蒼天の少女と下界の少年

銀河の旅人

聖夜に捧ぐ1つの伝説 始まりは奇跡のようなものだった

 夜空に浮かぶものは、最初は光で僕たちには何も関係ないものだと思っていた。

 だけど、それは誤りで大きな間違いだったってことに初めて気付けるようになったんだ。それは、満天の星空が煌く聖なる夜のことである。


 僕の住んでいる街は、段々式の比較的標高の高い山にある。

 僕は、今年の聖夜は自分でもどうしてかは分からない。

 けど、無性に開けたくなって窓を開けた。


 窓を開くとそこには、雪で覆われた山が見える場所だった。

 本当に美しい町並みで、ランタンが街のいたる所にあるからなのか。

 イルミネーションが本当にきれいな町並みだった。


 それらを見渡し、総てを見渡した後僕は窓を閉めようとした。

 閉めようとした時に、ひらりひらりと1枚の紙が僕の部屋に入ってきて床にぴたりと着地した。僕の家がある場所より上に家もないし、なにもない。

 上から落ちてくる事自体おかしいなあと思いつつも紙を観ることにした。


 その紙には、文章が書かれてあった。

 けど、何も解らずこの星では有名な考古学者のお父さんであるローに聞くために階段を降りて聞いてみた。


「えっ……。伝説のあの紙が落ちてきた。しかも俺の息子レオにだと」


 と、驚きを隠せないでいた。僕は解らなかったのでお父さんに聞いた。


「この紙は何と」


 幼かった僕は、お父さんに聞くとお父さんは


「これは、父さんも聞いたことしかないのだが伝説と噂されている蒼天族という遥か彼方の空と地上の間にいる一族の文字で。この文字配列は、太古の昔。結婚のために上空から地上に降ろしたとされる手紙だよ。そして、初めて手にしたレオとその家族にしか触れることができなくなるんだ」


 僕は気になって父さんに聞いてみる。


「えっと、他の人が触るとどうなるの? 」


 と父さんは一言。


「その人が、というね。噂程度にしか聞いてないから本当かはわからないけどね」


 お父さんはこういって紙を僕に返してくれた。そして。


「よし、来年から父さんは蒼天族について出来る限り調べておいてやろう。レオは、この紙を大切な場所にしまって今はもう夜遅いんだから寝なさい」


 お父さんは、胸を張って調べるというと僕も安心してうなずき上に上がって眠った。それが……、この星の歴史において大転換となる1日であったと今でも思う。


 それから10年の経ったある日、大転換の日にお父さんいや今は親父というほうがただしい。父が言っていた「」というのが本当に起きた。10年も経てば口調も変わり、周りの風景も変わる。それは、俺のところも同じだった。その頃は俺はいじめられていた。勉強する場所の人だけじゃないこの街の殆どの住民だ。理由は、あの紙は『嘘』とか『天罰なんてあるわけ無いだろう』といわれたりタマゴを投げつけられたりなどをしていた。そして挙句の果てには『蒼天族は存在していない』『歴史は総て偽り、俺こそが真実』といわれ一家は普通の家を建てたは燃やされ建てようとしては破壊され建てようとしては資金を全額取られ貧乏になった。


 彼らは我が物顔で、家を破壊し仲間になるものには大量の資金と家を提供し食事も提供したという。それで、俺は1人になった……。総てが敵になったのだ。


 そして、時は流れて両親も衰弱し俺も体力限界にまで追い詰められていた。

 ある日何かわからないが、僕は不意に紙を持っていきたくなった。

 何かはわからないけど、父のこの紙は大事にしていてあの言葉を思い出し持っていくことで何かが起きるかもしれないと思ってやったことである。


 次の日、聖夜の日だった。俺は、いじめっ子などに寝てる間に体を運ばれ腕を縛られ暗い場所に閉じ込められた。そして、紙を奪われたのだ。この紙は俺らのものだと言って……なにもない嘘だと分かって奪った。俺の唯一無二の希望だったのに……。


 そして聖なる夜、あの紙を拾って10年が経ったこの日……。

 奇跡と天罰が同時に下る。その日の夜、ボロ雑巾のような服装が更にぼろぼろになり。紙は、何処からか分からないけど、飛んできた。それは、瞬間移動して僕の手の中に収まる。それだけではない、俺の体は宙を浮かび紙が輝き始めたのだ。そして、輝いてる間、街のあちこちでその奇跡を見たものが多かったという。いじめられていた人々の家や怪我された動物、町並みなど総てが綺麗だったあの時に戻り始めている。だが……いじめていた奴らとその仲間はどうなったのか。彼らの住んでいる家が跡形もなく消えた。そして残されたのは瓦礫の山とそこに転がる気絶している仲間、買収された家族……総てが気絶している。記憶を失っているようではないが、取り戻せたという感覚だった。そして、……聖なる夜における奇跡は終わった。


 俺は家に帰ると、両親は元気を取り戻しており、抱きしめあった。

 そして事情を話して紙を見せると父は、俺に。


「レオ、やはりこの紙の力は本当だったな。そして、今夜は……噂通りであるなら天から罰が下る。即ち、この街におけるいじめっ子の家族即ちと自称していたから……何十箇所にも同じ雷が同時に落ちるだろうな」


 といっていた。確かに、この紙によると触れたものの一族もろともといっていたが……さらっと俺の父は、といい切った。それは、つまり何もしていないが色々なものを同時に開放するって事になるのか。


