第20話 依頼と決断
マレーシアの法事情について観ると、死刑制度は現在も維持されている。麻薬販売人は原則死刑とされているのが特徴的だ。一度は死刑廃止が真剣に検討され、その副産物として死刑執行はここ数年行われていないにせよ、死刑制度維持国と考えてよいだろう。
三日前の
ところが今夜の標的の男に下された判決は、死刑ではなかった。被害者の遺族たちはその判断を不服とした。紆余曲折を経て、復讐は私の手に委ねられた。
私の基本方針に反して仕事を請けたエージェントには大いに不服なのだが、慥かにその男は悪逆非道と、口を極めて
とは云え殺された者とて善人ではない。それ処か、世の弱者たちを片端から食い物にしては屍を
この復讐の挙に、大義はあるのか。
それは
それに
無論私には思考と行動の自由があり、降りる選択肢があり得る。
その薄い選択肢を指し示して、決めるのはお前だと悪魔が嗤う。人間には選択の自由が与えられているのだ、誰も強制はしない、
曠野のイェスへも、ヴェーダ林の釈尊へも、悪魔は誘惑を試み退けられた。その
バグダードの
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