第39話 甘い香水の香り~9M39ミサイルを添えて~⑤
~~時は戻り昼休憩~~
「......ここが正念場だ。私にはやるべき事がある。やらなくてはならない事ができたのだ。連隊長の願いを叶える事。彼女達を守る事。それこそが私に与えられた使命なのだ。もう迷うな......SA-2Eなら一人でもミサイルを撃てる。最悪この命と道連れにしてでも墜としてやるさ......」
胸に手を当て、そう呟いていると火器管制室の扉が開かれ1人の少女が現れた。
「......随分悩んでいるようね」
「ルフィーナか......お前も真実を知ったのか?」
「ええ。そして今日の午後、決着が付くとも言われたわ」
そう言いながら火器管制室から飛び降り、エレーナの元へと歩み寄っていく。早朝から防空任務にあたっていたからか、大きな欠伸をしながら背伸びをしている。
「......お前は撃墜命令を受けなかったのか?」
「......言われたわ。でも断ったの。うちの子達には荷が重すぎるのよ。きっとあの子たちは自分達のせいで連隊長が居なくなったってずっと言い続けるわ」
「そうか......だが私は受けた」
「そうみたいね。......どうして受けたの?」
「連隊長と中隊長の覚悟を聞いて......決心が着いたんだ」
「......ふーん?」
エレーナの近くまで来たルフィーナは腕を組んで睨みつけるようにエレーナを見つめている。どうやらその答えに満足していないようだ。
「......いや、嘘をついた。......私は連隊長の覚悟を理由に戦いたいだけだ。迷っていた私は連隊長の言葉に縋り、自分を納得させていただけなのだ......」
「......そう」
「私は優柔不断な女だ。戦う道しか能がないのに未だに他の生きる道を探してしまう。......私は連隊長の目を見て戦う意思を伝えられなかった。自分が納得できる戦う理由を見つけられなかった。だが私は連隊長の為に戦いたいと思っているのは確かなのだ。だから無理にでも自分を納得させる必要がある......」
「......」
「......本当は私は戦う理由が欲しい。愛想を尽くしてしまったこの国に代わる、何か明確な理由が......仲間達を守りたいという気持ちで何とか戦おうとしているのだが、不思議と身が入らないんだ......」
その言葉を聞いたルフィーナは目を瞑り、少し眉を上げて微かに微笑んだ。その表情は安心したのか呆れたのか、どちらともとれるような表情だった。
「......貴女らしいわ」
「......何?」
「どうせ彼女達を守りたいのに矛盾ができて納得がいかないとかそんな理由なのでしょう? オマケに誰かを守りたいという強い意志も感じられない。今の貴女はポンコツそのものだわ」
「ポンコツ......私がか?」
「ええそうよ。全く、ニーナ准尉が攫われた時のあの気迫は何処に行ったの? あの時、私は規律もへったくれもない貴女に失望したのだけれども、それと同時に羨ましがっていたのよ?」
「どういう事だ?」
「軍という枷に縛られるよりも貴女は自分の大切な仲間の事を選んだ。それは並大抵の人には難しいことなのよ? あの時、それをやってのけた貴女の事はとても羨ましく思えたわ......」
「......」
「......でも今の貴女は違う。他人の言う事を鵜呑みにして自分の意志なんて無い。自ら率先して動こうとしない貴女はまるで操り人形のようだわ。何時からエレーナはそんなつまらない人間になってしまったのかしら?」
「......返す言葉もないな」
「だから、エレーナ」
「......ん?」
すると急に真面目な顔をして仁王立ちするルフィーナが驚きの言葉を口にした。
「貴女、恋をしなさい」
唐突なその言葉を聞き、エレーナが理解できずに固まった。
「......は? なぜそうなる?」
