怖い話(蒼翁さんリクエストによる)
蒼翁(あおいおきな)さんのリクエストで、「怖い話」を一つ。
私の娘たちは、「見える」子のようです。
実家暮らしの頃、長女ゆっちゃん(仮名)は、いつも通る、何でもない交差点を曲がるとき、ニコニコして、同じ場所に手を振ります。誰が? 何が? いるのかな……?
2歳前の頃のことですが、次女まゆ(仮名)は、保育園から帰るとき、真っ暗な部屋に向かって、
「お兄ちゃん、バイバーイ♪」
お兄ちゃん……? どこ……?
まゆは、そんな平和な(?)霊ばかりが見えるようではないようです。
2歳前頃のある日、バタバタと台所に走ってくる、まゆ。
「どうしたの?」
「おじいちゃんが、こわい」
「おじいちゃん? どこの?」
リビングに私を引っ張っていくまゆ。
「ほら、あそこ」
「誰もいないよ?」
「いるよ、ほら、こっち向いた。来る! 来てる!! 怖い!!」
まゆは私の後ろに隠れて震えています。いつもは、見えてもこんなに怖がったことないのに……。
「帰ってください、って言いなさい」
「怖いよ……」
「まゆは、怖いから、帰ってくださいって大きな声で言いなさい!」
「怖いから帰ってください!! いなくなって、お願い!!!」
まゆは叫びました。
「消えた……」
まゆは、ぺたっと座り込むと泣き始めました。余程怖かったらしいです。
それから数週間後、元夫の父親、まゆにとっては祖父が亡くなりました。まゆは、祖父に、生まれてすぐの時に一度だけしか会ったことがありませんでした。
顔を見に現れたのかも知れませんね。霊というか、生き霊です。だから、まゆは怖がったのかもしれません。
一方、私は、全く霊感がないのかと言えば、そうでもなく。見えないだけなのかも知れません。感覚があるんですよ。気配とか、触れられてる感じとか。
夜中、ガッと両足を掴まれたりだとか、足に猫のしっぽが何度も何度もさわさわと絡んでくる、鎖骨の下辺りで何だか小さな生き物が賑やかにしているなと思ったら、耳元で「わっ!!」の時もあり、「こら!!」の時も。
全部寝ぼけてることにしてますが。
夏祭りの夜のことでした。まゆが行きたいと言うので、夫(今の夫です)と一緒に出かけました。帰りに、ちょっと遠いコンビニまで行って、おやつや飲み物を買ってきました。
帰ってきて、夫とまゆが、おやつを広げながらワイワイしてるのを左後ろに見ながら、私はPC作業をしていました。右側の後ろで、赤い浴衣を着たゆっちゃんが、そっちをじっと見ている気配がします。
もう、まーた、ゆっちゃんそっちのけで、二人で盛り上がって! と思い、
「ほら、ゆっちゃんも分けてもらいなさい」
と右後ろを振り返ると誰もいない。
「え……?」
「え? 何言ってんの、お母さん。ゆっちゃん、ずっとここにいるじゃん」
まゆの方を振り返ると、まゆの隣に、ちゃんとゆっちゃんはいたのです。しかも、普通の水色のTシャツを着て。
「嘘でしょ? ここにゆっちゃん、いたよね?赤い……浴衣……着て……」
ハッとします。まゆだってお祭りに行かせたけれど、浴衣なんか着せてない……。
「あ?」
まゆと夫が顔を見合わせ、
「連れて帰ったな。」
と言います。
「え? 何を??」
夫とまゆがコンビニ帰りに近道を通ったのですが、その途中に、「出る」ことで有名な場所が……。
その後、夫に玄関につれて行かれ、玄関の外で私は背中越しに塩を振られ、部屋のすみには盛り塩が置かれました。
……とりあえず、お帰り頂けたようです。
ということで、私が体験した怖い話でした。
蒼翁さん、こんなもんでいかがでしょう?
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