別れ
5年間。
長くもあり短くもある年月をガルスはダークとともに過ごした。
ダークには主に魔獣の効率的な倒し方、高度な魔法の使い方を学んだ。
僕はダークについて詳しいことは何も知らない。
ただ只者ではないということだけは言える。
ダークほど高度な剣裁きと魔法を使うことができる人はそうそういないだろう。
とうとうこの日が来てしまった。
俺はガルスが一人で生きていくことのできる力を付けたら自分についての秘密をすべて明かし、独り立ちさせることを決めていた。
本来、この場所は人間の入って良い場所ではない。
これまでは保護という名目でおいていたがその名目が使えなくなった今ガルスをこの場に置いておくことは掟違反となる。
僕がいつも通り食事の用意をしていると突然ダークに呼び出された。
今思うとあの時のダークはいつもと違った気がする。
「ガルス、お前は十分力をつけた。これからは一人で生きていけ。」
一瞬何を言っているのか理解ができなかった。
でも僕もこの日が来ることはわかっていたはずだ。
それがいつの間にか一生ダークと暮らしていけると考えるようになってしまった。
ダークと僕は違うのだ。一生を共になど出来ないことなどわかっていたことなのに。
俺が話し終えるとガルスは何も言わずどこかへ行ってしまった。
あいつは何かつらいことがあると一人になるために自分の部屋にこもる。
もう少し順を追って話したほうがよかっただろうか。
でもこれしか言いようがない。
そうそのはずだ。
目が覚めるとまだ外は暗かった。
ダークもまだ寝ているだろう。
僕は本来この土地にいてはならない存在だ。
だからいずれはこの土地から離れなければならない。
それが今なのだ。
ガルスが消えた。
つたない文字で書かれた別れの手紙と豪華な朝食を残して。
この時ダークは自身の過ちに気づく。
彼らの住む魔の森は人間の入らない地。
強い魔獣がたくさんいる地。
もしガルスが人間の国に行ってしまったらと考えると
胃がキリキリと痛むダークであった。
呪いの一族 ゆき @yuki-515
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