第2話 少女

孤独という2文字が胸を締め付けるようになったのはいつからだろう。のらりくらりと生きているうちに気づいたら18年の歳月がたっていた。静かな家に1人机に向かうだけの日々はとても退屈で、生きる価値なんて考えてもしょうがないことが頭の中を駆け巡った。夏休みも気がつけばもう少しで終わる。

別に悲しいなんて言う気持ちはないけれど、窓の外から聞こえる楽しそうな子供の声にどこか嫉妬した。なにか食べようかと思いキッチンに向かうとふと1枚の張り紙が目に止まった。それはなんでもない夏祭りの案内だった。

去年も一昨年も行く友達がいなかったので、今年も行くことはないだろうと思っていたが、ふとそんな自分の考えてを裏切ってみたくなり、外に出るとまだまだ衰え知らずの暑さに少しびっくりした。

どこからが聞こえるおうちへ帰りましょうのチャイムをよそに祭りの会場へ向かう。小学生の女の子が浴衣をきて、わたあめを持ち走っていく姿を横目に歩いていると知っている顔がいた。少しだけ女の子が羨ましかった。

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若者のすべて @tetunoisi

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