萩市立地球防衛軍★KACその⑪【日記編】
暗黒星雲
ハウラ姫の日記
私は今、地球の文化を学ぶために萩市の高校へ通っています。私立の竜王学園高等部です。ミサキ総司令と同じクラスなの。
目新しい物や考え方が目白押し、毎日が刺激的で楽しくて仕方がないわ。そんな私が日々感じてる事を日記に綴りたいと思います。
3月1日
今日は「二刀流」を学んだわ。元々は江戸時代の剣豪、宮本武蔵が極めたと言われている剣術の事。文字通り、右手と左手で刀を持って戦うんですって。凄く強そうね。でも今は、二つの才能を使いこなすって意味で使われているらしいの。例えば、有名な大リーガーの大谷選手。投手と打者の両方で活躍するみたいな。でもね。男性と女性、両方を愛する人も二刀流っていうらしいの。これ、ちょっと意味わかんない。
3月4日
今日は「推し活」を学んだわ。私は大好きなアニメの登場人物、黒子ちゃんのグッズを集めてるんだけど、こういうのが推し活なんだって。ハマってる人は二次創作までやってるらしいの。私、黒子ちゃんが主人公の、百合っぽい恋愛ドラマとかね、書いてみたいな。
3月9日
今日は「第六感」を学んだわ。これはね、霊能力の事だと思うの。でも地球では霊魂を認めない唯物論が主流で、霊能力も認知されていない。だから、曖昧な第六感って言葉を使ってるんだと思う。でもね、宇宙船がワープするのは、それ、霊界を通ってるって事なのよ。だから、唯物論から脱却しないと真の意味での宇宙への進出は出来ない。地球の人がこの事に気づくのは、後どのくらいかかるんだろうね。
3月11日
今日は「お笑い/コメディ」について学んだわ。あの、漫才って面白いのね。でも、私は落語の方が好きかな。伝統芸能の神楽もいいわね。厳密にはコメディじゃないんだけど、時折でてくるあのユーモアセンスは秀逸だと思うわ。
3月14日
今日は「88歳」について学んだわ。88歳といえば米寿と言って、長寿をお祝いする風習よ。還暦、古稀、喜寿の次に行われる長寿の祝い。漢字の米を分解すると八十八になる事からそう言われるようになったらしいの。日本語って面白いわね。
3月16日
今日は「焼き鳥が登場する物語」について学んだわ。防衛軍の皆さんが懇意にしてる焼き鳥屋さんの周囲ですれ違う恋愛模様、跳梁跋扈する〝うわばみ〟に渦巻く陰謀。たかが焼き鳥屋なのに、こんなにドキドキハラハラするなんて素敵すぎますわ。あ、そうそう。私はモモ肉の塩コショウが大好きよ。
3月18日
今日は「出会いと別れ」について学んだわ。作者さんが最初に浮かんだのは、中島みゆきの「時代」なんだって。1975年の曲。ふ、古いわね。別れた恋人たちも生まれ変わってめぐり合う……こんな歌詞が大好きなんだって。これ、転生輪廻なのかな。
3月21日
今日は「私だけのヒーロー」について学んだわ。私は今まで、ヒーローとは英雄の事。一国を救う救世主の事。そんな風に思っていたの。でもね、地球の考え方は少し違ってた。それは、人々の心の支えになる人物や行為を指すの。それはつまり、一国を救うとか世界を救うような、そんな大きい事でなくてもいいの。小さな小さな、傷ついた少女の心を癒す一言のような、小さな優しさでも、たった一人の感謝で一人のヒーローが生まれるの。素敵なお話ね。
3月23日
今日は「猫の手を借りた結果」について学んだわ。萩市で開催された「世界一可愛い猫獣人コンテスト」に、私が飛び入り参加したの。ほら、私は白猫獣人だからピッタリなんだって。
猫の手を借りるって言葉は、『最強の助っ人を呼ぶ』って意味らしいわね。私、お鼻がちょっと高くなっちゃった気分よ。
(´∀`*)ウフフ
3月25日
