田原総一朗、国長会談に出席する①

 どうやら、爆撃は終わったようだ。民間人の死亡はないはず。長に一休みしていいよと言われ、ベッドへダイブした。

「お疲れ様です」

口臭さんの娘さんが言ってくれた。

「ありがとう・・・・・」

次の言葉を言い終わる前に、僕は眠ってしまった。


 次の日は、近くに爆弾が落とされたらしく、その煙のせいか、曇っていた。

「おはよう、田原君。昨日はお疲れ様だった。夜、講和の電報を出した。相手からはすぐにOKが出た」

「そうですか。まあ、講和できるならよかったじゃないですか」

「そういうことだな。ハッハッハ!」

長は、上機嫌で笑っていた。


「ところで、田原君。毎度毎度悪いのだが、また頼みがある」

「何でしょう。明後日、“国長会談くにおさかいだん”があるのだが、それに参加してくれないか。一刻も早く和解したいのだ」

「そうですか・・・・・」

正直、僕は怖かった。だが・・・・・

「い、いいでしょう。僕が仲介して見せます」

「おお、心強い。頼むぞ、田原君」


 と、思っている間にも月日は過ぎる。半分以上は壕で暮らしていた。いつ自分が殺されるかという恐怖というのはおよそ80年ぶりに経験したかもしれない。

今日は国長会談くにおさかいだんの日だ。会場はリツハンキュウとカラスムギの国境付近にあるホテルだった。僕たちは“重層ヘリコプター”で会場へと向かった。


「こんばんは、ライさん」

ビクッとして後ろを振り向くと、険悪な顔をした若者が立っていた。

「お久しぶりですね。ロチンダアーさん」

どうやら、この若者がツユアの長らしい。

「おやおや、ミヤノウキュウさんも」

ミヤノウキュウというのは、リツハンキュウの長である。

「それじゃあ、各国の代表が集まったところで、話し合いを始めようぜ」


「まず、我々カラスムギがツユア、リツハンキュウに出す講和条件は3つだ。

①今後、共栄主義陣営国に侵攻しないこと

②リビリアリビ、ナカノチャ、チョーノースらと、共栄陣営からの中立を認めること

③賠償金を出すこと

④カラスムギの復興支援をすること」

長が言った。


「それでは、我らツユア、リツハンキュウが出すのはこれだ。

①多額の賠償金を支払い、復興支援をすること。そのための人員を出すこと

②中立化すること

③武装解除すること、および武器製造、貿易をしないこと

④共栄陣営との貿易制限をすることだ」

ロチンダアーが言った。武装解除というのが痛い。また、共栄陣営との貿易制限というのも中々だ。

ここから、長い長い討論が始まった。

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