第22話 硝煙の香り~9×21mm弾を込めて~④

「二人とも......銃を下ろしなさい......」


 銃を突きつけるアンジェラの背後に迫る人影が声をかけた。


「......ん?」

「......レイラ......?」


 その人影はレイラだった。何も持たずに、真顔でゆっくりと歩み寄ってくる。


「......どうしてお前がここに居る!? 来るなといっただろ!?」

「......私も軍を辞めてきたわ。今は一般人よ」

「......え? レイラお前......階級章......」


 レイラの着ている戦闘服の襟を見てみると、階級章が付いていた場所には糸屑しかついていない。


「なあ? どういう事だ? 軍を辞めた? 一体何を言っているんだお前らは?」

「......軍では捜索隊の編成が間に合わなかったんだ。国境を越えられると思った私は、軍を辞めて個人的にニーナを追ってきた。車と銃は"借り物"だ」

「......私もその後を追ってきたのよ」

「......はぁ? 馬鹿じゃねぇの? お前ら......」


 歩み寄るレイラはアンジェラの背後で立ち留まり、目を閉じゆっくりと続きを話し始める。


「ねえ、アンジェラ。私はエレーナの為だったら何でもするわ。彼女は私の全てよ。それは貴女にも分るでしょう?」

「......」

「大切な人が覚悟を決めて全てを失う覚悟で軍を飛び出したの。それを応援しない訳にはいかないわ。でもね、その大切な人は私に待っていろと言ったのよ? それがどれだけ寂しい事かわかるかしら?」

「......わからねぇな」

「......私はエレーナの事が好きで仕方がなくて、祖国に家族を置いてきてまで付いてきたのよ? 私には彼女しかいない。エレーナが私の生きる意味であり、私の全て......そんな人が私は要らないと言ったようなものよ?」

「......そうか」

「エレーナ。貴女は私を見くびりすぎよ。あの程度の事で私が付いて来ないとでも思ったの? 甘いわよ。軍人で無くなるなんて私にとっては大した問題ではないわ。私の居場所なんてこの世界中に一つしかないの。それは貴女の隣よ。エレーナ」

「......レイラ......」

「......じゃあ仲間はどうなんだ?」

「勿論、大切な仲間達と離れ離れになるのは悲しいわ。でもね、私にはその仲間達を捨ててでも大切な人に付いていく覚悟がある。......私はエレーナに依存しているのよ......だから、アンジェラの気持ちも良く分かるわ。大切な人を失いたくないものね」

「......だったら行かせてくれないか?」

「それは出来ないわ。私とあなたは決定的に違う事があるわ」

「それは何だ?」

「大切な人の意思よ」


 そう言うとレイラは目を開けるとエレーナの後ろへと目線を向けた。その目線の先には、浮かない顔をしているニーナが立って居た。


「ニーナ......」

「......アンジェラ。私の事を心配してくれてありがとう。でも、私は行かない......」

「......ニーナの意思は関係ない。お前の為なら、私は無理やりにでも連れていくぞ......あの時のようにな......」

「......それは出来ない。私にはここに残りたい......」

「何故だ? 自分が狙われたんだぞ? ここに居たくないとは思わないのか?」

「......確かに怖い思いをするのは嫌......でも、大切なアンジェラが苦しむのはもっと嫌......」

「......は? なぜ私が苦しむんだ?」

「......私をあの家から連れ出した後、逃げ回りながらアンジェラはとても辛そうな顔をしていた......自分もお腹がすいているのに私にだけ食事をくれたりしていた......私を守る為に夜も碌に寝られなくて昼に倒れた時もあった......あの時のアンジェラは見ていられないくらいにボロボロだった......」

「......そんなのどうでもいい。苦しむのは私だけで充分なんだ......」

「どうでもよくない......アンジェラは何もわかっていない。私は苦しむアンジェラを見るのが一番苦しい......お腹が空いて倒れるのよりも......仲間が居なくなるよりも......アンジェラが苦しんでいるのを見ているほうがずっとずっと苦しいの......」

