卒業式・SS
お兄ちゃんと第二ボタン
皆様、こんばんは。
世間は卒業シーズン真っ只中ですね。
そんなわけで、今日は卒業式をからめた、ちょっとした
お兄ちゃんが、高校を卒業する時のお話。
ギャグです。少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
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『お兄ちゃんと第二ボタン』
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「隆ちゃん!」
それは、飛鳥が高校三年の時の卒業式。
学校一の美男子として、常に注目の
「もう、無理! 助けて! このままじゃ、身ぐるみ
切羽つまった様子で泣きついてきた飛鳥は、今日も一段と輝いていた。
赤みの入ったストロベリーブロンドの髪は、サラリと煌めき、海のように深いマリンブルーの瞳は、吸い寄せられるように美しい。
しかも、走ってきたからか、息を切らしながら教室に駆け込んできた飛鳥は、色っぽい上に、
というか、今回も始まったらしい。
卒業式恒例の『第二ボタン争奪戦』が!!
「お前、相変わらずだな。つーか、廊下は走るな。先生に怒られるぞ」
「そんなこと言ってる場合じゃないんだよ。このままじゃ、ボタン全部、取られる!」
「いいじゃねぇか、ボタンなんてくれてやりぁ」
「嫌だよ! 蓮が、桜聖高校を受験する気でいるから、何としても、ボタンは死守しなきゃ!」
「お前、もしかして、弟にお下がりするために、ボタン守ってんのか!?」
「そうだよ! 他に何があるの!」
なんと、蓮に制服をお下がりするために、ボタンを奪われないよう奮闘している飛鳥。
こんなにも煌びやかな顔をしているくせに、なんて庶民的なお兄様なんだ。
だが、残念だが、弟へのお下がりは、どう考えても無理だと思った。
「お前、中学の時も、ブレザーごと奪われてたじゃねーか。今回も、そうなる運命だろ」
中学の卒業式。
飛鳥は、まさに、身ぐるみを剥がされていた。
第二ボタンだけでなく、学ランとワイシャツの全てのボタン奪われ、上着までなくなった。
それは、まさにボロボロっいった感じ!
オマケに乱れた服で帰れば、変質者に襲われかねないため、隆臣が、ジャージを貸してあげたのだ。
だからか、今回もそうなるのだろうと、隆臣は思う。
しかし、飛鳥はニッコリ笑うと
「お前、何、勝手に運命きめてんの。中学の時みたいにならないように、先手を打ちにきたんだろ」
「先手? 一体、なにをする気だよ。悪いことはいわねーか、死にたくなかったら、
「だから、嫌だって。今回は、なにがなんでも死守する(蓮のために)。それに俺、一年前も奪われてんの! 体育から戻ってきたら、制服のボタン、全部なくなってたの! ズボンまで!」
「あぁ……あの事件は、ひどかったな」
ふと、懐かしいことを思い出す。
あれは、高2の秋だ。
飛鳥の制服のボタンが、全て盗まれたことがあった。
しかも、売りさばかれていたらしい。
あれは、恐ろしく最悪な事件だった。
「お前、マジで話のネタが尽きないよな」
「うるさいなー。それより、手伝ってよ」
「手伝う?」
「うん。今から俺のブレザー、隆ちゃんが着てるってことにして」
「は?」
いきなり、意味がわからないことを告げられ、隆臣は、
すると、飛鳥は、いそいそとブレザーを脱ぎはじめ、自分のカバンの中に隠すように詰め込む。
て……俺が、飛鳥の制服を?
「お前、何言ってんだ?!」
「だって、隆ちゃん、俺より足速いでしょ。だから、逃げ切れるよ。お願い♡ 俺が学校から出るまでの間、女子たちを引きつけといて♡」
「引きつけといてじゃねーよ!?」
「「あー、神木くん、見つけたー!!」」
「「!?」」
すると、そのタイミングで、女子たちが大量の群れをなしてやってきた!
「神木くん、第二ボタンちょうだい!」
「えー! 私がもらうんだよ! 第二ボタンは!」
「ちょっとちょっと、早い者勝ちだった言ったじゃん!」
「あれ? 神木くん、ブレザーは?」
「今、隆ちゃんが着てるよ!」
「!?」
すると、宣言通り、飛鳥が隆臣のブレザーを指さしながら、そう言って、女子たちの視線は、一気に隆臣に集中する。
しかも、その目は、まさに獲物を狙う猛獣のような目!!
「「「橘くん、その制服、渡して!!!」」」
「え!! ちょ」
「ほら! 隆ちゃん、逃げて! じゃなきゃ、死ぬよ!」
「お前、覚えてろよ!!」
そして、隆臣は、にっこり笑って「頑張ってねー♪」と手を振る飛鳥を恨みつつ、全力で逃げたのだった。
***
そして、それから数時間後──
「隆臣、どうしたの?」
「ボロボロじゃないか」
無事に、学校から帰ってきた隆臣は、父の
卒業式でみた姿は、とても小綺麗だったのに、帰宅した息子は、制服のボタンを全て奪われ、ボロボロだったからだ。
「卒業式に、ボタンを全て奪われるなんて」
「お前、そんなにモテてたのか」
「俺じゃねーよ。モテてんの、飛鳥だよ」
かくかくしかじか──
その後、飛鳥に
*おしまい*
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最後まで、閲覧、ありがとうございました。
卒業式やバレンタインは、飛鳥は大変でしょうね。
そして、隆ちゃんも。笑
こちら本編でも、ちらほら出てきたネタでした。隆ちゃんを囮にする飛鳥と、振り回される苦労人な隆ちゃん(笑)
仲良しな二人が、なんだか愛しいです。
とはいえ、相変わらず、ふざけた番外編をお届けして、すみませんでした。
息抜きがてら、さっき書きました(笑)
また、今後、本編にそった短い番外編は、舞台裏で公開し、際どいやつやIF物語メインの話は、FANBOXで公開ようと思ってます。
ただ、この後に、もう一つ、修学旅行の番外編を公開予定なんですが……
『お兄ちゃんと修学旅行』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888822143/episodes/1177354054918921799
こちらの番外編。実は、ボツにしたシーンが沢山あるって話をしたら、読みたい方がチラホラいらっしゃったので、完全版みたいな感じで、ボツシーンをつめこんで公開したいと思ってます。
でも、舞台裏で公開するか、FANBOXで公開するか、ちょっと迷ってまして…良かったら、どっちがいいか教えて頂けたら嬉しいです。(完全版にしたら、ちょっと、長くなります)
あ。もちろん、本編の方も、ちゃんと進めますからね!
というわけで、しばらくは忙しいので、のんびりやっていきますが、更新は、ちょこちょこやって行くと思うので、引き続き、よろしくお願いします。
では、卒業シーズンとあり、出会いと別れの季節となりましたが、皆様の未来が、明るい花を咲かせることを、心から願っております。
皆様、いい春にしましょうね~
それでは🌸
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