3.倍返し大作戦

 そこで、私はいいことを思いついたの。きっとカクヨムの参加者の中には、私のように☆を欲しいって思って・・☆を心から渇望している人が一杯いるはずよね。


 それでね、「私の作品に☆をつけてくれたら、あなたの作品に☆を倍返しして差し上げます」っ書いて新しい作品をアップしたのよ。名付けて『倍返し大作戦』。


 そして、また一日経って、私はパソコンを開いたの。


 お~、☆がついてる。それも3つだ。


 幸先がいいぞ。誰が☆をくれたの? さっそく倍返ししなきゃ。そう思って、名前を見たら、☆をくれたのはなんとあのアホな最底辺作家の永嶋良一じゃないの。


 最底辺作家の永嶋良一はご丁寧に応援コメントも寄せている。


 『△△さんお作品を読んで、感動しました。ぜひ、ぼくお作品にも橋をつけてください。』


 『お』はきっと『の』だ。『橋』は『星』だ。打ち間違えたのね。それにしても知性のかけらもないコメントね。でも、約束は約束よ。こんなアホな作家相手でも、約束をちゃんと守るのが私の偉いところ。さっそく、最底辺作家の永嶋良一の作品に☆を6つ付けてやらなきゃ。


 それでね、さっそく私は最底辺作家の永嶋良一の作品を再び読んでみたの。


 だけどね、やっぱり、くっだらないのよ。闘病記の中に「お腹が痛くて女子トイレの個室に入っていたら、若い女性にドアを開けられた」なんて話が書いてある。これのどこが闘病記だって言うのよ! ホント、バッカみたい。それに、こんな話のどこが面白いのかしら? しかし、女子トイレって、ねえ・・きっと、この永嶋良一って『女子トイレフェチの変態』なのよ。


 だけど約束だから、私は最底辺作家永嶋良一の書いた闘病記と短編にそれぞれ☆を3つずつ付けてやったの。


 するとね、それから、私はおかしなことが起こってるのに気づいたのよ。私の作品にも少ないながらも、☆が付いてるってさっき言ったでしょ。その貴重な☆が少しずつ消えていくのよ。


 カクヨムには削除って機能があって、読者は自分の付けた☆を後から削除できるのよね。これって・・・どう見ても、最底辺作家の永嶋良一に☆を付けてから起こっている。


 そこで、私は思い当たったのよ。


 あっ、そうだ。きっと、私が最底辺作家の永嶋良一の闘病記に☆を3つも付けたので、私も最底辺作家の永嶋良一と同類の『女子トイレフェチの変態』だと思われたんだ!(言っとくけど、私は女なのよ!)


 私は急いで最底辺作家の永嶋良一につけた☆を削除したわ。悔しいけど、倍返しするって話も消しちゃった。


 こうして、私の『☆の倍返し大作戦』は、あえなく玉砕したのよ(涙)。


 「くそぉ~。最底辺作家の永嶋良一め、覚えてやがれ!」



 







 

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