日陰兵衛という、凄腕の侍のお話です。
彼の扱う剣術は人体を一刀両断してしまう程の剛剣ですさまじく、普通の扱いなら大丈夫なはずの刀もすぐに折れてしまう。だから彼は背負子にたくさん刀を担いで、戦う時は何本も刀を地面に突き刺して折りながら戦うわけです。
もうその戦い方からして浪漫。浪漫の塊以外の何物でもない。
イメージ通りの剣豪さながらの彼はぶっきらぼうで粗雑で、ひょんな出来事から彼の旅路に着いてくるようになったおりんという少女にまぁ滅法辛辣にあたるわけですが、それがどんどん絆されてこっちがニヤニヤしてしまう展開になっていくのがたまらないものがありました。
ぶっきらぼうな青年と健気で頑張る少女が好きな方!ここに!ここにありますよ!
旅路の間に得た仲間(というか勝手に着いて来た連れ添い達)や暗躍する敵、敵の中でも芯のある魅力的な剣豪等々、一話一話の構成がいつも見事で、ドキドキとハラハラとニヤニヤの三種類が絶妙の塩梅になっております。
レビューのタイトルにあるのは私が感じたニヤニヤの頂点になりますので、読んで見つけていただきたく!
一度読み始めたら止まらない。是非一気に最後まで読破頂きたい作品です!
内容は、時代劇を思わせる真面目な剣豪小説ですが、主人公のサムライ、バッサバッサと敵を斬る!
そして魅力的な仲間たち、ラブや笑いに彩られた、殺伐としつつも何とも楽くも爽快な旅道中です。
主人公は、最強の剣技を編み出した剣豪、日影兵衛。
強力すぎるその技に並みの刀は耐えられず、自分の技に見合う名刀を得ようと旅をしています。
道中、ある町娘 “りん” と出会い、旅は道連れと江戸方面から京都に向け共に東海道を旅することになるのですが、なぜか襲い来る黒錦党なる悪の集団。なにやら日影兵衛やりんには隠された事情があるようで……
時代小説にあたりますので、当時の言葉遣いや名称なども出てきますがとても読みやすく、1話ごとに話がまとまっていますので、ストレスなく読み進めることができます。
必殺技や主人公の不敵さ、無敵さや、恋に鈍感で周りを巻き込むラブコメ、そしてキャラ立ちした仲間など、ファンタジーが好きな方にも刺さるであろうポイントも押さえられています。
「時代小説って小難しそう」という方にも、ぜひ読んでいただきたい傑作です!