第六十六章 猫王子の引き籠もり事件
第462話 ラサミス教官の日常
---ラサミス視点---
9月上旬。
夏も終わり季節は秋に突入した。
メイリンはリアーナ魔法大学、
マリべーレはリアーナ大学の付属中等部に無事入学。
そしてこのオレもリアーナ大学の付属中等部、高等部の
訓練教官として、この新学期から働く事となった。
尚、訓練教官の同僚には、
師範代を務めていた女性竜人のスカーレット。
褐色肌のヒューマンの大男の師範バルバーンの姿もあった。
「まあラサミスくんに比べたら、
私達なんて小物も良いところだけど、
学園という職場は
勝手が違うからね。 だからお互いに協力しようね!」
「はい、よろしくッス」
「……オレも一応師範だけど、
まあだからお互い気兼ねなく「オレ、お前」の関係で行こうや」
「そうッスね、でもオレはまだ十九歳の小僧なんで
至らない点があれば、ビシバシ指摘してください」
「まあ最低限の敬意を払ってくれたら、オレは文句云わんさ」
みたいな感じで同僚に顔馴染みが居たから心強かった。
何せオレの最終学歴は中卒だからなあ。
正直今にして思えば、高等学院くらいは卒業しておくべきだった。
とはいえ今更嘆いても仕方ない。
オレの剣術や体術は我流に近いが、
対魔族戦で様々な実戦をこなしてきたのも事実だ。
まあ対モンスター戦と対人戦では、
微妙に戦い方も変わってくるが、
とりあえずは実戦を想定した訓練で生徒達を鍛えあげよう。
ちなみにオレの勤務体系は、
週五で1日に一つか、二つの授業を行い
月給はおよそ70万グラン(約70万円)。
悪くない稼ぎだが、思っていたより少し低いな。
まあここ数年でオレも随分と荒稼ぎしたからな。
だから少し金銭感覚が狂ってるのかもな。
そんな感じでオレは訓練教官として働き始めた。
住まいは今まで通り
そしてオレだけでなく、メイリンとマリべーレの為に
ちなみにマリべーレは中等部の一年A組。
元半人半魔部隊のジウバルトも同じ一年A組であった。
二人ともオレの授業を受けていた。
ただマリべーレに関しては、
剣術や体術の授業を苦手としていた。
まあこの辺は仕方ないよな。
人にはそれぞれ得意、不得意がるからな。
だから彼女にはそれ程難しい課題は与えなかった。
一方のジウバルトはなかなか優秀な生徒と言えた。
奴の
クラスでも五本指入るほどの腕前であった。
体術に関しては、もっと凄かった。
奴は小柄であったが、その小柄を生かした素早い身のこなしで
軽量級の
打っては離れるの「ヒット&アウェイ」戦法で
同じクラスの大柄なエルフや竜人相手に互角以上に戦っていた。
奴の能力に関しては、非常に優秀であった。
だが奴はクラス内で二人一組になる授業の場合に
誰かと組む事が出来なかった。
まあ要するにぼっちというやつだ。
だからオレが組んでやるんだが、
その度に露骨に嫌そうな顔をされる。
だがクラスで完全に孤立というわけではなく、
クラスメイトの茶トラのマンチカンの
その子分らしきメインクーンの
時々、ジウバルトに話しかけていたが、
奴はいつも適当にあしらっていた。
なんかあの
何処かで見たような気がするな。
誰かに似ているんだよな。
まあそんなこんなでジウバルトは、
クラスでも少し浮いた存在であった。
でも只の訓練教官のオレが口を挟むのもアレだしな。
マリべーレの話だと、他の授業や座学でも
真面目に授業は受けていて、試験の成績も良いみたいだ。
だからオレは奴に必要以上に干渉しなかった。
まあこんな感じでオレは日々、働いていた。
土日の休日にはエリスと二人でデート。
時々は団員で冒険者ギルドの討伐依頼を受けて、
実戦の感覚を忘れない程度、モンスター相手に戦ったりもした。
そんな感じで毎日が過ぎていった。
幸い同僚だけでなく、オレは生徒の受けも悪くなかった。
正直他人にものを教える自信などはあまりなかったが、
いざやって見ると、案外上手くいっていた。
そして瞬く間に三ヶ月が過ぎた。
その間に海の向こうで、あの魔王レクサーが結婚したらしい。
相手は
というか
まあいいや、この辺の事情は色々と面倒臭そうだ。
それで魔王と新王妃の新婚旅行も兼ねて、
魔王夫妻が四大種族の主要都市を訪れるらしい。
どうやらこのリアーナにも来るようだ。
正直あまり会いたくない。
でも会わない訳にはいかないだろう。
オレと
まあ無難に対応しよう、無難に。
だが幸か不幸か、この後に中等部内でとある事件が起こり、
オレは少々面倒くさい問題に、
巻き込まれる事になるのであった。
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