追放されたハーフエルフ少女は自身のユニークスキルを知る

  エルフ族の国。アズリアル王国の門を出てアズリアル王国に囲まれた広大な森……と言っても、エルフ族以外の種族には広大に感じるだけで、エルフ族やエルフの血が半分混ざってる私達にしたらただの森だけど……

  その森を抜け、これで完全にアズリアル王国領内を出た私とネリネは、しばらく歩いた後ネリネが休憩するの良さそう場所を見つけ、まだ次の街まで時間かかるからとそこで休憩をする事にした。


「お嬢様!お茶です!どうぞ!」


ネリネは詰め込んだリュックサックからシートを取り出しそれを敷き、簡易式の魔物避けを設置した後、紅茶セットを取り出して、ネリネは自身が淹れた紅茶を私に差し出した。

  いや……ネリネ私よりも準備良すぎない?まぁ、私の方が国を出て行くつもりがあったのにもう少し準備をするべきだったか……紅茶セットはともかく、シートや簡易式の魔物避けは用意するべきだったわね……


「あっ!そういえば……リアナお嬢様の成人の儀の鑑定結果を預かってきましたよ!」


ネリネはそう言って笑顔で私に教会の印が押された紙を差し出した。私はその紙を見て苦い表情になる。なんせこの結果こそが私がこうして追放処分を受けたものだから仕方ない。


「って言っても、私は魔力が0で魔法も使えないって話でしょ。私が無能だって結果を見せられてもねぇ〜……」


「まだリアナお嬢様が無能って決まった訳じゃないですか!リアナお嬢様は自身のスキルについてはまだ何も知らされてないんですよね!?」


スキル。それは成人した者に神が授けるギフトと言われている。スキルは人によって様々で、基本は1人に一つと言われているが、稀に複数のスキルを保持する者や、特殊でレアなスキルや、神に匹敵すると言われるスキルなど、様々なスキルや事例が存在しており、成人の儀を取り行う教会でもスキルについてはまだ完全に把握しきれていない。


「けど、スキルがあっても魔力が0なら何の役にも立たないんじゃ……」


基本、スキルの力を行使する場合魔力を消費して発動する物が多い。もちろん、魔力が無くても使えるスキルはあるが、魔力を消費して使うスキルの方が強力であるのは間違いない。現に、お義母様やお義姉様のスキルも魔力を消費して発現させるものだ。


「まぁまぁ!何事も確認してみないと分からないじゃないですか!とにかく見てみませんか?」


ネリネの言葉にそれもそうかと思った私は、ネリネから紙を受け取って早速確認する事にした。とりあえず、魔力を消費するタイプじゃない生きていくのに有利なスキルなら何でもいいんだけど……


『絶対無敵無双の拳』

種目:ユニークスキル

あらゆる事柄は全て拳で解決!拳さえあれば何でも出来る!難病の人も救える!強大なドラゴンも倒せる!物作りだって拳を突き出すだけでOK!別に拳を当てなくても、拳を突き出すだけで何でも出来ちゃうなんて便利でしょ?あっ、その代わり、魔力は0で魔法が使えないっていうデメリットはあるけど、拳一つで何でも出来るから問題ないよね!


  ……って、なにこれ?『絶対無敵無双の拳』なんて聞いた事ないんだけど……しかも、説明文がやたら軽い感じで若干イラッとくるし……


「って!?ユニークスキル!?流石は私のリアナお嬢様です!」


一緒に鑑定結果を見ていたネリネが突然叫び出すので、私は驚いてネリネの方を振り向く。


「突然何!?ユニークスキルって書いてあるけど、それがどうしたって言うのよ……?」


「リアナお嬢様は知らないんですか!?ユニークスキルって言うのは、とにかく凄いレア中のレアなスキルなんです!!」


ネリネの説明曰く、ユニークスキルとはその人に合わせて特化した最強にして最高にレアなスキルらしい。ユニークスキル保持者は世界中探しても数人いるかいない程度らしく、私はその稀な事例の1人という事らしい。


「名前も凄そうですし!説明文を読んでもなんだか凄そうですし!やりましたね!リアナお嬢様!!」


ネリネは拳グッと握りしめてそう言うも、私にはこのユニークスキルとやらに、疑いしかなく首を横に傾げる。

  いや、だって名前もなんか小さな男の子がつけたみたいな感じだし、説明文もあまりに軽い感じだから凄いスキルだという実感が湧かない。この説明文は、神官が鑑定結果から流れてきたものをそのまま写していると言われているので、これが神の言葉であるとも言われているけれど、若干本当に神の言葉かどうかも疑わしい……


「あれ?リアナお嬢様。この鑑定結果もう一枚ありません?」


ネリネに指摘され、私は手に持ってる紙がもう一枚あるのに気づく。何故かもう一枚ある鑑定結果に疑問に感じつつも、私は早速もう一枚の鑑定結果の紙に目を通した。

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