第7話(完)
1年後、レンガルト王国は魔物に滅ぼされることになる。
大量に流れ込んできた魔物への対処に困っていたところ、冒険者ギルドが撤退したのがトドメの一撃になった。
国民は難民になり、かつての母がそうだったように異国の地で慣れない生活を強いられている。
逃げ出した難民の中に国王や王妃、マーティス公爵の姿はなかった。
魔物に対処できない王家に対して一部の国民が暴動を起こし、城から引きずり出されて責め殺されたようだ。
その後、計画通りにリューン王国によって魔物の掃討が行われ、旧・レンガルト王国の領地は占領下におかれることになった。
広大な土地は、魔物退治で活躍した騎士や貴族に分割されることになったのだが……かつて王都があった土地を与えられたのはまさかの俺である。
レンガルト王家の血を引いているからというのも理由にあったが……神雷魔法を使うことができる俺を取り込もうという意図のようだ。
リューン王家の王女を妻として娶らされ、『大公』という地位と広大な領地を与えられることになったのである。
「リオン様の妻になれるなんて光栄です! これからよろしくお願いします!」
年下のお姫様は犯罪結社に誘拐されたのを助けたことがある少女だった。
それから俺に憧れていたらしいのだが……レンガルト王国占領の計画を提案したのは彼女だったらしい。
レンガルト王国からは滅亡前に援軍要請があったらしいのだが、リューン王に直訴して援軍を派遣しないようにしたのだ。
「リオン様と結婚したかったですし、あの国がお義母様に酷いことをしたのも知っていましたから。私達の未来のために利用しただけですよ?」
可愛らしくはにかみ、頬を薔薇色に染めて言ってのける王女。
幼い頃から俺に凄惨な過去を言い聞かせてきた母親もそうだが、やはり女は恐ろしい生き物のようだ。
かくして、悪役令嬢の息子である俺は母親の故郷の領主になった。
狙ったわけではないが、母に冤罪を被せた仇は残らず破滅することになってしまった。
この結果はどこまで母が意図したことなのだろうか。
次に母と顔を合わせたらちゃんと聞いてみようと、俺は心に誓った。
おわり
「お母さんね、悪役令嬢だったのよ?」と言い聞かせられて育ったが、別に母親の復讐とかしない。破滅するなら勝手にしてくれ。 レオナールD @dontokoifuta0605
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