第3話 転移後について

段々と意識が回復して行く。

窓から射し込まれる太陽の光を眩しく感じながら零時は目を開けるとさっきまで居たしろい空間では無く鮮やかで豪華な天井が目に写った。


「おいおい・・・。何か、豪華な天井だな・・・」


零時はそんな豪華な天井を見て一言感想を呟くとまだ少し倦怠感が残る身体を起こして辺りを見渡した。

零時はまず、自分が今まで寝ていたベットの周りを軽く確認してみることにした。

そんな零時が寝ていたベットはシングルベットやダブルベットより比べられないほど大きいベットだった。

そしてそんな、ベットの周りには高級そうな机やタンスなどが配置されており、天井には華やかで豪華なシャンデリアが吊り下げられていた。


「どうやら、この部屋を見る限り俺はちゃんと異世界に転移できたみたいだな・・・。それにしても、この部屋は無駄に豪華なんだが・・・、俺は一体どんな場所に転移したんだ?」


零時はそんなことを呟きながら更にもう一度部屋を見渡してみるとベットの隅の方で「何か」が動いたことに気が付いた。

零時はその「何か」をよく見てみるとその「何か」は上質な木材で作られた丸い椅子に座り零時が寝ているベットの上に伏せて寝ているメイド姿の女性だった。

零時はそんなメイドを見つけると「一体、この人は誰なんだ・・・?」と思いながらベットに伏せて寝ているメイドに声をかけ軽く身体を揺さぶった。

するとメイドは「う〜ん」という可愛い声を上げて目を覚ました。


「シ・・・シリウス様!?」


目を覚ましたメイドは零時が起きていることに気が付くと涙を流しながら零時の胸に飛び込んだ。

零時は訳の分からないまま自分の胸に突然飛び込んで来たメイドを反射的に受け止めてしまった。


「本当に本当に良かったですぅぅぅ!!シリウス様は階段から落ちて頭を強く打ってしまい二週間も目を覚まさなかったんですよ!?」


零時に飛び付いたまま涙を流し続けているメイドは一度だけ顔を上げそう言い更に強く零時の身体を抱き締めた。


「ちょっ・・・く・・・苦しって!!」


メイドに強く抱き締められてしまった零時は女性のやわらかいものに埋もれてしまった。

女性のやわらかいものに埋もれながらも零時はそう言いメイドを振りほどこうとしたが零時の身体はメイドよりも小さかったため振りほどくことはできなかった。


「あ・・・あれっ?何で、俺の身体は縮んでいるんだ・・・?もしかして、これも神様達の恩恵の影響なのか?」


「す・・・すいません、つい我を忘れてしまいました・・・。取り敢えず私は奥様や旦那様にシリウス様が目を覚ましたことを知らせてきますね!!」


メイドに抱き締められながら零時は自分の身体に違和感を覚えて自分の手を見た。

すると零時の手は子どものような手になってしまっていた。

零時はそんな子どものような小さな手を見つめながら「これも、神達の恩恵の影響なのか?」と思った。

零時がそんなことを思っていると突然メイドが立ち上がり零時にそう言った後部屋から出て行ってしまった。


「何で、神様達は俺を元の身体のまま転移させずに、こんな子どもみたいな小さな身体で転移させたんだ?」


零時はそんな疑問を口にしていると突然廊下から慌ただしい足音が聞こえてきた。

そんな足音が聞こえてから数十秒後、勢い良く部屋の扉が開き部屋の中に誰かが飛び込んで来た。


「シリウス、目が覚めたんだね!!階段から落ちて頭を強く強打して二週間も目を覚まさなかったからお兄ちゃんはこの二週間ずっと心配していたんだぞ!!」


勢い良く部屋の中に飛び込んで来たのは金髪と碧眼が特徴的な美少年だった。

そんな金髪の美少年は貴族が着るような高級そうな洋服に身を包んでいた。

零時はいきなり部屋に飛び込んで来て自分のことを抱き締めた金髪の美少年に対して驚きを隠すことができなかった。


「シ・・・シリウス、大丈夫かい?お兄ちゃんのこと分かるかい?」


「え・・・えーと」


「ま・・・まさか、僕のことを覚えていないのかい!?僕の君のお兄ちゃんのキリウス・フィア・ヨモナールだよ!!」


「えっ・・・いや、勿論覚えてますよキリウスお兄様」


「そ・・・そうか?それならいいんだけど・・・。それと、何か分からないことや痛いところはないかい?」


「だ・・・大丈夫ですよ、キリウスお兄様」


完全に思考回路が停止している零時を見て何かおかしく思ったのか金髪の美少年は心配そうな表情をしながら零時の肩を強く掴み自分は零時の兄である「キリウス・フィア・ヨモナール」だと名乗った。


