猫の手サービスセンター

砂漠の使徒

猫の手サービスセンターからのお知らせです

 毎度ありがとうございます。こちら猫の手サービスセンターでございます。この度ここS市にも活動の幅を広げましたので、ご挨拶に参りました。

 当社は、いわゆる「何でも屋」でございます。お客様の注文があれば、なんであろうと承ります。水道工事、お引越し、家庭教師、草むしり、お留守番、迷子の子猫ちゃんの捜索まで。料金は前払い、内容によって要相談です。

 本サービスの画期的な特徴として、お仕事の遂行率が完璧ではないことが挙げられます。これは技術的にではなく、意図的にです。例えば、お庭の草むしりを例にすると、お庭の面積の半分の草しか抜かない場合もありますし、一本しか草を抜かないことあります。もしお客様がそのことに対してお怒りになられても、それが当社の方針ですのでこちらからはなにも言えません。料金のお支払いの際は、ご注意下さい。

 では、なぜ当社が一般的に「不完全」だと思われる仕事を行うように方針を定めているのか、お話ししましょう。昨今の忙しい社会では、完璧が求められます。なにごとも、間違いがあってはならないと。しかし、ときには間違ってもいいのではないでしょうか。人間とは不完全な生き物です。それを思い出していただくために、あえてお仕事を完璧に遂行しない便利屋を立ち上げました次第でございます。余談ではありますが、社名の由来はご存じ「猫の手も借りたい」という慣用句から来ております。大抵便利屋に依頼するお客様は急いでおられます。そんなときこそ、猫の手を。自由気ままで奔放な猫こそが、我が社の目指す「不完全」なお手伝いを表していると考えました。


「〇〇氏(58) 最初、草むしりを頼んだときは驚いたよ。庭がめちゃくちゃになっていたからね。今まで頼んでいた庭師がきれいに剪定していたものがすべて破壊されていた。当然私は怒ったよ。しかし、今になって見てみるとこの荒れた庭はこの世の不安定さを表しているようで、実に趣深い。感謝しているよ」


「〇〇氏(40) 子供の家庭教師に頼んでみたところ、勉強はなにも教えずにゲームをしていて驚きましたわ。けれど、そこで久しぶりに子供の笑顔を見ましたの。私、気づいたのですわ。勉強勉強と詰め込みすぎて、子供から自由を奪っていたことを。猫の手サービスセンターさんからは、型に捕われない人生の歩み方を学べて大変ありがたく思っています」


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【お詫び:先日依頼がありましたネズミ駆除で、大変残念ながら全て駆除してしまうという事態が発生いたしました。これは当社の理念に反することであり、重く受け止めています。ゆえに、四月中の営業は中止させていただきます。ご理解とご協力をお願いします。】

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