「......」

「もうあんなアンジェラは見たくない。だから、私は行かない......」

「......だがここで無くても良いんじゃないか? 他の国でも幸せは掴める」

「......それは無理。アンジェラを守ってくれるのは隊長だけ......」


 そう言いながらニーナはエレーナとアンジェラの二人の間に立った。


「......隊長から離れたら、誰もあなたを守ってくれないもの......あなたはまた苦しむだけ......」

「......」


 アンジェラの目線が下がった。地面を這いずったニーナの戦闘服は土まみれになって汚れていた。先程、組み合うエレーナと男の元に向かおうと足掻いた時の物だ。アンジェラの構えるマカロフは気持ちを表すかのように、少し揺れていた。


「......私は隊長を守る。そう決めたの......」

「......は?」

「......私は隊長が好き......」

「......っ!」

「......でもアンジェラの事はもっと大切......」

「......」

「......だから、私が隊長を守って、隊長がアンジェラを守って、アンジェラが私を守る......それが私の望み......」

「......」

「......アンジェラ......もう一回だけでいいの......私のわがままを聞いて......」

「......」

「......お願いだから......隊長と一緒に居て。そして私を守りながら隊長に守られて欲しい......」

「......」


 黙り込んだアンジェラは俯いて深く考え込んでいるようだ。マカロフの揺れは次第に大きくなっていき、次第にカタカタと震え始めていた。


「......私は、お前の家族を殺したんだぞ......?」

「......知ってる......」

「......私はお前を守る責任がある」

「......そんな責任はない......」

「......私を恨んでいないのか......?」

「......恨んだことない......」

「......私は......守って貰える価値など無い、最低な奴なんだぞ?」

「......アンジェラは悪くない......アンジェラはとても良い子......」

「......私は......私は......」


 するとニーナは俯き震えるアンジェラをそっと抱きしめた。


「......あなたは私の家族......大切なもう一人の家族......」

「......家族......?」

「......そう。お姉さんの様に大切な存在......」

「......私が......姉......?」

「......そう。大好きなお姉ちゃん......」

「......私は姉なんかじゃない。そんな資格など無い......」

「......資格なんて必要ない......アンジェラは私のお姉さんになるのは嫌?」

「......私にはそんな明るい未来は......似合わない......」

「......アンジェラは一杯頑張った。幸せになる権利がある......」

「......私は頑張ったと......言えるのか?」

「......うん、アンジェラは良く頑張った......」

「......私は......幸せに......なれるのか?」

「......なれる。72中隊ここには幸せがある......」

「......」


 するとアンジェラの構えていた腕が力なく垂れ下がり、マカロフが地面へと落ちた。アンジェラの顔は泣き崩れており、最早戦意など微塵も感じられなかった。


「......私は......辛かった......」

「......うん」

「......本当は甘えたかった......」

「......うん」

「......助けてくれる人なんて居なかった......」

「......でも今ここにいる」

「......私は、救われたのか......?」

「......うん」

「......本当に、本当に私は幸せになれるのか......?」

「......うん。幸せになれる......」

「......そうか......」

「......うん......」


 それから二人は抱きしめあい、泣きじゃくっていた。お互いに気持ちが通じ合い、お互いの存在を確かめ合うように、強く抱きしめ泣き続けていた。


「......やれやれ......」


 エレーナは泣き崩れたアンジェラを見て、銃の構えを解くと膝をついた。酷く痛む左腕を力なく垂らし、目の前に広がる幸せを遠巻きに眺めながら笑みを浮かべる。


「お疲れ様、エレーナ」

「レイラ......すまない、どうやらお前に助けられたようだ......」

「......貴女は馬鹿よ......こんなになって......心配したのよ......」


 そう言うとレイラはエレーナの頭を優しく抱きしめた。


「......お前には謝らないといけないな......」

「......そうよ。貴方が軍を辞めたと聞いた時、私は泣いたのよ? 責任取って頂戴」

「......それは、すまない......」

「......いいわ。許すわよ......でも埋め合わせはして頂戴?」

「......覚悟しておくよ......」


 二人もまた、しばらくの間お互いに抱きしめあい、二人の絆を確かめ合っていた。その4人の姿をもう一人、遠くの藪から見つめている人が居た。その人物は、満足そうに笑みを浮かべ、その姿を闇へと消していったのだった。


