PCがくれたもの(後編)
Yahooチャットを友達から教わった私は、ネットし始めた頃のように、チャット内を暫くウロウロします。最初のうち、自分の地元関連のルーム(私達は○○部屋という呼び方をしていました)のいくつかを彷徨って、友達を増やしていきました。
同時に、前のSNSのHPでできることが狭すぎて、じぶんでHPを立ち上げます。と言っても、ほぼビルダーで作ってたので、HTMLをちょっとだけ覚えれば大丈夫。無料の日記サイトや掲示板を揃えて、写真や文章をUPできるようにして、活動開始。そこで詩やエッセイも書いていました。
ある日、その中の詩に、音楽をやっていた同じ地域の友達が、興味を持ってくれるようになりました。
「それさ、音つけて、曲作ってみる?」
との提案に、「おー」と思って、お願いします。それが私が作詞した最初の曲でした。
すると、私が作詞ができると聞きつけた、やはり同地域の友達が、
「俺も曲はできるんだけど、詞が書けへんのよ。手伝ってくれん?」
と言ってきて……。
そこから、彼と作詞作曲活動が始まりました。周りは、あの二人つきあってるんじゃないか?とか思われていたらしいですが(笑)、そんな事実はございません。ただただ単に私は作詞してるだけ、その子は作曲して歌ってるだけの関係でした。まあ、漫才の相方みたいなものでしょうか。
そして、私達は、そのオリジナル曲を携えて、地域の仲間のカテゴリーから音楽のカテゴリーへ。ここは、敷居が高くて踏み込んだことのない地帯です。私なんかの詞が通用するのでしょうか?
私の心配をよそに、他の弾き語りさんに混じって、しれっとオリジナル曲を弾き語る、うちの相方。
その部屋には、大抵、同じメンバーが顔を出していて、いつの間にか、そのお仲間に加えてもらっていました。
HPの方にも作詞した詞と共にMP3を貼り付け、そこから曲をきけるようにしたり、そういう音楽活動をしている人たちのサイトに投稿したりもしました。週間1位になったこともあるんですよ。凄い! 自画自賛(笑)。
今ならともかく、今から18年くらい前のお話。弾き語りを聴く? とお思いの方も多いかと思いますが、その頃からウェブカメラとマイクにヘッドホンで弾き語りをする人、カラオケ音源サイトから拾ってきて歌を歌っている人、一人分しか音は出せないので、そのマイクを回すMC担当の人。あとの人たちは、それを聴きながら、チャットで応援したり、感想言ったり、全然別の話をしてることも(笑)。
私も、たまにカラオケ音源流して歌ったり、MCやったりもしてました。
相方とは20曲くらいだったかな? もっとあったかも。それから、そこに参加していたオリジナルを作る方何人かに詞を提供したりして、最終的に30曲くらいオリジナル曲ができました。残念ながら、私は1曲も歌ってませんが(笑)。
こうやって、音楽の部屋に馴染んでいく中で、特に仲が良くなった3人がいました。その中の一人が、今の夫の
最初は、曲がったことが大嫌いな性格で、北海道弁がちょっと怖く聞こえて、チャットで上げる文字も他の人よりちょっとフォントが大きくて黒の太字。結構苦手でした。一方、圭さんの方も、私のことを、うちの相方についてくるミーハーな奴と思ってたらしく、同じく苦手だったらしいです。
2004年に、静岡でライブオフをやりました。その時に、私はライブ会場のPC前担当。圭さんはネット内の部屋のMC担当(この時は文字だけでしたが)、互いに、PC前で部屋をライブをお伝えするという重要任務を仰せつかり、5人のアーティストさんの合同ライブを成功させました。
圭さんと本当に仲良くなったのは、この頃からです。わからないことをよく教えてもらったり、話を聞いてもらったりしましたね。ライブ音源の録音ソフトの使い方なんかも教えて貰いました。
もはや、私のPCは、ウェブカメラにヘッドセット、録音ソフトに音源素材、音源ファイル等々…。今の子たちは、PC一つでできてしまうものを、散々後付したりDLしたりして自作してましたね。
毎日のようにチャットで話しているうちに、圭さんに会いたくなって、ついに1,700kmを飛んで会いに行ってしまったのが2005年。彼とのつきあいは、その時からです。お互いのことをよく話していたので、よく考えたら、実際には3〜4回しか会わずに、結婚を決めてしまいました。
結婚する前の年には、チャット仲間でよくして頂いた方のライブカフェを貸し切りで、地域の部屋の仲間と音楽部屋の仲間、そしてリアルなママ友、学生時代の友人を招いてのプチライブつき結婚披露パーティーを。
圭さんも、珍しく、恋愛ソングばかりを弾き語ってくれて、もう私は目眩がするほど幸せで。
そして、2008年の春に結婚しました。
まさか、PCをやっていたことで、再婚にたどり着くとは思いませんでした。
学生時代に、卒業文集に書いた、自分の夢というのが、「プロじゃなくていい。名前を知られないところで、文章を公開するような作家になりたい。」って書いたんですけど、これは、もしや、今の私??
その頃はPCの世界に戻ることも考えていなかったし、チャットやSNSを自分がやるだなんて想像もしていなかったのに。時代が、いつの間にか、私の夢を叶えてしまっていたんですね。びっくりです。
そういう訳で、私にとってPCとは、自分の第二の人生を作り上げてきたものだと言えるでしょう。これからも、いろんな場面で、関わっていく物だと思っています。
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