田原総一朗、クニの長と対面する

 「防空建屋」には次々と人が避難してくる。その避難民を追いかけるように戦闘機がやってきた。見たところは自衛隊の戦闘機と変わらないが・・・・・。

バシュッ!

戦闘機が爆弾を出した・・・・・?いや、違った。出したのは無人機だった。こんな技術があるのか。

無人機は、建屋の上空で旋回している。そこから・・・・・


ドーン!!!!

大きな爆発音がした。だが、建屋はびくともしなかった。

「これくらいじゃぁな」


だが、ここで、不測の事態が発生した。

パーン!パーン!

戦車が機関銃を打ち鳴らしながら迫る。そして、弾のうちの一つが――窓を貫いた。

バリン!!!!

窓ガラスが割れ、その先にいた老人が凶弾に倒れた。


「おばあちゃん!!!!」

孫とみられる少女が老女に話しかける。

「私はもういい。ミナ、立派な大人になるんだよ。私の葬儀はしなくてもいい。ツユアと戦え。カラスムギに栄光あれ・・・・・」

老女は倒れた。

こんな光景は、戦時中依頼に見ただろうか?いや、他国の戦争の映像で見ただろうか・・・・・?

もし、この弾がずれたら自分に当たったかもしれないと考えると冷や汗が出る。


 戦車は逃げ遅れた人々を巻き込んでゆく。これでは建屋もダメだ。

「みんな、建屋から出て対戦壕に避難せよ!!」

対戦壕とは、いわゆる防空壕のようなものらしい。

メチャクチャ大きくて、普通の家の地下室のような部屋に避難する。


ゴゴゴゴゴゴ・・・・・

パンパンパン!!!!

ギャァァァァ!!!!

戦争ならではの雑音のおかげで、ゆっくりと眠ることはまるで不可能だった。


 田原総一朗はいつの間にか対戦壕ですやすやと寝息を立てていた。なので、もう出てもいいよと、口臭さんの娘さんに起こされた時は、ここは天国かと思った。


「それでは、田原さん。我が国の長に会ってください」

「え?!」

僕のリアクションに、口臭さんは逆にビックリしている。


「何ビックリしてるんですか。戦争を止めてもらうにはリーダーを変えないといけないでしょう?」

「そ、それはそうだが・・・・・」

「お願い!!!!」

「はい・・・・・」

苦汁を飲まされる形で、長に会うことになった。


 目の前には、立派な髭を蓄えた男性が座っている。

「あなたが田原総一朗か」

「その通りです」

口臭さんが僕のことを紹介する。

「よく来てくれた。そんなこわばらずに、共に間食を取ろうではないか」

「はい」

良かった、優しそうな人で。

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