 ……


 …………


 ………………


 ニーナを救出し、アンジェラの事を説得した一行は男を縛り上げ、地元警察へと突き出すため連隊長の車へと乗せていた。


「そうそう、アンジェラ。これをキーラから預かっているわ」

「......これは......」


 レイラがポケットから何かを取り出し、アンジェラへと突き出したのはボロボロのジッポライターだった。


「それは大切なものなんでしょう? キーラが怒ってたわよ。返すんなら直接持ってきやがれって凄い剣幕だったわ」

「......そうか......悪いことをしちまったな......」

「......後でちゃんと誤ってあげなさいよ?」

「そうだな......」


 ジッポライターを受け取ったアンジェラは遠い目でライターを見つめている。このライターには並々ならぬ思い入れがあるようだ。


「......折角だ。煙草を吸わないか?」


 そう言ってエレーナがアンジェラから貰ったトロイカを二人に向けて差し出した。


「それ私が隊長にあげたやつじゃねぇか......」

「貸し借りは嫌いだ。今吸う分は、お前の代わりにニーナを助けてやった分として受け取っておくぞ」

「......ちょっと、エレーナは禁煙してたんじゃなかったかしら?」

「良いんじゃないか? 今回くらい。それに、今ここには丁度3本ある。お前もどうだ? レイラ?」

「......それは毒よ」

「......おいおい、本当に言ったよ......私預言者の才能あるかもしれねぇな」

「ハッハッハ、そうかもな。もしかしたら占い師で食っていけるかもしれないぞ?」

「やめとくよ。私が占ったら全員呪い殺しそうだ」

「......何の話かしら?」

「いや、何、こちらの話だ。それより吸わないのか? 懐かしい味がするぞ?」

「......そうね、久しぶりに吸ってみようかしら?」

「お、これは珍しいもんがみれそうだぜ」

「うむ、素直でよろしい」


 エレーナが煙草を差し出すと、アンジェラとレイラが一本ずつ取り出し、最後にエレーナが残りの一本を取り出した。アンジェラは自分のジッポライターで火をつけ、エレーナはレイラの咥える煙草に火をつけてあげた後、自分の煙草に火をつけた。


