第143話 華麗なる雌猫族(めすニャーマン)
港町クルレーベ。
北ニャンドランド海に面したこの港町は、船による交易が非常に盛んであった。
昔から
そういう背景もあり、このクルレーベは
「ぎゃ、ぎゃあああっ……た、助けてニャン!」
「アハハハッ! お前等、進め! 進め! 邪魔する奴は皆、殺せ!」
先頭に立つ魔元帥直属部隊の紫髪の男竜魔が手にした大剣を頭上に振り上げて、声高らかにそう叫ぶ。 周囲の
「うわあああっ!? だ、誰か警備隊を読んできてくれニャ!」
「もう呼びに行ってるニャ! でもこの数相手には厳しいニャ!」
「ハハハッ! 無様だな、
まるで生殺与奪を握った支配者のように振る舞う紫髪の男竜魔。
しかし周囲の
だが全ての
我が物顔で進行する魔王軍に向かって、何者かが突撃をする。
「ぬ? な、なんだっ! お前は……」
「せいっ! ――ピアシング・ドライバーッ!」
その人物、否、
体長60前後。 手足は長め。
体毛は短く、黒い斑紋で縁取られた斑紋が特徴的な
「ぎゃ、ぎゃあああっ……あああっ!!」
「な、何だっ!? 猫共の反撃か!?」
仲間がやられて、やや慌てる魔族兵。
するとオセロットの
「猫ではない。 我々は
なんとこのオセロットは
「あ、ありがとうございます! お、おい! 今のうちに逃げるぞ!」
「あ、ああ! ありがとう、猫騎士さん!」
「何だ、お前もしかして雌の
ジュリーに向かって、そう問う魔族兵。
「貴様らと語る口は持たぬ! ――スピニング・ドライバー!」
そう言いながら、怒涛の五連撃を繰り出す猫騎士ジュリー。
その白銀の細い刺突剣で、標的の眉間、両目、咥内、喉元を突き刺した。
突き刺された魔族兵はこの世の終わりのような断末魔を上げた。
「こ、こいつ……強いぞっ!?」
「今の剣捌きは只者ではない! というか
「ええいっ! 怯むな、お前等!」
そう言って前に出る隊長格の紫髪の男竜魔。
だがその瞬間、何者かが紫髪の竜魔の背後に高速で忍び寄っていた。
「っ!?」
「ふんはぁっ! ――スカル・ブレイクッ!!」
その者はそう技名を野太いで叫びながら、大きく跳躍して、紫髪の男竜魔の頭上に、両手で持った白銀の
「ぐ、ぐはあああっ!?」
会心の一撃が決まり、紫髪の竜魔の頭蓋骨が打ち砕かれた。
するとその者の顔が月光に照らされて、露わになった。
その者も
体長90セレチ(約90センチ)前後。
品種はマヌルネコ。
体毛は澄みを帯びた灰色、腹面は白に近い灰色で、四肢は黄土色だ。
腰に茶色の
体毛が長く密集して生えているので、太めに見えるが実際は筋肉質だ。
光沢のある白銀の鎧を着て、左手にプラチナ製の
右手に白銀の
この雄のマヌルネコも
名前はロブソン・バンテ。 職業は
そして白銀の
「喰らえ、
ジャンプしながら、中級の
「ロブソン、そっちの敵は任せたわよ!」
「了解だ、ジュリー。 こちらはワシに任せろ!」
「糞っ!? こ、こいつ等、強いぞ!」
「
そう言って双眸を細める魔族兵。
「へい、へい、へい、お前等だけで美味しいところ持っていくんじゃねえよ! このオレ様も混ぜろ、って感じだぜっ!」
そう言ってまた新たな
品種はカラカル。 体長は80前後。
体毛は短く、地色は赤褐色。 顎、胸、腹にかけて白色である。
目から鼻にかけて、黒い筋模様が入っており、特徴的な耳の持ち主だ。
頭に黒いテンガロンハットをかぶり、上半身に茶色のコートを羽織り、コートの下は黒のシャツ、首元に黄緑のスカーフを巻いており、下半身は黒の革ズボンという騎士らしからぬ恰好。
だが彼も――ラモン・マルドナードも
その両手には
「へい、へい、へい、へいっ! ここクルレーベはオレ達、
そうハイテンポで喋りながら、両手の指で引き金を振り絞る
「オレ様、
リズミカルに身体を揺さぶりながら、両手の二丁拳銃で敵を撃つラモン。
こんなよく分からないキャラだが、射撃の腕は正確で次々と敵兵を射殺した。
不意を突かれて、やや戸惑う魔族兵達。
「よし、敵は怯んでいるぞ! 今のうちに総攻撃をかけるんだ!」
後方からかけつけた
「魔王軍よ! 我々、猫騎士の力を思い知るが良い!」
「進め、進め! 敵は怯んでいるぞ!」
次々と掛け声を上げて、敵兵目掛けて、突撃する猫騎士達。
気がつけば、この夜の港町クルレーベの中央広場がボブ・キャットで埋め尽くされた。
体格面で劣るボブ・キャット達は、二人一組になり、一人の魔族兵に襲い掛かる。 単純な戦術だが、このような乱戦では結構有効な戦術である。 次第に押されていく魔王軍。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます