第10話 ヴァンとコーラルのこの先。

ヴァンはこの先の事が気になりコーラル達に聞く。

「え?私は聖地トウテに行くけどヴァンはドウコに帰るんじゃないの?」

「え?俺帰るの?」


このまま絶対に同行できるとは思っていなかったが、かと言って簡単に帰れと言われるとは思わなかったヴァンは思わず聞き返してしまう。

コーラルは当然という顔で「だってヴァンの仕事はイブをラージポットに連れてくるのが仕事よね?」と言ってだから帰るべきだと話す。


そこにオルドスが「コーラル、それはやめた方がいいね」と口を挟む。


「おじ様?なんでですか?」

「ヴァン君を人質にされたら困るだろ?それに貴い者としてお礼をしないでどうするんだい?」


コーラルはヴァンとオルドスを交互に身ながら「…まあそうですけど、私はスティエットとしてトウテに入れますけど、ヴァンはダイモかサミアで待たせる事になりますよね?」と言う。


「んー…それはまあ私がなんとかするよ」

オルドスはそう言うと目を金色にして「あ、今大丈夫そうだ」と言うと「やあ、スーゴイ君。真式です。第一騎士団が動いてるから多分君も聞いていると思うけどコーラル・サルバンが目覚めてね、無事にラージポットに着いたから。それで連れてきてくれた子にお礼は何がいいか聞いたら1万ゴールドより千ゴールドとトウテの入場許可だって言うんだよね。熱心に歴史を調べる子でさ、今も教科書持ってきてるから応援したくなっちゃったんだよね。じゃ、私が連れて行くから文句ないよね?うん。ありがとう」と一気に捲し上げた。


ニコニコ笑顔で「良いって」と言うオルドスにヴァンが不安げに「…本当ですか?」と聞くとオルドスより先にコーラルが「良いのよ。ミチトお爺さまもそうやっていたの」と言った後で「でもヴァンは無事な顔をご両親に見せないで良いのかしら?」と疑問を口にするがヴァンはシレっと「良いんじゃないかな?うちの親もそんなに俺に興味ないし」と言ってケロっとしている。


オルドスが名案とばかりに「じゃあトウテに行く前にドウコに行けば良いんだよ」と言って「コーラルはドウコに行ける?」と聞く。コーラルは「…私は位置登録が済んでません」と返した。


「じゃあ皆で仲良く行こうか?ヴァン君へのお礼としてさ。ゴルディナ、頼めるかい?」

この言葉に横に居た女性…ゴルディナが「御意」と言った。


「童よ。歴史に興味があると言ったな?妾の名はゴルディナ。この地を守護せし者。外に出て妾の真の姿を見ると良い」

ゴルディナとオルドスが外に出ると信徒達が土下座で手を合わせる。


ヴァンが驚いてそれを見るとゴルディナが「聞け!ここに80年の時を経てコーラル・サルバンが帰った。そして妾とオルドス様はこれより聖地トウテへ赴いてくる。留守は任せたぞ!」と言い、信徒達が「わかりました」「お任せください!」と言う。


「よし!妾の姿を見れる事を光栄に思え!変化術!」

この掛け声でゴルディナは巨大な金色の竜へと変わった。


ヴァンはひと目でゴルディナの正体を知った。それは興味があって先に少し読んだ中に居たラージポットのボスモンスター金竜だった。


「で…伝説の金竜だ…」

「ふふ、流石は童。さあ我が背に乗るが良い!」

ヴァンとオルドスとコーラルが乗ると金竜は天高く舞い上がり一気にドウコを目指す。


「速っ!」

「ふふ、ドウコまでは20分と言ったところだ、空の旅を楽しめ!」


ヴァンは感動に震えながら眼下の景色を見たり流れる雲を見たりする。

その時、横のコーラルが余裕の表情で「風が気持ちいい」と言っている事に気付く。


「コーラルは乗せて貰ったことあるの?」

「ええ、昔はよくお姉様にお願いして乗せてもらったわ」


「ふふ。懐かしいな。コーラルからはよくサルバンからラージポットに転移してきて空に連れて行けとよく言われた。ミチト様がよく模真式を語っていた中で父にレイピアを習う時にノックもせずに部屋に飛び込んだと言っていた。それを彷彿させる」

「…恥ずかしいです」


ドウコに着くとヴァンの親達は寺院が手配した住居に住んでいて寺院の手伝いをしていた。

ヴァンの父は「この子がイブ様?」と言ってコーラルを見る。


「ええ、イブお婆さまの姿を借りてました。本名はコーラルと申します」

信徒達は突然現れたコーラル達に土下座で手を合わせる。


そんな中立ち尽くすヴァンの父達はよく目立った。

そしてコーラルを見てイブかと聞いた。


「ご両親、この度はヴァン君にはコーラルを助けて貰いました。一度無事を知らせに来たんです」

「あれ?まだコイツに使い道があるんですか?」


「ええ、コーラルはこの時代に蘇って友も家族も居ないので気心知れた相手が居てくれると助かります。それに多分今帰しても襲撃者達とは手打ちになってませんので今度はドウコが火の海になります」


この説明にヴァンの父は嫌そうな顔でヴァンを見て「マジか。ヴァン、お前帰ってくんな」と言う。とても親が子に言う言葉ではないがヴァンは傷つく様子もなく呆れ顔で「だと思ったよ。了解。父さん達こそ評判悪いから正しく生きてよね」と言い返す。


それ以上何も言わずに済ます光景にコーラルが困惑気味に「…え?もう話が終わるんですか?」と言う。


「いいんだよコーラル。さあ次に行こうよ」

「ええ、では皆さん。行ってまいります。おじ様?」


コーラルが何を言いたいかわかった顔のオルドスは「コーラルに頼もうかな?」と言うとコーラルは元気よく「はい。転移術!」と言った。

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