「......こりゃうめぇ......ラーゲリで吸った時より格段にうめぇや......」

「そうだな。今まで吸ってきた煙草の中でも一番うまい......」

「......懐かしいわね......煙草はあまり好きじゃなかったのだけれど......これは美味しいわ......」


 三人は自分の吸っている煙草を見つめながら懐かしい感情に浸っていた。一口、また一口と煙草をくゆらせているとニーナが不思議な顔をして覗き込んできた。


「......皆煙草を吸うの?」

「......ん? いや、今回だけだ」

「そうね。煙草は味覚を狂わせるわ。せっかくの美味しい紅茶を楽しむ為にも、もう吸わないわ」

「私は隠れてコソコソ吸っているけどな。ニーナもどうだ?」

「......いらない。煙い......」

「煙草は百害あって一利なしだ。吸うのはやめておけ」

「......じゃあ何で吸っているの?」

「ん? これは"友情の証"って奴だ」

「??? 煙草が友情の証......?」

「深い意味は無いわ。だからそんなに考え込まなくても良いのよニーナ。雰囲気を楽しんでいるだけよ」

「......そう。勉強になる......」

「まぁ私もこれっきりにしよう。レイラが淹れてくれる紅茶のほうがもっと美味いからな。楽しめなくなるなら煙草を吸う価値はないな」

「あら。嬉しい事言ってくれるじゃない?」

「おうおう、隊長まーたそうやって口説いちゃって。そういう所ですぜ? 隊長」

「......何の話だ?」

「なんでもねぇよ。せいぜい二人でイチャイチャしてやがれ」

「......訳の分からん奴だ」

「......んん? アンジェラ貴女もしかして......」

「何でもないって言ってんだろ? レイラは勘繰りすぎだ」

「怪しいわね......エレーナ? アンジェラに何かしたの?」

「はて? 何かしたかな......?」

「......ふーん? まあ良いわ。後でマスターと一緒に聞き出す事にするわ」

「う、もう酒は止めてくれよな......」

「どうしようかしら?」

「おーレイラは相変わらずおっかねぇな」

「..........」

「わ、悪かったからそんな怖い顔で見るなって......」

「......わかればよろしい」

「......ふふっ」


 3人のやり取りを見ていたニーナがふと笑い、その顔を見ていた全員がふふふとお互いの顔を見て笑いあっている。ようやく何時もの雰囲気が戻ってきたようだ。


「さて、それじゃ皆で仲良く帰ろうじゃないか」

「ええ。私たちの家に帰りましょう」

「そうだな。帰る場所があるって良いもんだなぁ......」

「......うん。帰ろう。私達の家に。家族の元に......」

「......ああ。皆が待っている。戻ろう。私達が居るべき場所へ......」

「でもエレーナは病院に連れて行くわよ?」

「ん? そう言えば骨折していたのだったな。浮かれて忘れていたよ」

「でも痛むんだろ? 早く治して来いよ。ギプスを付け直したら今度は私が落書きしてやるからよ」

「お前までキーラみたいな事をするのか......まったく、とんだ悪ガキどもだ......」

「私は隊長より年上だぞ?」

「そうは思えんな。お前は幼稚すぎる」

「え~何でだよ? こんなに逞しいのに......」

「どこがだ。精神面は子供じゃないか」

「ひっでぇな......」


 先程までの出来事がまるで嘘のように、4人は仲良く車の方へと歩んでいき、その姿を闇の中へと消していった。


 これでまた元通り、第3小隊は賑やかな日常へと戻って行くことだろう。お互いにより深くまで理解し、前にも増して仲が良くなったメンバーは以前よりも距離が近く感じられる。それはまるで本当の家族のようにも見えた。


 しかし、そんな彼女達も、混沌たるキルギス共和国の内政に振り回され、戦いの日々を続けている。


 そんな混沌とする世の中で、彼女たちは今日もどこかで紅茶を飲んでいるだろう。



――――――――――――――Σ>三二二二>



 よくわかるSAM解説! 特別編③「アラカチューについて」


「皆様御機嫌よう。解説者代理のエミリヤですわ」

「訳あって今日は隊長は遅くなるわ。ですので先に戻ったわたくしが解説をしていきますわ」

「......何ですの? 今までどこに行っていたかですって?」

「それは乙女の秘密ですわ」


「それは置いといて、ではアラカチューについて説明していくわ」

「アラカチューとは、キルギスや中央アジアの一部の国に伝わる伝統よ」

「もう皆も知っての通り、アラカチューはいわゆる"誘拐婚"よ」

「その発端は古代キルギスまで遡るわ」

「当時、遊牧民で構成されていたキルギスでは、部族が多数存在していたわ。そこで敵の戦力を削ぐ為と、自分の部族が繁栄するために他の部族から若い女性を攫ってくる習慣があったの。これが最初のアラカチューね」

「でもね、この時行われていたアラカチューはお互いに合意の下で行われる平和的なものとされていたのよ。だから習慣として受け入れられていたわ」

「その後、この習慣を有名にした書物が出来て、その習慣を世界各国に知らしめたのと同時に、間違ったアラカチューの認識が生まれてしまったわ」

「その書物というのは伝統的な英雄叙事詩「マナス」というものよ。その主人公であるマナスが、若い恋人達が両親の反対を押し切り駆け落ちするのを見ていて、そのストーリーを英雄譚に綴ったの。そう、マナスが"略奪婚"をしたわけではないのよ」

「しかし、どういうわけか世間ではマナスがアラカチューによって嫁を手に入れた、という間違った解釈が生まれ、アラカチューは力の象徴とされてしまったわ」

「その結果、男達はこぞってアラカチューをするようになったの」

「勿論、伝統を守り合意の下で女性を攫う人も居たわ。だけれども3~4割程は合意のない、強制的なアラカチューだったわ。それに、その過程で性的暴行を受けていた人も少なくないわ」


「しかし、キルギスがソ連の構成国となったとき、このアラカチューは"部族間の慣習に該当する犯罪"として明確に禁止されたの。その結果、ソ連が崩壊するまでは一時的に件数は少なくなったわ」

