君と笑っていたい
@sakurazukikai
第1話
「お姫様って誰がやるの?」
今日は文化祭で行う劇の配役決めしている。
クラスがわいわいと賑わってる中一人の女子生徒が手を挙げて黒板の前に立つ女子生徒に聞いた。その一言にクラスが静まり返った。当たり前だ。劇の重要人物と言えるお姫様に自分からなりたいなんて言う奴は少ない。言える奴は相当自分の容姿に自信がある奴だ。
「えっと…誰がやりたい人いますか〜?」
クラスを仕切る女子生徒、委員長が聞いた。もちろん誰もが目を伏せ手を上げようとしない。男子は「可愛い奴だろ!」と茶化す事しかしない。対して女子は誰かになすりつけないだ。誰々がいい。誰々なら可愛いなどと。
「居ない様ならじゃんけんになるんだけど…」
このまま決まらないままだと劇自体出来なくなるためじゃんけんでお姫様役を決めることになった。女子生徒が全員集まり一斉にじゃんけんを始めた。数分が経ち決まった。姫様役をやるのは桜井だった。桜井はカーストで言うと真ん中ぐらいで可愛いと評判だ。
「じゃお姫様役は桜井さんになりました」
男子は少し残念そうな顔した。理由は簡単だ。二階堂じゃないからだ。二階堂は学校で一番可愛いと評判の女子生徒だ。誰にも優しく教師からの信頼も厚く誰もが憧れる人だ。みんなにお姫様役やりなよ、と言われてももっと可愛い居るよと言い断り続けていた。
「それでは今日はこれで終わります。みなさんありがとうございました」
配役が決まったことで今日は解散となった。俺はバックを背負い教室を出た。校舎を出て帰路に着くと見覚えのある奴がいた。
「久しぶり、伊月」
「久しぶりだな!総司!」
こいつは佐藤伊月。俺の中学の時の友達でよく俺と連んで遊んでいた。高校に入り彼女が出来てからあまり遊ばなくなっていた。
「彼女とは上手くいってるのか?」
「あぁ、お陰様で上手く行ってるよ」
こいつの彼女は中学の同級生だ。中学の卒業式、こいつが中々勇気が出せずに告白を諦めていたこいつの背中を押してやることが出来た。見事に交際まで持って行けたから良かった。
「お前はどうなんだ?」
「出来てると思うか?」
「出来ると思うけどなぁ…お前優しいし」
俺だって作れるなら作りたいけど作れないんだよな。
「それより彼女は?」
「今日はバイトだってよ」
バイト……こいつの彼女真面目だからな。真面目すぎて怖いからな…
「久しぶりにゲームしようぜ!」
「良いぜ。負けねぇから」
俺と伊月がよくやるゲームとは対戦型のテレビゲームだ。様々なキャラクターから一人選び、そのキャラクターを操作して一つのフィールドの上で戦い合う。キャラクターに沿った必殺技や技を駆使して戦うのがこれまた面白くてハマったのだ。
「やっぱ伊月は上手いな」
「だろ!?俺はこのゲームに関しては天才だからな」
「そうだな」
俺らの笑い声が部屋に響き渡った。このやり取りをするのは久しぶりだなと思いつつスマホを見るとスマホには18時と表示されていた。此処から俺の家まで1時間ぐらいかかるからもう帰らないといけないな。
「悪い、俺もう帰るわ」
「まじか…仕方ないな。またゲームしようぜ」
「あぁ、またな伊月」
伊月の家を出て地下鉄に向かった。電車が来たため電車に乗り込むと会社員が大勢いた。退社ラッシュとは良く言ったものだな。吊り革を握り扉の方を向いているとそこには俺と同じ高校の女子生徒が居た。女子生徒の吊り革を握る手が震えている。顔は青ざめ、目は涙を溜めている。
「てめぇ痴漢はやめろ。」
女子生徒のお皿を触るおっさんの手を掴み上に上げる。
「なんだよ!やめろ!」
「痴漢はやめろって言ってんだよ。変態」
おっさんは見事逆ギレして俺が掴む手を無理矢理振り解き、その手を思い切り俺にふりさげてきた。その手は俺の頬にあたった。
「いてぇな、 暴行罪な」
「黙れ!」
「警察に見せるからな。変態」
そう言った瞬間、電車の扉が開いた。変態は扉が空いた瞬間に電車を走り去っていった。俺も電車から降りて窓口に向かった。窓口の人に警察を呼ぶように言うとすぐに警察を呼んでくれた。
「君…その頬は…」
「痴漢を止めらたら殴られただけです」
「よく痴漢を止めた!君は漢だ!」
「ありがとうございます」
数十分経つと警察がホームにやってきた。警察の人に事情を説明すると数人を外に行かせて数人は俺を病院に連れて行ってくれた。病院の診断結果としてはなんともない。冷やしていたら治ると診断された。
「いてぇ…」
湿布を貼られて病院を出た。病院の外では警察がいて診断結果を教えると安心した後、連絡先を聞いてきた。素直に教えるとパトカーで家まで送ってくれた。
「ありがとうございました」
「こちらこそありがとございます。何かあったらご連絡します」
俺は家に入って晩飯を食べてベットに入った。
君と笑っていたい @sakurazukikai
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