第12話 ある2人の墓参り

 6年後。


 2月14日(日)朝。


 あるお墓の前に、2人の男女が訪れた。


「この人が初恋って言ってた人?」

「うん。そうだよ」


 男女は親しげに話しながら、そして少し思いに耽りながら、お墓を掃除し始めた。

 2人でする掃除は効率が良く、瞬く間に掃除をし終えてしまった。

 すると男女は、蝋燭と火をつけた線香を立てると、手を合わせて目を瞑る。

 しばらくすると、また動き出し、最後にお供えを施し、最後に一礼してお墓をあとにした。

 男女が来た道を戻る途中、男性の方は何かが聞こえたように立ち止まって周りを見回したが、女性の方に呼ばれると返事をして女性の後を追うのだった。

 

 2人が去った後のお墓には、

仏花用のカスミソウと、少しお墓には似合わないスイートピー、そして、容器に入った、シフォンケーキ型の砂糖菓子が供えられていた。

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届かないはずのチョコレート キエツナゴム @Nagomu_Kietsu

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