「でもね、1991年にキルギスが独立してから再びアラカチューが急速に増え始めたわ。その理由は様々だけれども、一番の理由は地元警察等がアラカチューを習慣として受け入れ、黙認していたからよ」

「これによって現在でもアラカチューは続けられているわ」

「今は最盛期より若干減少したとはいえ、年間1万人以上の女性がアラカチューによって誘拐婚させられているとされているわ」

「さらに性的暴行被害も多く、一日当たり32件のアラカチューと6件の性的暴行が発生しているの」

「当然、被害者は反対活動を行っているのだけれども、実は殆どの女性がアラカチューを最終的に受け入れているのが現状よ」

「何故、殆どの女性達は逃げようとせずアラカチューを受け入れるのかというと、キルギスの宗教と文化が影響しているわ」


「キルギスでは宗教人口の80%がイスラム教徒よ。残りがキリスト教や仏教等の様々な宗教よ。ニーナのロシア正教もキリスト教の一部よ」

「イスラム教では、女性は結婚すると離婚してはいけないことになっているの。正確に言うと、処女を捧げた男性から離婚するのは御法度とされているわ」

「その為、強制的に連れてこられて長時間の説得の結果、無理やり結婚させられるか結婚を受け入れ、イスラム教の教えを守って幸せな家庭を築こうと努力する女性が殆どを占めているのよ」

「性的暴行が減らないのもこれが関係しているわ」

「そして何より、かつてアラカチューによって結婚させられた年配者が、攫った男性と一緒に説得をする事がよくあるそうなの」

「キルギス文化では年配者を敬う事になっているのよ。若者は高齢者をとても大切にしているわ」

「その文化も悪い方向に向いてしまっているのね」

「結果、断り切れずに結婚してしまう女性は多いわ」

「年間1万人以上攫われているのに事件になるのは僅か十数件よ。それだけアラカチューは黙認されてしまっているのよ」


「アラカチューによって結婚させられた女性は、笑顔を見せている人が大半を占めるわ。だけれども一人になると何かを考えるように遠くを見つめている人も決して少なくないわ」

「ヨーロッパの各国からも批判的な声が多く、政府としては犯罪行為として認めてはいるものの、実態は野放しにされているようなものよ」

「これを伝統と見なすか悪とみ見なすかは人それぞれね。私は嫌よ? 合意ではない結婚なんて真っ平御免だわ」


「そう言えばキルギスでは同性愛は許容されない考えが多いわ。これはソ連時代からの名残でもあるわね。ソ連では同性愛は禁止されていて、見つかった者は酷い罰を受けていたわ」

「キルギスでは独立後も同性愛の立場は苦しいもので、特に女性の同性愛やバイセクシャルの女性、トランスジェンダーの男性は酷い迫害を受けているわ」

「"治療"と称して知人から性的暴行を受ける女性が後を絶たないの」

「政府はこの状況を黙認し、そういった同性愛者を保護する事を一切拒んできたわ」

「だけれどもアメリカやローマ法王庁からの圧力があって、家庭内暴力を処罰する法律ができて、それからは女性を保護する、という理由で取り締まるようになったの」

「しかしその実態はあまり良くないわ。世間では同性愛を迫害するのは当然という認識が強いの。その結果、アラカチュー等の被害から守るシェルターは全土に存在するのに、同性愛迫害の被害者を受け入れるシェルターはたった一か所だけよ」

「しかもそのシェルターは政府が運営するものではなくNGOが運営するものよ」

「このように、キルギスで同性愛によって結ばれることは難しいわね」

「なんせ議員が『同性愛者が手をつないでいる所を見かけたら私も殴るだろう』とか言っちゃう国よ? それでも平気で議員を続けられるのよ。ありえないでしょ?」



「さて、今回も長話になってしまったわ。ごめんなさい」

「今日は色々あったからもうクタクタですわ」


「さて、次回はエレーナ隊長が帰って来ますわ」

「ん? 何ですの? 今回は真面目ですって? ......私は何時も真面目ですわよ!? ほら、もう終わるんですから帰る準備をしてくださいませ!」


「では、皆様御機嫌よう! よい夜をお過ごしくださいですわ!」

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