第7話 魔物たちの住む街へ(4)
ルゥーンとレーヴェンは、服を作り終わると次は宝石店へ足を運んだ。
ルゥーンが魔法を使うための石を選びにきたのだ。
「どれがいい」
「この、赤の石」
そう言ってルゥーンが選んだのは、ピジョンブラッドルビーだった。
ルゥーンの指差したものを見て、レーヴェンは少し不思議そうな顔をした。
「ルゥーンにはアメトリンが一番相性がいいだろう。なぜピジョンブラッドルビーにした?」
「……レーヴェンの、目の色だから、だよ」
「……………そうか」
沈黙が降りる。
ルゥーンはレーヴェンが黙ってしまったのでやっぱりアメトリンにしようかと迷った。
だが、決められずにレーヴェンに聞いてみることにした。
「ねえ、やっぱりアメトリンの方が、いい?それとも、ピジョンブラッドルビーはダメ…なの?」
「っ、ダメじゃない!ああもう、どうせなら両方買えばいい!」
「えっ、でも…」
「いい!両方買うぞ!」
ルゥーンは少しおかしな様子のレーヴェンを見て、首を傾げた。
どうしたのかがわからず、結局そのまま店を出た。
しばらく歩くと、見慣れないもの見えてきた。
「レーヴェン、あれは何?」
「あれは……。出店だな。少し見ていくか?」
「うん……!」
ルゥーンは出店というものを知らなかったため、少しワクワクしながら出店を見ていく。食べ物だったり、宝飾品であったり、薬草だったり、色々なものが売っている。
ルゥーンは丁度小腹がすいていたので、美味しそうな肉串の売っている店に引き寄せられるように歩いていく。
「レーヴェン……。あれ食べたい!」
「そうか。食べたいものがあれば好きなだけ食べればいい」
レーヴェンの許可を得て、ルゥーンはレーヴェンの手をしっかりと握り、肉串の出店へいく。
早速肉串を2本頼む。
「ルゥーンは無自覚なのか…?手を繋ごうと言ったのは私だが…」
レーヴェンが何かを言っていたが、ルゥーンには聞こえなかった。
だが、ルゥーンは全く気にせずに買ったものを食べようとしたが、レーヴェンに止められてしまった。
「止めておけ。すぐそこにベンチがある。そこで食べたらいい」
「あ、そっか。……やっぱり、レーヴェンは食べないの?」
「ああ。私は食べる必要がないからな」
ルゥーンはその言葉を聞き少し疑問に思ったが、気にせずにベンチへと向かう。
その話を聞くと、やっぱりレーヴェンが吸血鬼だということを実感させられてしまうからだ。
それが、なぜかルゥーンには嫌だった。
レーヴェンはルゥーンより遥かに長く生きる。そのことが、どうしようもなく悲しくて、どうしようもなく辛かった。
その気持ちがなんなのかは全くわからない。ただ、嫌ではなかった。
ルゥーンは肉串を食べながらレーヴェンに聞いてみようか考えたが、止めた。
「……私の方が先に死ぬのは、嫌だな…」
「何か言ったか?」
「…ううん。何も」
その代わり、口から思ったことが漏れてしまっていたようで、レーヴェンに少し聞かれてしまっていたが、咄嗟に誤魔化した。
今は、この気持ちが溢れないように必死に押し込めた。
そして、何事もなく食事を終え、城に帰ろうとレーヴェンに言った。
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