「だって貴女、中途半端な気持ちで彼女達と向き合ってるでしょう? だから迷うのよ。いっそ誰かを愛してしまえばいいのよ」
「......馬鹿らしい事を言う。人を愛するのも部下を大切にするのも変わらないだろ?」
「違うわよ。ライーサ中隊長を見てみなさい。おそらく彼女、あの連隊長の為なら人も平気で殺すわよ?」
「......そうなのか?」
「そんな中隊長が今回の命令を大人しく聞いているのも、一途な愛があるからよ。『愛する人の為に尽くすのも女の幸せ』と自分に言い聞かせ、愛する人の為に身を引こうとしているのよ? そこにどんな覚悟があるのかは貴女にも理解できるでしょ?」
「......」
「その覚悟を持てたのも愛があるからよ。そしてこれは連隊長も同じ。愛する家族を守る為に、こんなふざけた国で軍人を続けていたのよ?」
「......愛する家族の為......か......」
「だから連隊長は頑張れるのよ。今なら私にもそれが良く分かるわ。それは貴女も同じだと思っていたのだけれど?」
「......お前はどうなんだ? 自分の隊員と距離をとっているのだろう? お前に隊員に向ける愛なんて理解できないと思うが......」
「......それはどうかしら?」
ルフィーナは振り返ると大声で火器管制室に呼びかけた。
「スサンナ少尉! こっちに来なさい!」
すると火器管制室からキリっとした顔立ちの少女が飛び出してきた。きめ細やかな黒髪を縛り、真っすぐに切り揃えた前髪はニーナと似ているが、感情をあまり出さず良く困り顔をする彼女と違い、真面目そうで自信に満ちた表情が対照的だ。
(......ん? 甘い香りがする......?)
彼女が近くまで来ると風に乗って甘い香りが鼻孔をくすぐる。どうやら香水をつけている様だ。規律を乱すような事を極端に嫌うルフィーナの部隊員からこのような香りが漂ってくることにエレーナは非常に驚いた。
「お呼びでしょうか? 小隊長殿」
「紹介するわ。彼女は火器管制官のニキートヴィチ・スサンナ・クリメントヴナ。私の恋人よ」
「何!?」
「ちょっ!! 小隊長殿!? いきなり何をッ!?」
突然の告白に驚愕し、目を見開くエレーナ。隊員と距離を置いていると言っていたルフィーナが、まさか恋愛で自分よりも遥か先を行っていたことに衝撃を受けた。
「あら? エレーナになら別にいいじゃない」
「ですがこう言った事はもっと慎ましくするべきでありまして......」
「何を恥ずかしがっているのかしら? なんならここで貴女にキスをして優柔不断な彼女に見せつけてあげてもいいのよ?」
「えぇえぇ!? そんなの見せられませんよ!!」
「今更キスぐらいで何よ。貴女だって昨日あんなに激しく私を求めて......」
「わぁーー!! それ以上はいけません小隊長殿! エレーナ中尉に猥りがわしく思われてしまいます!!」
「彼女にはこれくらいの刺激が必要なのよ。じゃないとこの馬鹿は何時まで経っても進展しないわ」
「ちゅ、中尉殿!? 違いますよ!? 私は淫らな女ではありませんからね!?」
顔を真っ赤にしながらエレーナとルフィーナの間に立ち腕をブンブン降って否定するスサンナ少尉。それを開いた口が塞がらないまま2人を見つめるエレーナ。
「驚いた......本当に隊員と付き合っているのか? あのルフィーナが?」
「そうよ。もう毎晩のように彼女と愛し合っているわ」
「何を口走っているんですか!?」
「事実じゃない」
「......それはっ!」
「それほどまでとは......信じられない......」
「人は変わるものよ。私だってこうなるとは思ってもいなかったわ。でもね、人を愛する事を知った今、世界が変わったわ」
そう言うとくるっと体を回し、天を仰ぎながら空を見上げるルフィーナ。
