第3話すいません、忘れていました

 「あ、すいません。大丈夫でしたか?皆さんケガされていたんじゃないですか?」


さも何も戦いに集中しすぎて存在を忘れていた事を感じさせない様に返してみたのだが


 「…イヤ、今私達の存在忘れていましたよね?」


普通に気付かれていました


 「…すいません戦うのに夢中になり過ぎて皆さんの存在忘れていました。」


もうこうなったら謝るしかないと考え素直に謝罪した


 「こちらこそ助けて頂いたのに偉そうにしてすいませんでした。しかしあのオークの群れを簡単に倒してしまうとは驚きました。」


 「いえ、あれはあくまで祖父と父が鍛え上げてくれていたおかげですので気にしないで下さい」


 「貴方は謙虚なんですね。普通ならもっと胸を張る事なのですが。」


 「そんな事はないですよ。ところでケガをされた方達は大丈夫ですか?というか貴方自身もケガをされているじゃないですか。」


 「お気遣いありがとうございます。大丈夫といいたいのですが先程の襲撃でポーションが割れてしまい実のところケガ人の手当てが出来ていない状況です。」


(オオ、やっぱりポーションってあるんだ。けどそれが割れて使えないと…イヤもしかしたら…)


 「すいません、エッと…」


 「これは名乗りが遅れて申し訳ありません。私は今回お嬢様の護衛隊隊長を任されておりますオリビアと申します。」


(オリビアさんか、声からして女性だとは想像していたけどこの人達全員フルヘルムだから分かりづらかったんだよな)


 「あっ、ご丁寧にどうも。僕は結城零といいます。」


 「ゆうき、れい様ですか?」


(そうか、こういう場合はたしか…)


 「すいません、レイ ユウキといいます。僕のいた地域とは逆でこちらは名前が先にくるようですので」


(これであってるよね?たしか物語では海外と同じで名前が先だったはず)


 「そうなのですね。レイ ユウキ様でよろしいでしょうか?レイ様はもしかして他国の貴族の方でしょうか?もしそうでしたらご無礼お許し下さい。」


(良かった、あってたみたいだ。けどやっぱり苗字持ちは貴族になるのかな?物語とかだと家名は出さない方が余計なトラブルは避けられるはずだけど僕にとって結城という家名は父さんや母さんの誇りある家名でもあるから他人に気を使って使わないなんてありえないな)


 「いえ、貴族ではありません。しかし僕にとって結城の家名は誇りあるものなのでしっかりと名乗らせていただきます。」


 「いえ、こちらこそ不躾な質問をしてしまい配慮に欠けていました。何か事情がお有りの様ですが余計な詮索は控えさせていただきます。重ね重ね申し訳ありませんでした。」


(何か違う風に解釈されてるみたいだけどまぁいいか)


 「気にしないで下さい。それより先程ポーションが割れてしまわれたと仰られていましたがそちらを見せていただく事は出来ますか?もしかしたら助けになれるかもしれません。」


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