六竜王戦記 水野酒魚。様

【タイトル】 六竜王戦記

【作者】 水野酒魚。

https://kakuyomu.jp/works/16816927859468707420


 本作に登場する双子は見た目は瓜二つ。性格は真逆な姉妹双子です。

 姫らしく自信に満ち溢れた言動のヴェルと気弱そうな印象のアズゥ。話したときの印象はまるで違いますが、主人公であるフィーアに憧れを抱いているという点は共通している愛らしい双子です。


 見た目はそっくりだけど中身が違う双子って良いですね。同じ顔立ちでも言動が違うとまるで違う人間に見えます。それでも同じものを好きであったり、仲が良い部分が見えると姉妹であり双子なんだなと微笑ましい気持ちになります。

 ヴェルとアズゥは可愛らしく、主人公フィーアの心も和ませてくれる存在です。


 同時に同じ姫という立場でありながら、フィーアとのあり方の違いを対比してくれてもいる貴重な存在でもあるなと感じました。


 白の剣姫と呼ばれるフィーアはドレスで着飾り、パーティーの華として振る舞う姫たちとは異なる立場にたっています。

 武門を尊ぶ気風を持つ国において、女でありながら天才と評されたフィーアは兄たちが疫病でなくなったことを切っ掛けに王太子に即位します。民と自分が望む立派な王になるために髪を伸ばすことをやめ、男性のような姿で立振舞うフィーア。そんなフィーアは国の慣習に従い、他国に留学することになります。

 その道中からこの物語はスタートします。


 凛々しい女の子主人公。そういう要素が好きな人にとってはフィーアの言動や作品の雰囲気は突き刺さると思います。女だから舐められてはいけない。けれども女だからこその不安や葛藤もある。そういった微妙な心の揺れが見えるたびにフィーアを応援したい気持ちがましていくのです。


 他にもキャラクターとの関係性も素敵です。

 私は衛士長のディルとフィーアの関係が好きです。王太子に使える衛士長とは思えないきやすさ、というか不遜にも思える態度のディルとそれを受け入れるフィーア。第三者には分からない二人の独特の関係が築き上げられており、王太子として気を緩められないフィーアにとっては数少ない気を抜ける相手なのかもしれないと思えば関係萌えとしてはたいへん美味しいです。


 作品としてはまだ序盤。事件が起こり、今後のフィーアたちの対応が求められる場面です。今後どういう展開になるかはまだまだわからないのですが、フィーアが大活躍してくれたらいいなと見守っております。

 双子を求めて読み始めましたが、フィーア推しになりました。姫様カッコいい……!


 というわけでカッコいい女の子主人公と愛らしい双子姫をみたい方は読んでみてはいかがでしょうか。

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