「私はこの国が大っ嫌いよ。ろくでもない国だわ。でもね、彼女が居る。私には愛する人がいる。それだけで私の人生には薔薇が咲いたわ。戦う理由なんてそれだけで十分だったのよ。以前の私は部下を失う事に怯えて生きてきたわ。だから仲良くならない事でその恐怖から逃げてきたの。その生活は一面灰色の人生だった。この空みたいにね」
するとスサンナの方に振り返り、優しい笑顔を向けると再び目を閉じた。
「でもね、彼女が彩をくれたわ。戦う理由もなく仕事ととして割り切って軍務についていた私を変えてくれた。愛する人を守りたい。それだけで私の仕事には色がついたの。絶対にこの子を守る。失うのが怖いなら失わないように努力すればいい。幸せな生活を壊さなければいい。そんな簡単な事を、私はこの子から学んだわ」
「......小隊長殿......」
「だから私は戦うの。この子を守る。ただそれだけの為に......」
「......私も大切な仲間を守る為に戦っている......」
「違うわ」
「え?」
「貴女の中途半端な甘えた覚悟と私の覚悟を同じにしないで頂戴。貴女の"守る為"というのは只の大義名分よ。私の"守る"というのは私の人生全てを掛けたものよ。重さが違うわ」
「......私だってこの命を仲間の為に捧げる覚悟がある。彼女達の為に死ねるのなら本望だ......」
「......だから貴女は馬鹿なのよ」
「何?」
「エレーナは自分の死を免罪符にしようとしているわ。だから軽々しく死ねるなんて言えるのよ。貴女が死んで一体誰が得をするというの? 貴女だけでしょう?」
「......それは......」
死んだら得をするのは自分だけ。その言葉が深く刺さった。心のどこかで、戦死して楽になってしまいたい、そう考えている。その事をこの言葉で初めて認識した。それと同時にエミリヤに言った自分の言葉が蘇る。今ルフィーナに言われている事は、正しくエレーナがエミリヤに言った言葉そのものだ。
「......私は人に『命を無駄にするな』だの、『大切な人を失う気持ちが分かるか』だの言っておきながら、自分自身が一番死を望んで居たとはな......全く滑稽だ.....」
「ようやく気が付いたのかしら?」
「ああ。目が覚めたよ。私は戦う理由を考えるのに嫌気が差して自暴自棄になっていたのかもしれないな......」
「......馬鹿な事を考えないで頂戴。貴女が死ねば私だって悲しむわ」
「......そうか」
「だからもう迷わないように恋をしなさいと言ったのよ。恋をすれば死すら躊躇うようになるわよ」
「......私にはよく分からない......愛する人の為ならば死をも恐れない、と言う事ではないのか?」
「違うわよ。愛する人の為に死にに行くのと、愛する人を守る為に死ぬのは違うものよ。前者はただ表面上を取り繕って死に場所を求めているだけだわ。真に愛していれば、率先して自分が死ぬことなんて考えないもの。死は必要に迫られて覚悟するものよ。自ら進んで死を覚悟することなんて生から逃げているだけよ」
「そうか......」
「だって、死ぬことはとても恐ろしい事よ。それすらも忘れてしまったの?」
「......そう......だな......」
「......だったら貴女も変わりなさい......エレーナ。何時までも情けない姿を私に晒さないで頂戴」
「......すまない」
「そこは感謝の言葉が欲しいわね。言ったでしょう? 情けない姿を見せないでと」
「......ありがとうルフィーナ」
「......ん」
少し照れ臭そうに短く声を上げると振り返り再び火器管制室へと戻っていく。
「ほら、貴女も何時までモジモジしているの? 仕事に戻るわよサーノチカ」
「は、はい! 小隊長殿!」
ずっと顔を赤らめて身を捩らせていたスサンナだったが、ルフィーナに声を掛けられ我に返り持ち場に戻ろうと歩み始めたが、ふと立ち止まりエレーナの方を向いた。
