猫の手を借りた結果、白髪猫耳少女が隣に寝ていた。
らかもち
第1話
「ミケ、手を出して」
ミケは僕の手に、お手をする。
「よくできました!ご褒美にチーズ上げるね。」
パクパクパク。
本当にミケはかわいい。
ずっと僕についてきて甘えてくるし、
いろいろな芸もできて賢い!
ただ、一つだけ残念なことがある。
それはミケが猫だということだ。
もしも人間なら、一緒にしゃべったり、遊んだりできるのに…。
「...もしも、猫の手を借りれれば、僕の夢も叶えてくれるのでは…。」
やばい、いくらリアルが悲しいからって猫に対して、擬人化の妄想を抱くだなんて…。
っていうか猫の手を借りて、なんで僕の夢を叶えてくれるんだよ。
神様くらいじゃないとそんなことできないぞ。
「実際に起きないことを考えてもしょうがないよなぁ…。」
ミケを持ち上げながらそう呟いた。
ミケはこちらをみたままで微動だにしない。
「......」
「とりあえず、寝ようか!ミケ。」
時刻は現在24時、さすがにもう寝ないと明日がつらい。
ミケにもそんなに夜更かしさせちゃいけないからな。
電気を消して、ミケと一緒に布団に入る。
こうしている時が一番落ち着く。
「おやすみ、ミケ....」
「....ニャー」
*******
僕と同い年くらいの少女が立っている
おかしい。その少女は、しっぽが生えていて、猫耳がある。
どっかのコスプレイヤーかな?
しっぽが動いている?
こちらに気づいたようだ。
僕をじっと見つめて、なんだか嬉しそうにしている。
だんだんこちらへ近づいてきて―
「...なんだ。夢か。」
白い壁が目の前に見えた。
僕の妄想が引き起こしていた夢。
「夢にまで出てきちゃうのは、まずいだろ…。」
「何がまずいのかな?ご主人?」
ちょっと低めの女性の声が聞こえた。
…ん?おかしい。僕の家には女性などいないはずだ。
寝返りをうって、声のした方向を確認する。
そこには夢で見たまんまの少女がいた。
「なにもおかしくなどないぞ?わたしはミケだ!」
猫耳…。しっぽ…。
そんなのは問題じゃない。
服を着ていない少女の姿がそこにあった。
「....え」
「ご主人?」
「ぇぇええええええちぃいいいいいいいいい」
フクキテナイ....。
「ちょ、ちょっと待って!服着てもらっていいかな?」
「?何をおかしなことを言っておる、わたしはいつも全裸ではないか?」
・・・。
ドウイウコト?
変態?痴女?
ダメだ、頭が混乱している。
「あ、あなた誰なんですか!」
「だからさっきから言っておるだろう。ご主人!あと変態ではないぞ!」
ご主人…?
僕は部屋を見渡す。
そうだ、ミケがいない。ミケ...?
「君は、っミケなの?!」
「そうだぞ!」
そういって少女(ミケ)は、コクコクと頭を縦に振る。
「...っていうかとりあえず服着て!」
**********
「わかった。状況は理解したよ。」
僕はミケからなぜこのようなことが起こったか聞いた。
僕 「ミケが人間だったらいいな」
↓
ミケ「私は神だ!猫の手を貸してやろう!」
↓
願い事かなう
↓
僕が困惑する ←今ココ
「って納得できるかぁああああああ!」
「神?猫の手?なにそれぇ…!!」
わけがわからないよ…。
「解説してやろう!」
ダボダボの服を着た白髪猫耳少女が嬉しそうに言う。
「神というは全知全能であり、たくさんの神がおる。私の場合は猫神で、人々を日々見守っている。また猫の手を貸すというのは、こっちの言葉でいうと願いをかなえることなのだ。」
「...おぉぉぉぉぉ」
納得した。っていうか、せざるを得ない。
神の世界ってあるんだね。スゴイツゴウノイイセッテイダ
ふと疑問がわいてきた。
「僕の夢をかなえてくれるために人間になったのは分かったけど、ミケはこのままでいていいの?」
「はて、どういうことだ?」
「いや、人々を見守る神様なら僕と一緒に暮らしてるわけにはいかないだろうし…。」
「大丈夫だぞ。天界にいる私の分身がそちらを全部担当している。」
分…身…?
これ以上突っ込んだら負けな気がする。
何せ相手は神だから。常識は通用しないさ。
「なるほどね。ミケはこれからどうするつもりなの?」
「もちろん、ご主人とずっと一緒にいるつもりだが?」
尻尾を揺らしながら、上目遣いでこちらを見てくる。
もとからの美貌と相まって、ものすごい破壊力だ.....!
「い、一緒…?」
「そうだ!ずっと一緒だぞ?ご主人が死ぬまで、いや死んでからも。」
ん?
「ご主人が死んで天界に行っても、わたしはご主人と一緒だ。わたしは神を退き、ご主人と一緒に悠久の時をそこで過ごそうと思っている。」
あれ、この子…。
「今後私と生活を営んでいくうえでルールを作ろうと思う。」
「..ルール?」
「そうだ、ルールだ。今後私以外のメスと連絡を取るのを禁止する。ご主人の視界に入れるのは私だけで十分だ。また、私の許可なく外出するのもNG。メールをするのもNG、また―」
っっっヤンデレすぎる!
ヤバイ逃げないと…。
どこに?相手は神。
「なにを考えているのかな?ご主人。」
ニコニコしながら、ハイライトの消えた目で見つめてくる。
あ、こりゃ終わりですわ。
「ううん、なんでもないよ。ミ、ミケがとってもかわいいなって思っただけだよ…!。」
ば、バレたか?
「ご主人からそんなことを言われるだなんて....///」
頬を赤く染めて、俯きながらそう言う。
「…ッグハ」
やばい悶え死にそう。
そっか。これでいいんだ。
こんなかわいいこと一生を過ごせるなら、それでいいじゃないか。
「ご主人、ずーっと、ずーーっと、一緒だね?」
そうやって語りかけてくる少女の目は、瞳孔が開ききっていた。
**************
今回はKAC二作目です。一瞬で仕上げました!
KAC2022が終わったら、世界観や設定を練った長編ラブコメなども書いてみたいです!
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猫の手を借りた結果、白髪猫耳少女が隣に寝ていた。 らかもち @Karamochi
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