【掌編】ヒーローになる方法【1,000字以内】
石矢天
ヒーローになる方法
ユウちゃんはヒーローになりたい。
テレビにでてくるようなヒーローになりたい。
ユウちゃんはママにきいた。
「どうやったらヒーローになれるの?」って。
ママはいった。
「いいこにしていたらなれるんじゃないかしら」って。
でもユウちゃんはちがうとおもった。
だって、テレビにでてくるヒーローはつよくてかっこいいんだもの。
ママはユウちゃんのことを、
ヒーローになんかなれないとおもって、
いいこにしていたら、なんていうんだ。
ユウちゃんはかんがえた。
テレビにでてくるヒーローみたいにつよくなろう。
ユウちゃんはパパにきいた。
「どうやったらつよくなれるの?」って。
パパはいった。
「おそとでいっぱいあそぶとつよくなれるんだよ」て。
でもユウちゃんはちがうとおもった。
だって、あそんでいたってテレビにでてくるカイジンにはかてないんだもの。
パパはユウちゃんのことを、
ヒーローになんかなれないとおもって、
おそとでいっぱいあそぶと、なんていうんだ。
ユウちゃんはかんがえた。
ユウちゃんはかんがえた。
ユウちゃんはかんがえた。
ユウちゃんはかんがえた。
でもわからなかったから、
いいこにしてそとでいっぱいあそぶことにした。
こうえんであそんでいたら、ないているおとこのこがいた。
こんなとき、いいこは「どうしたの?」ってきくんだ。
「どうしたの?」
「ママがまいごになったの」
「ユウちゃんといっしょにさがそう」
ユウちゃんはおとこのこのママをさがしてあげた。
でも、みつからなかった。
しかたないから、おとこのこのママがもどってくるまで、
ヒーローごっこをしていっしょにあそんだ。
いっぱい、いっぱいあそんだ。
おとこのこのママがもどってきた。
おとこのこのママから、
あそんでくれてありがとうっていわれた。
おんなのこなのに、
ヒーローごっこにつきあってくれてありがとうっていわれた。
おとなはいつもそうだ。
ユウちゃんがおんなのこだからって、
ヒーローになんかなれないとおもってる。
おんなのこはおままごととか、
おにんぎょうがすきなんだっておもってる。
テレビではおんなのこのヒーローだって、
かいじんといっしょうけんめいたたかっているのに。
でも、さっきヒーローごっこをしていたら、
おとこのこがいってくれたんだ。
「ユウちゃんはぼくのヒーローだよ」って。
「ユウちゃんがあそんでくれなかったら、ぼくはずっとないてた」って。
ユウちゃんはパパとママはほんとうのことをいってたんだな、っておもった。
【掌編】ヒーローになる方法【1,000字以内】 石矢天 @Ten_Ishiya
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