第9話 第一章 雪兎と魔人の娘 4

僕とアリスは猫耳メイドさんに案内され魔王城の謁見の間へ到着した。

謁見の間には6人の幹部らしき人物と一体の化け物が玉座の前に立ち、玉座には角を三本生やした魔人が座っていた。

リッチ、鬼人、眼鏡をかけた人間の男性、真紅のローブを着た女性、野太刀を背負った竜人、狐耳の女性、獅子の顔が人間のマンティコア。それぞれが思い思いに一人と一匹を見ていた。


アリスはは玉座から5m程の所で立ち止まり、僕を隣におろして膝をつき頭を垂れ

た。僕は香箱座りをして時折、耳をぴょこぴょこさせて可愛さをアピールする。


正面にいる狐耳の女性が負けじと耳をピコピコさせる。

まるで「負けませんよー」と可愛さを競っている感じだ。


それらを完全無視して魔王は

「面を上げよ。」玉座の主が声をかける。アリスは正面を見た。僕はすでに面を上げている。


「お前たちがメイザルとブレオンがマナドリフトで拾ってきた者か。魔人の少女よ。名は何と言う。」


「私はアリス。魔人族です、隣の角兎はリョウといいます。」


「何処から来た?」


「私たちはマナドリフトの向こう側から来ました。」


「神が作りし者か。」

マナドリフトの向こう側から来たものは神が作りこちらの世界に送り込んでいると言う伝説があった。


「その兎はお主のペットか?」魔人はともかく魔兎を神が作って寄越す訳がないと魔王は思った。


「いえ、リョウは私を助けてくれました。」


「お前の命を助けたと?、ただの角の付いた魔兎にしか見えんな。」

魔王はアリスとリョウに鑑定スキルを試す。アリスの能力やスキルはある程度の把握が出来たが、リョウについてはすべてアンノウンと出る。しかも兎は何かしらのスキルを使おうとしたがカウンタースキルを察知したのか途中で止めた。侮れない兎だと思ったが見る限りでは角の付いたただの魔兎にしか見えない。


「見えなくても事実だから。」ムッとしながらアリスは答えた。

魔王はリョウについてやはり「侮れぬ魔兎」と評価を改めた。


「無礼であろう。」眼鏡をかけた男性が言った。


「よい、アルタイル。」アルタイルもリョウに対しての鑑定スキルに失敗したのだろう。おそらく鑑定スキルと弾いた事に対して怒っているのであろうと魔王は推察した。


「はっ」アルタイルと呼ばれた男性は頭を下げる。


「とりあえず、お前達にはこの国の力になってもらう。期待しているぞアリスとリョウよ。」


「はい。」アリス返事をすると同時にリョウは頷いた。


「何処に所属するかは追って連絡する。下がってよい。」アルタイルが言った。


「失礼します。」アリスはそう言うと僕を抱っこして謁見の間を出ていった。


「あーやばかった。鑑定したら殺されてたね。」耳をぴょこぴょこさせながら鑑定をしようとしたら前にいる者、全員からのプレッシャーを浴びリョウは死を覚悟した。


「リョウはなんだか余裕だね。」


「そんな事ないよ、ちびっちゃうかと思ったよ。」


また猫耳メイドに案内されて部屋に戻ったのであった。

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アリスとリョウが謁見の間を出て行った後、魔王たちは一人と一匹をどうするか話し合っていた。


「あやつらをどう見た?。」魔王が配下の者に聞く


「兎さんもアリスさんもかわいかったです。」狐耳の女性が答えた


「お主もつられて耳を動かしてどうする。」ブレオンは呆れながら言った。


「だって、かわいかったですもの。ね、アスタロト。」狐耳の女性は真紅のローブを着た女性に同意を求める。


「確かにって、こっちに振るなキリコ。アリスという魔人族の娘はかなりの潜在能力があるみたいです。鍛えれば大幅な戦力強化になるでしょう。」


「兎のほうはやはり、わからん。あの娘とは意思疎通ができておるみたいじゃが」

メイザルは鑑定スキルを弾く兎が少し不気味だった。


「あの兎は何かしようとしていました。途中で止めたみたいですが」アルタイルが言う。


「おそらく、鑑定スキルじゃの。危険を察知したのじゃろ。」


「兎が鑑定スキル持ちとはな、愉快。」竜人の男がそういって笑った。


「宝の持ち腐れじゃ。」


「リョウと呼ばれた魔兎は会話の内容を理解していたようだ。」魔王がリョウについて話した。


「そのような感じを私も受けました。」アルタイルが同意した。


「だからと言ってどうなるわけでもない、魔獣が魔獣意外と意思疎通はできぬ。」

竜人が言った。


「あの兎は我々、魔獣軍団が預かろう。」マンティコアが魔王に提案する。


「では、アリスは私が預かりますわ。」同じくアスタロトも提案した。


「よかろう、アリスはアスタロトにリョウはマンティコアに任せる。」


「御意。」


「3年前に人間族に強者が現れてから我が国は押されておる。これを機に挽回と行

きたいところだ。」


「はっ。」


「では、解散。」


魔王は玉座から立ち上がる。


魔王が謁見の間から出るまで幹部は頭を下げ続けるのであった。








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魔兎転生 @aki_ossan

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