第60話_番外編_妖精ラビのすれ違い

マリーナの契約した妖精「フェアリーバニー」のラビのおはなし。


「ご主人様、まだ帰ってこないのかな?クロウさん、ご主人様はいつ帰ってくるの?」

ラビは前脚で毛繕いをしながら、尋ねた。


「俺もマリーナ姉さんに会いたいんだけど、まだ2週間は帰ってこないみたいだよ。」

前日にナイトハルト殿下が雑貨店を訪れて、マリーナの活躍を教えてくれたのだ。


「じゃあボクが迎えに行こうかな?マスコットきゃらくたーって特に仕事ないし、いいよね!じゃあ行ってきます!」

ラビは独りでそういうと、風に乗って飛んで行ってしまった。


残されたクロウは、「俺も会いたいのに。。」としばらくぶつぶつ行っていたそうな。


◆◆◆◆◆

ご主人様との契約が、ボクにご主人様の居場所を教えてくれる。

大好きなご主人様、早く会いたいな!誰よりも早くボクが迎えにいくんだ!


風に乗って、馬車の2倍くらいのスピードで進むこと半日。

ラビはワルシャワ領の領主邸付近に到着した。

ここからご主人様の気配を強く感じる!もう少しで着くから待っててね!

心の中でそう唱えて領主邸に入ろうとすると、不意にマリーナの気配が消えた。


あれ?さっきまでここにいたはずなのに、どうして?集中して風に聞いてみると、風妖精達が親切に教えてくれた。

『神様のにおいがするお姉ちゃんは、空間魔法であっちに移動したみたいだよ!』


あっち?風妖精がさした方向は、雑貨店がある方向だった。

まさかすれ違い?そんな!!


ラビは大慌てで、でも半日がかりで雑貨店に帰った。

ドアを開けると、大好きなご主人様が待っていた。


「ラビ、おかえりなさい!そしてただいま!」


クロウさんよりもご主人様との再会が遅くなったのはちょっと癪だけど、ご主人様に抱きしめてもらえるのはボクだけだもんね!

「ただいま〜!大好き、ご主人様!」と抱きつきながら、ウサギの姿で存分に甘えた後、

ささっとマリーナの推しのジークに変身して、「おかえりなさい、マリーナ。大好きだよ」と耳元で囁いて微笑んだのであった。


マリーナはまさかのラビの攻撃(?)に顔を真っ赤にして完全にノックダウンされたのであった。


ナイトハルト殿下とクロウさんには簡単にはご主人様は譲らないもんね!

ご主人様はボクが守る!そう心に決めてラビは今日もマリーナのそばにいる。


*****

お読みいただきありがとうございます。


新作のお知らせ:「全てを奪われたアリスは復讐を誓う〜絶望を乗り越え辿り着いた仇が許しを乞う?そんなの許せるわけがないわ」を連載中!お読みいただけたら嬉しいです。

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【なろう35万PV感謝!完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜 Nekoyama @kaerukko

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