4.サブリミナル大作戦

 そしてね、次に私はもっといい方法を思いついたの。そして、新しい作品をカクヨムにアップしたのよ。それはね、こんなお話なのよ。


 『帆潮光代は書道の先生をしている。ある日、帆潮光代は道で筆を拾った。その筆で文字を書くと・・あ~ら、不思議!・・帆潮光代は知らない世界に飛んでいた。そこは文字が力を持つ不思議な世界。そして、「カーク」一族と「ヨーム」一族が長年覇権を争っている。帆潮光代は得意の書道で、その世界で大活躍。いつしか、帆潮光代は神と呼ばれて・・』


 どう、これを読んだあなた、このお話に☆を付けたくなったでしょ。それも、☆を3つね。・・・えっ、どうしてかって? だって『帆潮光代』は『ほしおみつよ』、つまり『星を三つよ』なの。


 これって、サブリミナル効果。サブリミナル効果っていうのはねえ、同じ言葉や映像なんかを何度も繰り返すと、その言葉や映像に人間の無意識が反応することなのよ。例えば、映画のフィルムの中にポップコーンを美味しそうに食べるカットを分からないようにいくつも挿入しておくと、映画館のポップコーンの売り上げが伸びるっていうあれがサブリミナル効果なのよね。


 私の書いたお話もサブリミナル効果が含まれているというわけ。『帆潮光代』と何度も読むと、読んだ人の無意識を刺激して、誰もがこのお話に☆を3つ付けたくなるのよ。


 どう? いい考えでしょ。さあ、これで私の作品にもお星さまがたくさん点灯するわね。楽しみよ。。。


 そして、1日後、私はワクワクしながらパソコンを立ち上げたのよ。


 すると・・・なんと、『帆潮光代』のお話には☆が一つもないではないか! PVは27になってるから、30人近い人が読んでくれたわけね。なのに、どうして誰も☆をつけてくれてないの?


 こ、これは一体どういうこと?


 私の頭にお星さまではなくて・・疑問符クエスチョンマークがたくさん点灯したわ。


 すると、『帆潮光代』のお話に♡が一つ付いていて、応援コメントが寄せられているのに気づいたのよ。誰なの? 応援してくれたのは?


 よく見ると、またもあの最底辺作家の永嶋良一だ。げぇぇ、せっかくの応援コメントがまたあの最底辺バカ作家なのかぁ! でも、最底辺バカ作家でも一応は応援コメントだ。私は最底辺作家の永嶋良一の応援コメントを読んでみたのよ。


 『bくは☆をつけたかったのに、オミットって・・どうして☆を省略しないといけないのですか?』


 『bくは』はたぶん『僕は』ね。しかし、何を言ってるのかさっぱり分からないじゃないの!


 ☆を省略ですって? このバカ最底辺作家の永嶋良一は何を言ってるの? 私は☆を3つ付けなさいって言ってるのよ。それに何よ、『オミット』って・・・どこに『オミット』って言葉が書いてあんのよ。


 こんなバカ底辺作家なんか相手にしてられないわ。私はバカ最底辺作家の永嶋良一を無視しようと思ったの。


 そのとき、私の頭にひらめいたことがあったのよ。


 もしや・・『帆潮光代』と『オミット』ですって・・

 これって『帆潮光代』・・

 『ほしおみつよ』・・

 『ほしオミツよ』・・

 『ほしオミットよ』・・

 『オミット』を辞書で調べると『omit 省略する』・・

 つまり、これって『ほし省略よ』・・

 『☆は省略よ』・・


 って、そ、そうかあ。それで、誰も☆を付けてくれなかったのかぁ!


 こうして、私のサブリミナル大作戦はあえなく撃沈したの。トホホ・・


 そしてね、私の口からまたまた乙女にあるまじきお下品言葉が出てしまったのよ。


 「くそう~。こうなったら、読者のやつらから、なりふり構わず☆をもぎ取ってやるぜ。オメエら、覚えてやがれ!」

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