真夜中のラーメン

葵 悠静

本編

真夜中の飯テロ。

この言葉だけで腹の虫がなる人はさぞかし多いのではないだろうか。

かくいう私もその中の一人である。

飯テロというのは至る所に巧妙に隠されている。

動画サイトで動画を見ている時に、不意打ちのように挟んでくる冷凍弁当の広告。

その広告は低糖質を謳った弁当の宣伝をしているが、真夜中に食べてしまえば低糖質も何もかも意味がなくなってしまうだろう。

それなのにあんな肉厚なハンバーグやら、熱々の魚料理などを映されてはたまったものではない。


偶発的に遭遇してしまった飯テロはまだ許す事が出来る。

私が最も許せないのは、確信をもって行われているであろう真夜中に突如SNSサイトのタイムラインに流れてくる、ラーメン画像の投稿である。

あれこそまさに現代の一般人が行える最も簡単なテロ。

しかもラーメン。まさに悪魔的。


真夜中のラーメンというのはなぜあんなにもそそられるのだろうか。

例えば投稿された画像がラーメンとハンバーガーだったら、どちらの方が惹かれるだろうか。

もちろんハンバーガーの気分だった時はそちらの方が惹かれることもあるかもしれないが、そうだとしても真夜中のハンバーガーは田舎だとなかなか手に入れることが出来ない。

しかしラーメンはどうか。

気分じゃなかったとしても、今や近くにコンビニひとつあればインスタントラーメンを手に入れることが出来る。

そしてちょっと外に出て帰ってきて、3分待つだけで熱々のラーメンを食べることが出来るのだ。

まさに簡単に小腹を満たすことが出来る完成されている食品といえるだろう。


だからこそ深夜のラーメン投稿は悪魔的かつ効果的なのだ。


私は今真夜中に差しかかる時間帯にこれを書いている。

つまり自分で書きながら自分自身に飯テロをくらっている。

そして私はこれを真夜中に投稿する。


余談だが、ここであなた達にひとつ想像して欲しい。

蓋を開けた瞬間顔にかかる暖かい湯気。

その湯気と一緒に塩っけの強い濃い匂いが鼻腔をくすぐる。

汁を吸って程よい柔らかさになった麺を口に含みひと噛みすれば、もう箸は止まらない。

気づけば汁まで一滴残さず飲み干した後に、あなたは空になったカップの底を見て、そして時間を見て、絶望するがいい。



さあ貴様らも道連れだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

真夜中のラーメン 葵 悠静 @goryu36

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