第24話 鉄道と果物
今日は陸路シンガポールまで移動し、そこから夜行便で日本へ戻る計画だ。海峡と国境を
旅は半日がかりだ。仕事を
KLセントラル駅から列車に揺られ、半島最南端へ向かう。
左右に迫る圧倒的な緑の合間に、赤や黄色の花が人々の目を愛撫する。ハイビスカスに蘭に、さまざまな果実。堅く巨大に熟したジャックフルーツは今にも落ちて、自身割れるか、そうでなければ樹下の人の頭を割りそうだ。線路脇の木に朱く色づいたランブータンの実が、今ぞ食べ頃と自ら売り込みをかけている。
「持ってきましたよ」
自分でも気づかぬ間に私は物欲しそうな
一見RPGのモンスターのモデルにもなり得そうな毛だらけの
因みにドリアンは餘りに強烈過ぎる香りのために、多くのホテルで持ち込み禁止とされている。偉大なる王は、敬して遠ざけられる宿命にあるのだろう。
王様と云えば、あまり知られてはいないが、マレーシアには国王がいる。世にも珍しい、互選制で選出される任期五年の王だ。九つの州にスルタン(州に依っては違う名で称される)が在り、その中から一人が五年毎に
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