アレロパシー

アレロパシー


 私は、人の善意を素直に受け止められないのです。

「何か裏があるぞ」「何か見返りを求めておるぞ」

 この様に感じてしまうのです。

 だいたい、本当に困った時に寄ってくるヒトなんてのは、大概はロクな人間ではありません。宗教だの、自己啓発だの、なんたら心理セミナーだの。ロクデナシの金儲け、その醜悪極まりない偽善の言葉、行動、その全てから漂う胡散臭さ、プンプン。

 キリストも、仏も、アッラーも、スパゲッティ・モンスターも、そんなものはいやしません。あれは精神障害者の幻覚です。

 いやいや、スピリチュアル的な、超常現象的な、非科学的な、そういった事象その全てを否定することはありませんよ。むしろ、私は、そう言った世界(精神世界というのでしょうか)は好きな方です。迷信じみたものに抗えない私もおります。伊勢の神宮だとか、なんとか大社だとか、そういった場所に行った折には、言葉では言い表せない俗世との相違を感じすらします。

 しかし、私は、神や仏なんて信じません。


拝啓 


 親愛なる神様、仏様へ

 もし居られるのなら、今日、私が昼寝している間にその息の根を止めてくださいまし。そうしたらば、その後に残った肉塊を消し去ってくださいまし。(葬式はいりませんから、火葬だけして、その辺に散骨していただけたら、それでよろしい。)

 上のようにして頂けましたら、神様仏様を信じましょう。信じる私は居りませんでしょうが。

                  敬具

 

 偽善こそが善意です。本当の善なんてのはありません。仕方がないので、偽善を甘受します。情けは人の為ならず!(他人にした事が自分に返って来るという意味でも、その人の為にならないという間違った意味でも、この諺は正しい)

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或る朝の記録 雪(うぱし) @euxsapu

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