私だけのヒーローはママ

伊崎夢玖

第1話

私のパパとママは去年離婚しました。

どっちについていくか、パパに聞かれた時、私は真っ先に「ママ!」と答えました。

パパのことは嫌いじゃないけど、どうしても一緒に住むのが嫌な理由がありました。

それはパパの匂いです。

パパは時々知らない女の人の匂いがします。

それがどうしても嫌でした。


しばらくして、ママと二人でアパートに引っ越しました。

パパとママと三人で住んでいた家と比べるととても狭いけど、ママと二人でいられるこの家がとても好きです。

家にはほとんど一人でいます。

ママは昼も夜も関係なく、働いているからです。

本当は一緒にいたいけど、私のために働いてくれているので、わがままは言いません。

少しでもママの役に立ちたくて、最近は少しずつ家の手伝いも始めました。

この間の日曜にママもお休みだったので、一緒にカレーを作りました。

初めて包丁を握って、あまりの怖さに手がブルブル震えました。

私の手を見て、ママは大笑いしました。

ママは「そんなに怖がっていると指を切っちゃうよ」と言いました。

包丁で切るのは怖かったけど、ママに教えてもらいながら初めて切ったのは、ニンジン。

半分しか切らなかったけど、ニンジンはすごく硬くて、大変で、疲れました。

いとも簡単に切ってしまうママはすごいと思いました。

出来上がったカレーをママと二人で食べました。

今まで食べたどの料理よりもおいしかったです。


ママはお仕事の合間に、料理を作ったり、洗濯物を干したり、掃除をしたりしています。

こんなに大変なことを毎日していると思うと、私はまだまだだと思いました。

最近ママは仕事で疲れているのか、溜息をよくつきます。

早く一人前になれるよう、これからがんばって手伝いをしていこうと思いました。


おしまい。

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私だけのヒーローはママ 伊崎夢玖 @mkmk_69

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