発達障害について
最近、「発達障害」というワードが世間に認知されてきて、そこからやわらか〜く、「困り感のある子」とか言われつつ、別の教室で授業を受けたりしています。私は、この、やわらか〜くが好きではないので、はっきり「発達障害」と表記させて頂きます。
実は私も発達障害です。まあ、『
私は自分が「普通」ではないと感じていたし、何が普通で何が普通でないのだろう? その境はなんなんだろう? と、小さい頃からずっと思ってきましたが。
確かに得意な教科は何も努力しなくても、勝手に興味がそっちに行ってしまうので、放っといてもどんどん深いところまで知ろうとする。テストはトップクラスにいました。
でも、できない教科は、そもそも、それに興味がないんですね。嫌々勉強しますが、頭に入って来づらいのです。テストは酷い点数でした。
大人たちは、「良い点数」に目が行きがちです。なんで、この教科でこの点数が取れてるのに、こっちはこんなにできてないんだ? こっちも頑張ったらできるはずだろう? と思うんでしょうね。子供も、まさか自分に障害がある、なんて思ってもみないので、苦手をなくそうと努力します。
ところが、この障害を持つ子にとっては、それが苦痛以外の何物でもないんですね。そもそも、できないんですよ。それができるだけの能力が最初からない。だからできない。できないものは、できないんです。例え、テストで瞬間最大風速並みの点数が取れても、テストが終わった途端に、頭から消え去ります。
そして、私の場合、致命的なのが、記憶力。音で聞いたことは、すぐに抜けます。人の名前なんか、言われても、一回で覚えたことは、まず、ありません。
書いて、文字にして、見て覚えないと無理。書いているものも、覚えないといけないことが多いと無理。興味のあることなら、何度も何度も調べて、自然に覚えて、どんどん深いとこまで行って、たまに学術論文読んでることがあったりもするんですけど(笑)。
興味のないこと、規則性のない言葉などはとにかく苦手。例えば、ローマ字ならば、子音と母音の単純な規則性のある組み合わせです。私は、これは凄く得意です。
でも、英単語は違う。ある程度の規則性はあるけれど、例外も多く、覚えられないものの一つ。
それから、人の名前も苦手。歴史上の偉人であったり、世界史のカタカナの国の名前、人の名前、全部アウトです。
英語は何の努力もしなければ、100点満点の10点くらい。世界史は14点くらいです。それに対して、何も勉強せずとも、現国は90点以上、ほぼ満点でした。数学も50点くらいしかできないのに、算数だと満点とれる。理屈で解くのは得意なんですね。理科は得意。数学が必要な物理とかは苦手だったけど。
私の成績は、勉強しないと英国数理社、500点満点の250点くらいです。そこを、猛勉強して420点くらいに持っていく。大変でしたね(笑)。今思えば、可哀想な子でした。
発達障害が発覚したのは、なんと41歳の時。
双極性障害がわかって、知能検査をした時のことでした。普通の人は、得意教科、苦手教科で、ここまで差はできないそうで。そんなものなの??って、びっくり。
「コミュニケーションが苦手ではありませんか?」
はい、苦手です。
「幼い頃、変わった子だと言われたり、いじめられたりしませんでしたか?」
酷いいじめにあいました。
「人の話をきいてない、もしくは、自分のことばかり話すと言われませんか?」
言われたことが度々あります。
「空気が読めないと言われたことは?」
……。
……。
……。
段々辛くなって参りましたが、先生の仰ってることは、全部私に当てはまっていきます。
「あなたには、『広汎性発達障害』という、発達障害があります。それを踏まえて、治療をしていきましょう」
と言われました。
私は先生に聞きました。
「じゃあ、私が今まで苦手だったこと、できなかったことは、元々できなかったことだったんですね?」
「そうです。それは、あなたには殆どできないことで、できなくて当たり前のことだったと思います」
……できないから、できなかったんだ。自分の努力が足りないせいじゃなかったんだ。勉強にしても、コミュニケーションにしても……。
涙が出ました。もっと早く、もっと幼い頃にそれがわかっていれば、私は無駄な努力などせずに、好きな文章や詩を書いたり、絵を描いたりしていられたのに……。自分に合った職業につけていたかもしれないのに……。
「発達障害」という事象が広く知れ渡ったのは、ここ20年くらいのことだそうです。
だから、私の子供の頃にはわかっていませんでした。顕著な知的障害児はいても、発達障害のある子は、個性的な子、協調性のない子、ちょっと問題のある子、くらいに思われて、普通学級で過ごしていました。
でも、最近では、知能検査をすることで、簡単にわかるようになりました。児童相談所に行けば、必要があると判断されれば、して貰えます。
子供の時に、早い時点で、発達障害がわかった子はラッキーだと思います。そりゃあ、親にしてみればショックに違いありません。なんでうちの子が……。
でも、これがわからずにいると、ずっとずっと苦手なことばかりやらされ、コミュニケーションが苦手でいじめられ、完璧を求め頑張り続け、ある日いきなり壊れます。これを「鬱病」と誤解され、鬱病の薬を沢山飲まされ、本物の鬱病になる。あなたのお子さんは、それで自死を選ぶことになるかもしれないのですよ?
早くわかることで、本人ができること、得意なことを伸ばしてあげることができる。頑張るだけ無駄なことを排除して。
コミュニケーションについても、こういう時にはこうした方がいいとか、こういうことに気をつけよう、とか考えることができる。
私は、早く発達障害を見つけられるようになった今の時代の人が羨ましいです。
ただ、そういう子供たちの受け皿がないのも現実。まだまだ、この国の教育には、課題が盛りだくさんですね。
この障害の子は、特に、芸術面で物凄い才能を持っていることが多いです。他にも、得意なことを伸ばしてあげることができれば、親や周囲も驚くほどの、才能を開花させることもあるのです。
「発達障害児」を可哀想な子供だと受け止めるのではなく、彼らの才能を伸ばしてあげる環境を、と願います。
私も。今更ながら、自分のやりたかったことをやっています。誰に認められたいわけでもなく、自分のために。
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