第3話 「私」の愛しい「おおきな猫」
「三月の雪」
小木原 見菊子様作 「猫」より
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灰色の毛皮の猫の「私」と「大きい猫(飼い主)」の「僕」。
「私」と「僕」のそれぞれの視点でエピソードがすすんでいきます。
補完しあっているようですれ違い。すれ違っているようで補完しあうエピソードがぽつり、ぽつりとグラスに滴る水滴のように公開されます。
その中でもご紹介したいのが、「三月の雪」。
「少し前から」「大きくて馬鹿な猫」は寝込んでいるようです。「私」の世話をする以外「ずっと布団の中」。
「私」は「大きい猫」のおでこに前足を当てるのですが、その表現が
「私が元気のない時、大きくて馬鹿な猫は前足を私のおでこに当てるから、私もそうしてやった。」
「そうした」でも「そうしてあげた」でもなく、
「そうしてやった。」
この言葉の選び方がとても好きです。
猫の自由さ、愛情、距離感とちょっとだけのシニカルさがこの言葉から感じられます。作品を通して「私」の一環した立ち位置です。
少し離れた場所で重ねた脚に顎を乗せた「私」が、横目で「大きい猫」をのんびりと見ている。そんな様子を思い描いてクスッとしてしまうのです。
エピソードで「お話しのグラス」がいっぱいになったとき、「私」がどんなことを思うのか、今から楽しみです。
皆さんも、この「猫」たちのお部屋にお邪魔してみてはどうでしょうか。
小木原 見菊子様作
「猫」より
「三月の雪」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054945846138/episodes/16816927861815316527#end
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