第4話 魔物たちの住む街へ(1)
朝がきた。
そのことに対し、いつもはこう思ったであろう。
ああ、また今日が来てしまった。と、
だが、今日は違う。否、今日からは、違う。
なぜなら……。
「おはよう。ルゥーン。昨日はよく眠れたか?」
「おは、よう、レーヴェン。うん、大丈夫、だよ」
吸血鬼の王の城で吸血鬼の王に優しくしてもらっているからだ。
ルゥーンは他人が自分に優しくしてくれることが今まで一度もなかったため、レーヴェンが優しくしてくれた時、驚いてしまったのだ。
例えば、ルゥーンがつまずいて倒れそうになった時、何事もなく支えてくれたり、ルゥーンが少し眠そうにしていると、ベットに運んでくれたり。
そんな優しい面を知るたびにルゥーンの胸がドキドキする。
倒れそうになって支えてもらった時、胸が激しく痛んで顔もカアッと熱くなった。
なぜ痛むのか分からないし、いつも心臓のあたりが痛くなるので、病気かと疑っている。
が、それを相談したりする相手もいないため今は大丈夫だろうと思っている。
「ルゥーン、この地に来たのは昨日だろう?なら、街を知っておいた方がいいんじゃないか?」
「ま、街?」
「ああ、この地にはわかりにくいが街がある。そこに行っておいたほうがいいんじゃないかと思ってな」
街があるなんて、初めて知った。
一見ただの荒野に見えるこの大地は、実は隠れているだけで街があるらしい。
しかも、吸血鬼や他の魔物たちが住む街であり、人間もたまに紛れ込んだり商売をしていたりするそうだ。
ルゥーンが知らなかったのは仕方がないかもしれない。
「では、すぐに行くか。……準備はできるか?」
「あ、でき、るよ。ローブを、着るから…」
「なら、大丈夫だな。着替え終わったら言ってくれ。私は部屋の外に出ている」
そう言って、レーヴェンはすぐに部屋の外へと出ていった。
ルゥーンは、やっぱり優しいんだなと思ったのだった。
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