「お兄様!!シリウスが困っています、今直ぐにシリウスから離れてください!!」


「レ・・・レイア!?」


零時が金髪の美少年に肩を掴まれたまま質問攻めに会い困っていると金髪の美少年の後ろからそんな声が聞こえてきた。

そんな声が聞こえてくると零時は顔を少し上げて、金髪の美少年の後ろを見てみると、水色を基調としたドレスを身にまとった金髪の美少女が立っていた。


「シリウス大丈夫だった?いきなり、お兄様に肩を掴まれてビックリしたでしょ?でも、もう大丈夫よ。私が来たからにはお兄様からシリウスを守ってあげるから!!」


「レ・・・レイア。僕はそんなつもりで、シリウスの肩を掴んでいたんじゃないんだけど・・・」


「言い訳は大丈夫ですよお兄様!!」


「い・・・いや、言い訳じゃないんだけどなぁ・・・」


金髪の美少女はそう言い零時から金髪の美少年を引き離し零時のことを強く抱き締めた。

零時はまたもや女性のやわらかいものに顔が埋もれてしまい、恥ずかしさからなんとか脱出を試みたが体格の差から脱出することはできなかった。

そして金髪の美少女は零時を強く抱き締めたまま後ろに居る金髪の美少年に対して凄まじい剣幕でそう言った。

この数分の時間で一つの部屋に二人の人間が集まり賑やかになっていると再び部屋の扉が勢い良く開いた。


「「お・・・お母様!?」」


「シリウス大丈夫!?何処か痛いところはとかは無い?」


「えっ・・・大丈夫ですよ、お母様」


再び部屋の中に勢い良く飛び込んで来たのは腰まで伸びた金髪が特徴的な美女だった。

そんな美女を見た二人は驚きながら「お母様」と叫んだ。

二人に「お母様」と呼ばれた金髪の美女はそのままベットに向かい零時を強く抱き締めた。


「本当に目を覚ましてくれて良かったわ・・・」


「く・・・苦しい・・・」


「奥様、シリウス様が苦しそうなので一旦離れてください。それにキリウス様、レイア様もシリウス様は先程目を覚ましたばかりでここは一旦部屋から出ましょう」


「た・・・確かに、レイアの言う通りね・・・。取り敢えず、今日はシリウスを休ませて上げましょう」


「そうですね・・・、お母様」


「分かりました・・・、お母様」


金髪の美女に抱き締められた零時はメイドや姉よりも大きいなやわらかいものに顔が完全に埋もれてしまい息をすることができなくなってしまった。

零時の微かな「苦しい」と言う言葉に一人だけ反応したメイドが金髪の美女と金髪の美少女と金髪の美少年にそう言った。

金髪の美女や金髪の美少女達はメイドの意見を聞くとそれぞれ零時に言葉をかけてから部屋を後にした。


「シリウス様。私は今からシリウス様の食事を作りに行きますので何かご気分などがすぐれなくなった場合はこちらのベルを何度か鳴らしてください。ベルが鳴り次第私どもが一瞬にしてシリウス様のところに向かいますので」


「あ・・・あぁ、分かったよ」


金髪の美女や金髪の美少女達が部屋から出て行った後、扉の近くに立っていたメイドが零時にそう言いながらポケットの中から小さなベルを取り出し零時に手渡した。

メイドは零時にベルを手渡した後零時の食事を作るために部部屋を後にした。


「ふぅー。取り敢えず、ご飯が来るまで一眠りでもするかな」


零時は誰も居なくなった部屋で深く息を吐いた後メイドが自分のご飯を持ってくるまで一眠りすることにした。

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▼ 転生貴族の冒険黙示録ーチートな能力を持って異世界を攻略する くろとら @sirotora

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