第5話 バクテと青唐辛子
それよりポーリィさんを憤慨させたのは今朝の朝食だ。
此の名門ホテルのビュッフェを袖にして其処らの屋台へ出掛けるなどとは有り得ない。何を措いてもこのビュッフェを味わずして何とする、とまるで自身が不当に
私にとってはマレーシアでしか出逢えない屋台飯は高級ビュッフェにも劣らぬ御馳走なのだが、
ご機嫌に鼻歌を口
食事とともに注文したのは烏龍茶。薬罐に沸かした湯と、茶器セットが出てくるとまずポーリィさんは食器を
サイドメニューの野菜炒めも出てきた。もやしとニラに
だが調子に乗って山盛り盛った椀にかぶりついた処で、口内に異変が起こった。奥歯で噛み潰したものから熱いとも苦いともつかない汁が迸ったのだ。その正体は野菜炒めの中に隠れていた青唐辛子だと悟った。悟ったがもう遅い。舌も頬の裏も脣までも火傷したかのように
青唐辛子は、マレーシアをはじめ東南アジアの料理では欠かせない。日本であれば赤い料理にこそ警戒し、緑の料理には安堵するのが一般だが、此の地では
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