ぐれの日常

高岩 沙由

ぐれとパソコン

 吾輩は猫である。

 名前は……ぐれ、というのにゃ。

 ご主人さまが名前をつけてくれたのにゃけど、全身ぐれーの毛だからって、どこかの国の言葉でぐれーという色の意味の単語で、ぐれ、とつけてくれたにゃ。

 とっても気にいっているのにゃ。


 そして、名前をつけてくれたご主人さまは[ものかき]という職業らしいにゃ。

 朝起きて、一緒にごはんを食べたあとは夜遅くまで、ぱそこんという機械であそんでいるにゃ。

 ときおり、ご主人さまが、

「書けない……。何も思いつかない……」

 って、ぱそこんのまえで動かなくなっているにゃ。

 その時は、僕はぱそこんに近づいて、ご主人様のかわりにあそぶのにゃ。


 今日も朝から、ぱそこんとあそんでいるご主人さま。

「夜にしめきりなのに……。何も思いつかない」

 って、ぱそこんの前で動かなくなっているにゃ。

 じゃあ、僕とあそんでくれるかにゃ? と思って、机の上に乗ったにゃ。

 そしたら、ご主人さまにすぐに胴体をつかまれて、机からおろされたにゃ。

 でも、僕はめげないにゃ。すぐに机の上に乗るにゃ!


 ……あれ? おろされないのかにゃ?

 ご主人さま、ぼーとしてるにゃ。

 じゃあ、今のうちに、ぱそこんとあそぶにゃ!

 かちゃかちゃ、と音がするし、足元がふにゃふにゃと沈み込むのが楽しいのにゃ!


 ――あれ? あそんだら、眠くなってきたにゃ。

 かちゃかちゃ音がするところで、そのまま丸くなって眠るにゃ~。


「ぐれ、ありがとう!」

 その声に目を覚まそうとしたら、胴体をつかまれておろされたにゃ。

 上を見たらご主人さまが、勢いよくぱそこんとあそんでいるにゃ!

 僕のあそぶ場所がなくなっちゃったから、ご主人さまの膝の上に乗っかって眠るにゃ。

「ぐれがキーボードの上で眠ってくれたおかげで、いいアイデアを思いついた。書き終わったらご褒美におやつあげるね」

 おやつ! ってちゅーるかにゃ? でも、今は眠いにゃ。起きたらちゅーるほしいにゃ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ぐれの日常 高岩 沙由 @umitonya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説