美味しかったな。そして、La Mamouniaのスーベニアショップで灰皿買ったんだよな。

　そうそう、この旅の終盤には熱を出していたな……。

　あっ、やばい。早く荷物をまとめなきゃ。

　私は旅日記を閉じると、引っ越しの荷造り作業を再開させた。