これまでのしがらみを断ち切り、密かにそっと、静かに歩むことを始めた女性をとおして、生きていくことの楽しさを、そのために必要な厳しさをスパイスに入れつつ描かれています。
「前進」などといった大向こうを張った言葉とは真逆の世界ではあるが、そんな言葉を声高に機関紙の題にしている左翼の過激派団体や元首相の息子である代議士のポスターの世界の真逆にある、私たちが最も居心地のいい場所は、実は、この作品の主人公の女性のいる場所のようなところではないか。
この作品は、何か大事なことを、静かに、そっと、教えてくれます。
読んで、何だか、ほっとする清涼剤。
そんな物語です。