「中尉殿、少しよろしいでしょうか?」
「ん? 何だ?」
「小隊長殿はエレーナ中尉の事をずっと羨望の眼差しで見つめて居りました。小隊長殿は自分の気持ちに素直になれず感情を押し殺していたのです。だから自分の気持ちに素直な中尉殿に憧れていました」
「......憧れているとは聞いていたが......そうか......」
「ですがニーナ准尉の一件があった時、小隊長殿は大きく変わりました。それからというもの、私達隊員の事を第一に考え、まるで人が変わったように優しくなりました。私たちの事を知りたいと言い出し、毎晩のように私達を部屋に呼んで眠るまで話し込むようになりました」
「......あいつもあいつなりに変わろうとしていたのだな......」
「今まで話を聞いているだけだった小隊長殿も、次第に自分の事を語るようになりました。そして段々とお互いの事を知り、やがて私達は繋がりました。今では掛け替えのない存在です」
「かつてのルフィーナとはまるで別人のようだ......」
「ええ。文字通り別人でした。そして変わるきっかけとなったのはエレーナ中尉です。貴女の生き様が、凍り付いた小隊長の心を溶かしたのです」
「私は何もしていないよ......」
「いいえ。貴女は図らずとも小隊長殿を導いてくださいました。そして今や小隊長殿はエレーナ中尉そのものになりました......」
「......だがその頃の私はもう居ない......全く、私は何時からこんな腑抜けになってしまったのだ......」
「ですからそんな中隊長殿を見ていられず、小隊長殿が動いたたのです。自分が救われたように今度は凍り付いてしまった中尉殿の心を溶かし、憧れの中尉殿を取り戻そうと......小隊長殿は必死になっているのです」
「そうか......」
「それを私も応援したいのです。こんな灰色の国でも愛さえあれば色が付く。それを私からも中隊長殿に知ってほしいと願っているのであります」
「色......か......」
(久しくその感覚を忘れていた。私はあのスノードームを見て祖国を思い出していた。晴やかな検閲式。人で賑わう赤の広場。気前の良いロシア人が集うモスクワの街並み。その光景には"彩"があった。しかしそれを私は捨てた。未練はない、そう思っていた。でも実際はどうだ? あのスノードームを贈って貰ってから何度祖国を思い出した? 私はあの"彩のある"光景をもう一度味わいたいのではないのだろうか?)
「そうか......私は彩が欲しかったのだな......」
「......彩ですか?」
「ああ。私にとっての祖国は"彩のある世界"だったんだ。でも何時からか、"彩"というものを感じなくなってしまっていたのだな」
「......それは何時からですか?」
「......何時から?」
(そう言えば何時から彩を失くしてしまったのだろう? 祖国を捨てた時? いや違う。彩を失ったから祖国を出たのだ。大切な者を失くしてしまったから......)
「......そうか......」
(何故私は忘れていたのだろう。私に彩を与えてくれていた存在が居た。私を愛してくれていた人が居たではないか。私にも愛していた人が居たではないか)
「タニューシェニカ......」
(私はタチアナを愛していた。だから彩があったのだ。しかし彼女は自ら命を絶ってしまった。それと同時に、私は彩を失ってしまった。それからの記憶は全てモノクロの記憶しかない。彩なんてそこには無かった。それからというもの、私は人を愛する事にどこか潜在的な恐怖を覚えていたのかもしれない。だから彼女達をそういう目で見ないようにしていた......人の温もりを感じたくなるのを、祖国の事を思う事で誤魔化していたにすぎない......)