今日は「真夜中」について学んだわ。私たち猫獣人はね、真夜中に徘徊する習性があるの。私は学園で学んだ事を、真夜中に復習していたのよ。エイプリルフールとかハロウィンとか日本昔話とか、そういうのをね。
でも、真夜中に出歩くのは危険だからって、総司令のミサキちゃんに叱られちゃった。実際、食い意地の張ったトカゲ太夫、レプタリアンね。そいつに襲われちゃったし。まあ、私の親衛隊のトラーダ君が頑張ってくれたから大丈夫だったんだけど。このトラーダ君、体が大きくてものすごく強いんだけど、超純情なの。チョロすぎ。こんな男性を手玉に取るのも悪くはないわね。
3月28日
今日は「日記」について学んだわ。今、一生懸命書いてるのも日記。普通は自分で書いて自分が読むものでしょ。でも、他の日記もあるって聞いたわ。それは、昭和の時代に流行った「交換日記」ですって。健全な異性とのお付き合いの象徴みたいな、そんな感じのちょっと遠まわしな接点を持つって事。歯痒いような切ないような、微妙な距離感が素敵ね。他にも「グループ交際」とか「文通」とかがあったらしいわ。こういうのが健全って事みたいね。
3月30日
今日は防衛軍のララ隊長の元に、本国からすんごい荷物が届いたの。それは、身長が14メートルもある鋼鉄人形よ。
鋼鉄人形とはアルマ帝国の決戦兵器。でもこれは2000年前の機体だって。とある星へ友好の象徴として、当時の親衛隊長が赴いた。彼の名はアリオン・バーンスタイン。ララ隊長の遠いご先祖さまなんですって。
アリオン隊長は奇しくも当地で紛争に巻き込まれた。帝国の友好国であるアルゾンデを守護すべく、彼は力の限り戦った。空を覆いつくす悪魔の軍勢を、その聖なる炎で焼き尽くしたの。鋼鉄人形に彼の生命の全てを注ぎ込んで。
アリオン隊長の活躍でアルゾンデは救われた。でも、彼は力尽きて亡くなったの。アリオン隊長と彼の鋼鉄人形は、アルゾンデの救世主として長らく崇め奉られたわ。しかし、アルゾンデの人々は、アリオン隊長と鋼鉄人形を彼の故郷へと帰す事を望んでいた。でも、それは地下深く封印されていたから望みは叶わなかった。
三年前、アルゾンデの人々の願いが叶ったの。それは、次元昇華して地中へ潜航する能力がある、特殊な輸送船ストライク号がその地を訪れたから。ストライク号に託され、アリオン隊長と彼の鋼鉄人形は故郷に帰ることができた。よっかったわね。
本国へと送られた鋼鉄人形は、博物館へと収蔵されるため、稼働状態へと修理されたの。そこで、
故郷に残して来た家族への愛。
異国の人々の幸福を願う愛。
そして、未来の人々を救う強い決意。
その中の一節に、彼の願いが書かれていたわ。
「私の名、バーンスタインを受け継ぐ者よ。この鋼鉄人形をそなたに託す。この栄誉ある騎士ジニアを、皇帝の名を刻む最強の騎士ジニアを、辺境の地で迫害を受ける者を救うために使用して欲しい。帝国から遠く離れた辺境の地の守り神として。帝国の庇護から離れている者たちを救うために」
こんな内容だったらしいわ。彼の尊い遺志を継ぐため、帝国ではある決定がなされたの。それは、2000年前の鋼鉄人形を修理・改修して現代でも通用する機体へと仕上げ、地球へと届ける事だった。
鋼鉄人形は搭乗者の意思の力で動く。そして、その力は搭乗者の霊力に比例する。ララ隊長はね。生身なら宇宙最強じゃないかしら。あの、私の親衛隊のトラーダを瞬殺しちゃったくらいだから。多分、彼女は鋼鉄人形を扱っても宇宙最強よ。
古の英雄が残した手記、日記といってもいい。それが現代に甦り、結果として最強の鋼鉄人形となったわけ。
地球最強伝説が、今、始まるのよ。
萩市立地球防衛軍★KACその⑪【日記編】 暗黒星雲 @darknebula
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