美容院難民

 3ヶ月ぶりに髪を切って来ました。今行っているのは、去年、オープンしたお店です。



 私は、とにかくこだわりが強いので、美容院を変えられない人で、中学時代に気に入った美容院に、結婚後も離婚後も、再婚するまで約25年間、通っていました。前の結婚後、転勤族で関東方面や中部地方に約7年間いたにも関わらず。その頃は年に3回位は帰省していたので、その時にその美容院に行けるよう予約を取っていました


 正直、全くクセのない、ストンとした真っ黒な直毛なので、若いときは、まあ、放置しといても問題はなかったのですが……。


 実際、営業時代は、7時の電車に乗って会社に行って、最終で帰ってくる、土日もほぼ出勤。というなかなかブラックな会社で働いていたので(笑)、美容院など行く時間がなくて、気づけば腰まで伸びてたことも……。

「伸ばしてんの?」

「ううん、伸びてんの。」

およそ、20代前半の女性とは思えない雑っぷりでした。

 

 

 で。39歳で再婚して、北海道へ。

 さて、困り果てます。

 どこの美容院に行けばいいの?


 まだ地理もわからず、自力で運転していける範囲も狭すぎる私。


 とりあえず、地元の美容院に行ったらば、チョキチョキチョキ……いや、待って、直線に切るのはやめて……。


 はい、市松人形、もしくは、ちびまる子ちゃんのできあがり。

 いやいやいや、39歳! 39歳!!


 そこは流石に……と思った私は、隣の市(そこそこ大きい)の、大きいスーパーの中にある、半分ガラス張りの、所謂オシャレ女子たちが行くような美容院へ。

「ちっがーう!」

カット下手過ぎて話にならない。ほぼレザーで切るのです。私はこれが嫌。全部ハサミにしてほしい。


 そして、また彷徨います。


 そうこうしているうちに、双極性障害の方の状態が悪化して入院いたしました。


 最初の頃こそ酷い状態だったものの、それを過ぎると、3ヶ月入院しないといけない身は退屈を極めます。


 そんな時、ふと、話したことない女性患者さんが、髪を切ってきたのを発見。めちゃめちゃ綺麗なデザインです。

「その髪ってどこで切ったんですか?」

突然の質問に驚かれながらも、彼女は教えてくれました。

「ここから歩いて5分の美容院」


 何、そのラッキー? 


 場所と電話番号を聞いて、早速予約し、そこへ。

 ホントに、腕のいい先生。

「髪型おまかせします、私に似合うカットで。」

美容院では、最初、大抵そうお願いするのですが、ホントに似合うように作ってくれて、凄く満足しました。

 毎回のように頭皮チェックも無料でしてくれて、シャンプーの仕方やドライヤーのかけ方なんかも丁寧に教えてくれて。


 退院後も、2ヶ月に1度は。再入院、再々入院……入院の度にも。

 ホントにそこは、凄く気に入ってたんですよ。アシスタントさんのシャンプーも、めちゃめちゃ上手で。過去イチ。


 が、通院の曜日が変わります。よりによって火曜日(泣)。美容院、休みやん(泣)。

 その病院は、とにかく遠いのです。約50km先。なので、通院日じゃない限り、行けない。無理。


 泣く泣くそこを諦め、また美容院難民と化します。

 小洒落た美容院は、店長以外、酷い。っていうか、店長もあんまり上手じゃない。2回行ってやめました。

 タウン紙で調べまくって、やっと一軒の美容院にたどり着きます。そこは、先生一人でやってる所で、他にお客さんを入れない所。このスタイルが、私、とても気に入りまして。先生が天然さんで、話のペースが合うことも良かったんですね。



 ところが、もう信じられないくらい症状が悪化して、自分の身の回りのこともできなくなったので、実家(約1,700km南下します)に戻って静養することに。また入院生活。あーあ。

 あっちでは、母が行ってる所とか、実家の近くとか、母の知人の所とか行ったけど、全く満足のいく髪型にならなくて、また美容院難民に。


 9ヶ月後、無事に(?)北海道に帰ってきて、美容院に行こうと電話したら出ない!

 調べたら、潰れてた!


 え〜〜〜(泣)。


 はい、そこからまた難民です。またしても?と思っていたら、意外と早く、自分に合う所が。


 そこは、ビルの1つのフロアに、沢山の違う美容師さんが店舗を構えている所で、ちょっと変わったイメージの場所です。シャンプー台やトイレなんかは共用。

 他のお店で修行して独立したり、最初から自分のお店を持ちたかった人たちが、それぞれ最小限のスペースを借りて、営業している場所でした。なので、勿論、美容師さんとお客さんは1対1。


 その空間自体が面白かったのもあったし、空気がなんとなく心地よくて、その上、先生が超可愛くて(←ここ重要)、技術もしっかり。髪型も満足。


 が。その先生が、別の場所に行ってしまうとのこと。

 

 いかん。逃してなるものか。


 なんのことはない、うちから35km先(最早もはや近所)の、独立してお店を構えた先生の店で一緒に働くことになったとの話でした。

「あ、私もそっち行きます!」


 オープンして、行ったら、あらびっくり。

 一番最初に気に入って行っていた、病院前の美容院で、アシスタントをしてた男の人がオーナーの美容院でした。


「え〜〜! こんなことある??」


 なんだかびっくりするような偶然でした。美容院難民として彷徨ってたら、結局一番気に入ってた美容院の人のとこに辿り着くって。


 約10年ぶりに会った美容師さん。めちゃめちゃ上手になってました!!カットもだけど、カラーリングも凄く相談に乗ってくれて、一番いい形に持っていってくれます。勿論、私が惚れ込んだシャンプーの技術も勿論健在。


 とにかく、今は、満足しております。


 

 ということで、緋雪さんの美容院難民のお話でした。

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