「......思い出したよ。私の本当の望みは恋をする事だったのかもしれないな......」
(ここに来てからの記憶には微かに彩を感じていた。そしてどこか懐かしさを覚えていた......だからあんなにも祖国が、タチアナが恋しくなっていたのだ。......そうだ。私の悩みに国なんて関係なかったんだ。彼女達が居ればそれで良い。住みにくい国なら住みやすい環境に変えればいい。そしてそれを連隊長も望んでいるのだ。だったらやるべき事は一つじゃないか)
「ありがとう。スサンナ少尉。私は道を見失っていたが、今はっきりと思い出した。私はもう迷わない」
「それは何よりです。その調子でまた何時ものように小隊長殿を導いてください」
「ああ。約束しよう。私は皆が追いかけたくなるような立派な人になるよ」
「何をしているの? 早く持ち場に戻りなさい!」
ルフィーナが火器管制キャビンの入り口からスサンナの事を呼んでいる。その表情は今までの無関心で冷徹な顔ではなく、程よく砕けたとても可愛らしい笑顔だった。
「はい! 直ちに戻ります! では中尉殿、失礼いたします」
「ああ。
「......
エレーナがロシア語で言葉を送り、感謝の言葉を返したスサンナは駆け足で火器管制室へと走り去っていく。2人の姿を火器管制室の入り口で見送っていたるルフィーナは暗い室内に入っていくと共にエレーナに手をひらひらと振っていた。それにエレーナも手を挙げて返した。
「恋......か......」
ふとエレーナは自分の想いを振り返る。
(ここに来てから出会った彼女達。そして遠く離れた祖国から私の為だけに付いて来てくれたレイラ。そして故郷に残してきたタチアナへの想い。この者達を天秤に掛ける事など、簡単には出来ない)
すると胸に苦しみを感じ、右手を自分の胸に手を当てた。
「......成程、これが中途半端な想い......と言う奴か」
胸にあてた手を握りしめ、その苦しみを振り切るように前を向く。
「この戦いが終わったら、この想いにも決着をつけよう。自信に満ちた強い私を取り戻す為に......」
これまでに無い固い決意のようなものを胸に抱き再び暗雲立ち込める空を見上げた。
「その前に、先ずは私に託された責務を果たさなくてはな......」
そう呟くと、迷いに揺られていた時の彼女とは違い、しっかりとした足取りで本部へと向かい歩みを進めて行った。
「全く、貴女の思い人は拗らせすぎなのよ」
その様子を火器管制室から見ていたルフィーナが、薄暗い火器管制室に来ていたもう一人の客人に向け話しかけた。
「ふふ、否定はしないわ」
「そもそもアンタはエレーナが他の女に現を抜かしているのを黙ってみてるわけ? 私だったら発狂ものよ?」
「ん~、性癖かしら?」
「は? 何それ?」
「私は他人に恋をするエレーナが好きなのよ。祖国に居た時からそう。タチアナに恋をするエレーナはとても美しかったわ。私はそれに惚れたのよ」
「意味が分からないわ。つまり他人に恋する人じゃないと愛せないって事?」
「そうね。私にじゃダメなのよ。嫉妬する事が私の愛の形であり、至福の時なのよ」
「......病気だわ。エレーナにも呆れるけど、あなたにはもっと呆れるわ」
「何も言い返せないわね。でもそれが真実よ。それが私。だから、私はエレーナに嫉妬し続けるわ」
「やれやれ、恋の形は十人十色ね」
「貴女もね。ツンデレ隊長さん」
「私はツンデレじゃないわよ。ただクールなだけよ?」
「言ってなさい。真実は覆らないわよ?」
「お互いにね」
「それもそうね。それじゃ、私は愛する人の所に戻るわ」
「......気をつけなさいよ。今回の戦闘、下手をすれば死人が出るわ」
「そうね。でもエレーナなら大丈夫よ。さっきの顔を見れば分かるもの」
「あら? 随分信用してるのね」
「愛する人を信用するのは当然でしょう? それじゃ、貴女も精々幸せを満喫しなさい」
「レイラもね」
手を振りながら別れを告げたレイラはSAM陣地を後にした。
「ほんと、可笑しな連中ね」
そう呟いたルフィーナの顔は呆れつつも微かに幸せそうな笑みが零れていた。
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