第2話 子供の頃に憧れたこと・前編


 子供の頃はよく、あれになりたい、これになりたいと、いろいろ将来の職業ゆめを抱いては、それをコロコロとよく変えた。

 まぁ子供なんてそんなものだけれど、子供なりに真剣に考えた三つの憧れがある。

 順番でいくと、


 ① 児童文学作家

 ② 漫画家

 ③ 考古学者


 結局どの夢も叶わなかったけれど、大人になった今は大切な思い出のひとつだ。



 順序とは逆になるけど、まず最初に玉砕したのが、考古学者。

 中学生の頃、吉村作治先生の弟子になってエジプトで発掘したい! という思いを母親に話したら、


「そんな夢みたいなもの勉強しに大学行くの? そもそも大学無理だから」


 そんな答えが返ってきた。

 うちの父親は広義のダメンズで、家計は母子家庭マイナス(笑) とても貧乏な家だった。

 高校も公立一択を宣言されていたこともあって、ここは黙って引き下がった。

 その代わり、頑張って働いて世界の遺跡を見に行こう! という計画を立てた。

(この辺が後の貧乏旅行好きへと変わっていくのです)



 次に玉砕したのが漫画家。

 子供の頃から本に次いで漫画が好きだった私は、高校で漫画研究部に入った。

 楽しい仲間とも会えて、すごく楽しい高校生活を送ることが出来た。

 文化祭を目指してみんなで漫画を描き、冊子を作るという経験もした。

 でも、ここで気づく。

 遅々として進まない作業。絵のクオリティを保つことの難しさ。背景が描けない。モブシーンめんどくさっ!


(漫画、向いてないかも……)


 誰かが言っていた。本当に漫画を愛する人は、自分のキャラクターの服の模様さえ緻密に描けるのだと。(それが愛♡)

 私はせっかちな上に面倒臭がり屋なのだ。やはり向いていない。

 何よりも、自分の中にある長い物語を漫画にするのに、一体何年かかるんだよ? という絶望にも似た気持ちが大きかった。


 高校で出会った創作仲間が、小説を書いていた事も一因かも知れない。

 誘われて、小説を書き始めたのだ。

 子供の頃から物語を書いていたけれど、それはあくまでも漫画を描くための覚え書きだったので、きちんと文章を書くのはかなり新鮮だった。

(これが児童文学作家や、カクヨムに繋がっていくのです)


                             (後編へ続く)

  

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