 その答えはすぐに分かる。

 そう思い俺は、外に出て家族とともに高い場所へと昇った。


 夜も更けた頃、突然雷鳴が鳴り響く。

 雷鳴は、常に何処からともなく現れ何千回も雷がなり続ける。

 豪雨が降り始め水溜まりが出来たかと思うと、道は河となり世界全域に雨雲が広がり豪雨を降らせる。


 圧倒的な光景に唖然としていると、一筋の雷がある豪邸に落ちる。

 それは、裏からこの街を支配していると噂されていた怪しき豪邸だった。

 その豪邸は、気付けば木っ端微塵に崩壊し跡形もなく支配していたと思われしものは……、醜態を晒し灰となって消えた。噂が……、まぎれもない真実になったであった。


「噂は、今ここに現実となった。昔も語ったが、10年以上も前。蒼天族からもらったこの紙は結婚時であると同時に、色々勉強して知ったこととして……降ろした人物も子供なら届く人物も子供である。故に、今の年代だと同じ年代のはずだ」


 俺はボロボロになった紙を見つめる。これが、俺にとっての希望である。

 どんな人かは分からない、結婚するかどうかは分からない……。

 俺は親父を見つめ雨が降りしきる中ずぶぬれになり両膝を地面につけ。


「親父、今わかってる蒼天族の事を。親父が調べたことを俺に教えてくれ」


 と土下座する。すると、親父は笑い出し。


「いいだろう……。だが、まずは……この雨が収まるまで家にいよう。これからだな」


 雨は次第に勢いを増しあらゆるものを流す濁流となった。

 俺は、大雨の中親父と傘をさしている母とともに家に帰る。

 そして、俺はまだ見ぬ冒険へと連れていかれるのだが。

 それはまた別のお話だ。


……蒼天の彼方……


 青く澄み渡る碧空、見渡す限り何もない雲。

 雲海が広がり幻想的な空間を醸し出す。

 遠くの空に見えるのは幻想の何とも言えないような奇麗で透き通っている色で星々が輝いているように見える。


 何もないというより、辺り一面何も広がっていないこの大空の中にポツンと……。

 島があった。嘗ては、栄えていた空島文化というものがある。

 蒼穹に広がり、満点の蒼空を覆いつくすほどの数があった浮島も。


 今はもう1つしかなかった。

 かつて、蒼穹を覇権を握ろうとした地上の愚か者により

 浮島のかつての礎を壊され今こうして一つの島になっている。


 様々な部族がいたが、移動する浮島に乗り移り見知らぬ大地へ

 地上へ拉致されたもの、まだ知らぬ土地へ旅立つもの。

 そして……山脈へ降り立つものと3つに別れた。


 それは、つい先日のように思い出す彼らは……浮島に留まっていることを半ば後悔していた。浮島の動力源である飛翔石があるのだが、……明らかに浮力が失われつつある。永劫の時を飛んでいた。浮島の歴史において、最大の危機に瀕していた。


 少女は、紙を落とした……今から10年前の出来事である。

 当時の蒼天族は、怒り狂ったように少女を攻め処刑をするように攻める者もいた。


「てめええ、万が一地上の民に降りたら、今度こそ俺たち殲滅されるぞ」

「死んじまう……お前の子供のくせに…処刑してやる」


 血が上り、少女を断罪しようという者たちまで現れる始末。

 その中で少女は落ち着いている。だが、膝は震え泣き崩れそうになっていた。

 そこに蒼天族族長がやってくる。


「皆の衆、この紙を落とすという事は婚姻の儀式を求めるもの。同時に、救済にもなりうるのじゃよ」


 と族長は語りだす。族長が語り始めるのでみんなが静まり始め耳を傾ける。


「それとな、あと11年いや……10年も長くも持たぬかもしれんが、飛翔石の浮力が徐々に失いつつある」


 ……それは、蒼天族に全体に響く。

 飛翔石、それは永遠を貫き空を浮遊し続ける蒼天族いや浮島に住んでいた皆の宝のような存在であり、それはとっても大切なものだった。


 それがなくなる、それはいわゆる種族の滅亡ともいえるのだ。

 そこに少女が、口をもごもごさせつつも話す。


「今みんな族長の話を聞いて絶望したのかもしれないよね……。だけど……だけど、希望は、最後まで捨てない。捨てたら……、浮島が滅亡しちゃう……。そんなの……無茶苦茶だよ……。馬鹿じゃないの。最後の希望だと思ってあの紙を落としたの」


 と優しく諭したのち、少女は息を吸って目を瞑り。

 しばらくたって目を開けて、


「この紙が届き10年後……何かが起きるよ。必ず」


 少女は、未来を見据えていたかのように語り……

 ジャスト10年後である今日……。

 雷龍が蒼穹の空間に突如出現し、


 地上へ降りて行った。

 雷が、雲のあちこちで光。

 蒼天族は、皆……驚きを隠せず少女……蒼天のような青い瞳に水色の髪型。

 むっちりとした感じでもなく細すぎるわけでもない体だが、少しだけ子供の感じを残した少女は……。狭い道を走り抜け、島を走り抜け地上……いや雲海を見れる場所へ移動する。


「……やっぱり、地上は……悪しき存在は必ず因果応報を受けるんだよ」


 少女の名は、ミニル……。蒼天族の長の娘である。

 そして、ミニルは…地上を見つめ。


「待ってるよ……。私の……紙が届いた人……。今度こそで私たちを救ってね」


 とても意味深な言葉を残し、ミニルは日常へ戻っていく。


 そして……運命の歯車は回りだし彼らは引かれていく。

 全てがであるといわんばかりに。

 少年と少女、彼らの物語はこれから紡がれていくのだ。






 

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蒼天の少女と下界の少年 銀河の旅人 @utyuu01

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